日韓経済研究センター
間部洋一
韓国の異常なまでの学歴社会と、その病的なまでの受験戦争と就職の弊害について、これまで様々なところで報じられてきた。
近年、韓国でも数多くの大学が誕生し、大学格差を招き、大卒の半数近くが就職できないという事態に及んで、韓国政府、というより李明博大統領もようやく重い腰をあげ、「事態改善」に取り組む姿勢を見せ始めた。
李大統領は先頃、政府各部署に企業、とりわけ財閥系大企業が高卒者の採用拡大に取り組むための施策を講ずるように指示した。
これを受けて政府は、経済団体との間で高卒者採用拡大のための「業務協約」を結び、積極的な行動に乗り出した。
韓国には専門の工業高校にあたる「特性化高校」と、ドイツの職業資格制度を真似て作った産学連携型の職業専門高校に当たる「マイスター高校」がある。
どの高校も職業訓練の面では、これまでに日本の工業高校の多くがその足元にも及ばない成果をあげてきた。たとえば「マイスター高校」は、在学中の学費が全額政府の補助金によって免除され、男子卒業生は最長4年間兵役に就くことが延期されるという特典が与えられる。
さらに、この高校に協力する企業(協約企業)に就職が約束され、企業の側も即戦力としてすぐさま現場に出す。
この「マイスター高校」は、かつて日本の独壇場だった技能五輪のメダリストたちのお株を次々と奪い取って、いまや「技能五輪の韓国」と言われるほどに次々とメダリストを輩出する原動力にもなっている。
そんなマイスター高校の卒業生でも、就職後は大卒者とは賃金などの待遇面で大きな格差があり、それも年を経るに伴って拡大し、役職登用となると大卒と比べようもなく格差がつくのが現実だ。
そんなことから、恵まれた「マイスター高校」の卒業生であっても就職せず、その80%以上が大学への進学を目指すのがいまの韓国だ。
「マイスター高校」でそんな状態だから、全国に700校近くある「特性化高校」の卒業生となると、大卒との格差はさらに大きく、企業側も求人には乗り気で・ないため、卒業生の多くが最初から就職を諦めて大学進学を目指すことになる。
ちなみに、ソウル市教育庁の統計によると、市内に75校ある「特性化高校」の2010年度の就職率は20.45%にすぎず、2006年度の40.18%のほぼ半数にまで低下している。
韓国の工業高校卒の就職率は、日本のそれに比べようもなく高い(2007年94.60%、2009年85.91%)のだが、それでも彼らの就職先は先細りの傾向にあり、高学歴社会に負けて大学進学を目指す卒業生は増加する一方だ。
李明博大統領は「無分別な大学進学は、国民の教育費負担を増大させ、(さらに)青年(層)の失業率を一層悪化させ、家庭的にも国家的にも大きな損失を招いている」として、政府関係部署に対策を指示したものだ。
この大統領の命を受けて、政府の教育科学技術部(日本の文科省に相当)と雇用労働部(厚労省に当たる)は、全国経済人連合会(全経連、経団連に相当)や大韓商工会議所などの主要経済5団体との間で、高卒者の採用拡大のための「業務協約」を結んで、具体的な採用増大のための行動に乗り出した。
既に政府の指導もあって、公的機関などは高卒採用拡大に動き出しており、現状の4%から今年は20%以上を目指すことにしており、金融機関や大手財閥系企業は、来年度卒業生から大幅に採用数を増やすとしている。
しかし、高卒者の採用拡大が継続して安定するかの成否は、採用後の彼らの待遇面にかかっている。
大卒者との格差が縮まらず、役職登用の面でも格差が改善されないとなれば、学歴社
会の病巣は残ったままということになりかねない。
格差の是正こそが大事なのだが、これについては政府も経済団体の側もまだ言及していない。
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韓国は非常に不可思議な国ですが、社会全体の馬鹿さ加減は同情すべきか? 失笑すべきか?