日韓経済研究センター
間部洋一
韓国の貧富の格差がいま深刻な問題になっている。
「いま」というより、李明博大統領が就任して以降この問題は続いており、それもこのところ、より深刻さが増していて、政府も効果的な手の打ちようもないところまで深刻化してしまったようだ。
「経済の李明博一として鳴り物入りで就任した李大統領だったが、輸出の振興こそが韓国経済再生の鍵を握るとして大企業優遇政策を次々と打ち出して成果をあげ、確かに韓国経済再生に成果をあげてきた。
その一方で、中小企業への対応が後手に回って失業率が悪化し、いわゆる「食えない就業者」が急増することになってしまった。
大企業も日本企業に倣って、雇用調整のしやすい季節工や短期契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなどの採用を増やしてきたために「食えない就業者」の増加に拍車をかけることになってしまった。
俗に言う「韓国産業界の日本化現象」が労働の面でも生じている。
これが韓国の現在の貧富の格差拡大を深刻なものにしている。
日本でも年収200万円に及ばない就業者が増えて貧富の格差が拡大し、これが固定化して深刻な社会問題化して久しい。
だからこそ韓国で「日本化」と言われる所以なのだが、貧富の二極化は韓国のほうが日本の比ではないのがより深刻と言える。
例えば、大卒1年目の財閥系大企業社員が年3000万ウォンを下らない、という例が珍しくない一方、30歳代で年収1000万ウォンに満たない雇用者が圧倒的な比重で多いという実態がある。
為替相場は変動があって単純に決め付けるわけにはいかないが、年収1000万ウォンと言えば、日本円にして70万円にも届かない。月収6万円前後では家族を養って生活できる収入とは言えない。
韓国でも「食えない就業者」なのだ。
この就業者の層が韓国の全就業者の50%を超えたという調査結果も出ている。
この層の増加が李明博大統領の支持率を急速に下げ、それが李大統領のレイムダック化に拍車をかけている。
二極化の拡大、とりわけ貧困層の拡大が度重なる選挙で与党・ハンナラ党の敗北を招く結果になり、党内の抗争激化へと繋がる。
10月28日に行われた首都・ソウルの市長選挙は、与党・ハンナラ党が推す候補が民主党などの野党が揃って推した“民主派"候補に大差で敗れるという結果に、なったのも、貧富の格差拡大で二極化が進み、貧困層の増加がモロに影響を与えたと言える。
20歳代の失業率が8%を超える韓国の雇用環境下で、李明博大統領に「見捨てられた」と感じている層の増加がソウル市長選挙の結果に見事に映し出されたと言える。
来春の国政選挙(総選挙)と来年末の大統領選挙に与党・ハンナラ党が大苦戦を強いられるのは間違いない。
それよりも何よりも、米国でオバマ大統領から異例の国賓待遇の扱いを受けて約束してきた米韓FTA協定も肝心の韓国国会がどう扱うか、勢いに乗る野党や市民グループの激しい反対運動が予想されるなか、李大統領も窮地に立たされた感は否めない。
蛇足ながら、韓国のちょっと寂しくなる話題をひとつ紹介しよう。
ソウルなどに林立する高層アパート群は、ソウルを訪れた人は皆目にする光景だが、こうしたアパートの管理・警備人は、アパートごとの住人がつくる「居住者組合」に雇用されるのが一般的。
そして、この管理・警備人の給与はいわゆる「日給・月給」で、韓国でも政府が決めている『最低賃金制度』の適用から特例措置によって除外されている。
この法定最低賃金適用の除外対象からアパート管理・警備人の賃金は今年末で外される。
即ち、最低賃金制度が適用される。
そうなると、現在の彼らの賃金は20%から30%アップすることになるという。
彼らにとっては嬉しくなる話のはずなのだが、彼らはいま居住者に「私の月給を上げないでください」という署名を求めているというのだ。
居住者組合が人件費負担から逃れるため、管理・警備人の首を切って人員削減に出ることを怖れているのだ。
たとえ低賃金でも職を失うことだけは避けたいという彼らの思いがそうさせているのだ。
******************************************************************
ここにいる韓国人は貧乏ですか?
貧乏でも自動車くらいは持ってますよね!!