
来月12日に全線開業する九州新幹線の指定券が、全国で一斉に発売された。新大阪発鹿児島中央行きの1番列車の指定券は、わずか15秒で売り切れるなど盛況だ。
博多駅と鹿児島中央駅を結ぶ九州新幹線の指定券は、全線開業まで1か月となった12日の午前10時から、全国の駅や旅行代理店、JR各社の電話予約センターで一斉に発売されました。このうち、JR博多駅のみどりの窓口の前には、発売前に朝から配られた整理券を手にしたおよそ60人が列を作り、予約が取れた順に指定券を受け取った。
JR各社によると、新大阪を午前6時に出発する鹿児島中央行きの1番列車「みずほ601号」の指定券が15秒で売り切れたほか、博多を午前6時10分に出る鹿児島中央行きの1番列車「つばめ327号」の指定券も25秒で売り切れた。
博多駅で最初に指定券を受け取った小学生の男の子は、全線開業する日が誕生日で、祖母と一緒に購入し、「おばあちゃんからの誕生日のプレゼントです。早く3月12日になってほしいです。」と話した。また、20代の会社員の男性は、「熊本県の実家に1番列車で帰ります」と話した。
来月12日に全線で開業する九州新幹線は、博多と鹿児島中央との間を約1時間20分で結ぶほか、山陽新幹線と直通運転の列車は新大阪と鹿児島中央との間を約3時間45分で結ぶことになっている。

こうしたなか、JR西日本は12日、航空路線と競合する関西方面と鹿児島の旅客輸送シェアについて、JR九州と連携し、鉄道で50%を目指す考えを明らかにした。現在、同区間では航空機が旅客シェアの9割を占めている。JR2社は九州新幹線開通による時間短縮と割安さで、巻き返しを図る構えだ。
大阪-鹿児島間の所要時間は、航空機に優位性がある。だが、鹿児島空港は鹿児島市から遠く、約1時間かかるほか、搭乗手続きの時間などを含めれば、大阪-鹿児島間の所要時間は、新幹線と航空機で実質的にはほぼ同じとなるという。
一方、料金面ではJR西日本が発行するカード会員向けにネット予約割引を導入。新大阪-鹿児島中央間を「みずほ」の往復指定席で、乗車日の3日前までに予約した場合、片道が1万7千円と正規料金に比べ約2割引の価格になる。
JR西日本では旅客シェアを現在の早期に50%に引き上げたいとしている。佐々木隆之社長は「新幹線で市場を広げたい。九州の魅力を発信し、需要を掘り起こしたい」と述べた。

また、JR九州も九州新幹線を含む乗り放題の割引きっぷを発売する。首都圏方面からの旅行商品に一部がセットされる各種フリーきっぷをリニューアルするほか、国内のシニア限定や外国人専用のフリーきっぷに全線を組み込み、価格も現行に比べ小幅の値上げにとどめる。割安な価格設定で今後、旅行客の増加が見込めるシニア層やアジアからの観光客を取り込む。
今後販売に力を入れるのは、65歳以上限定の「アクティブ65」と、外国人専用の「JR九州レールパス」。これまで、九州新幹線鹿児島中央-新八代間を含むフリーきっぷとして販売してきたが、今後は全線を乗り放題にする。
アクティブ65は2-3日間、九州内の鉄道(小倉-博多間の山陽新幹線を除く)に自由に乗車できる。4月から九州新幹線全線に乗車ができるフリーきっぷとして販売を再開する。料金は3日間で北部九州を回れる切符が8千円、九州全域を回れる切符が1万5千円。現行切符からの上乗せ額は北部版で500円、全九州版で2千円にとどまる。
一方、JR九州レールパスは中国や韓国などアジア客の人気が高いフリーきっぷ。こちらは、3月12日の全線開業から販売し、北部九州版は現行と同じ7千円、全九州版は現行より千円高い1万4千円とする。
九州新幹線は他の新幹線に比べ観光利用の割合が高くなるとみられ、平日の乗車率をいかに高めるかが課題になっている。全線を組み込む割引きっぷの投入で、九州各地を巡る周遊旅行の利便性が高まることから、シニア客や外国人客などの需要が見込めるとみている。新幹線全線を組み込んだ乗り放題切符はJRグループの中でも珍しい。
高齢化を背景にシニア層の旅行市場は拡大傾向にあり、2010年4-12月のアクティブ65の販売枚数は前年同期比20%増加。JR九州レールパスも同期間で70%増となるなど好調だ。JR九州は両切符の割安感を高め、新幹線全線開業後も売り上げを伸ばしたい考えだ。