
アジア3カ国で鉄道整備 京阪電鉄など官民連携
2011/6/17 2:09
【ハノイ=岩本陽一】
政府と京阪電気鉄道、丸紅などは共同で、ベトナム、モンゴル、インドネシアのアジア3カ国で鉄道整備事業に参画する方針を固めた。車両や信号システムの輸出だけでなく、事業に出資して経営に加わる。事業費は合計5350億円で、3カ国と日本側の参加で基本合意した。政府は官民連携のインフラ輸出の強化を打ち出しており、国内で成長性が乏しい鉄道事業が海外で収益を得るビジネスモデルを目指す。
国際協力機構(JICA)が2010年度に始めた「PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)」方式の海外インフラ整備事業に、3カ国の4案件が選ばれる見込みとなった。外務省とJICAは近く正式に決める見通しだ。
PPPは官民が連携してインフラの計画から機器調達、建設、経営などを包括的に手がける事業形態。JICAは別の民間企業とこの枠組みで発電所や水処理プラントの事業化調査(FS)に入っているが、鉄道分野は初めて。日本勢は4案件のFSを8月に始める。
4案件のうち規模が最大なのは、ベトナムの都市鉄道「ハノイ5号線」。首都ハノイの中心部と近隣のハイテクパークを結ぶ。京阪電鉄が事業体に出資して運営に参加する予定で、FSには野村総合研究所などが加わる。2700億円を投じて総延長35キロメートルの鉄道を整備する。
モンゴルでは首都ウランバートルの中心部に東西・南北の地下鉄2路線を整備する。路線の長さは27キロと21キロ。事業費は合計1800億円を見込む。丸紅が事業体に出資する方針で、日揮などがFSに参加する。
インドネシアでは、双日とインフラ設計会社の日本交通技術(東京・台東)がスマトラ島南部の鉄道修復プロジェクト(189キロ、事業費550億円)に参画。日建設計シビル(大阪市)や東急不動産は、首都ジャカルタの都市鉄道の関連プロジェクト(事業費300億円)で主要駅の地盤整備などを手がける。
政府は4案件を政府開発援助(ODA)の対象とし、相手国政府に円借款を供与する見通し。企業側はJICAや国際協力銀行(JBIC)の海外投融資を活用。車両輸出や中長期の施設経営で投資を回収する。事業体への出資額は今後詰める。
日本企業は台湾で07年に開業した高速鉄道で車両や信号システムを輸出した実績があるが、政府の資金支援は無かった。今回は民間が鉄道経営まで一部参加し、事業の幅を広げるのが特徴だ。東日本大震災を境に滞ったインフラ輸出に再び勢いをつける思惑もある。
アジア3カ国がPPP方式で鉄道を整備するのは初めて。日本の資金・技術のほか、鉄道運行ノウハウの導入も目指す。
経済成長が続くアジアでは20年までに8兆3000億ドル規模のインフラ需要があるとされる。ベトナムなどは今年からPPP案件を積極的に推進する方針で、日本の官民などにプロジェクトへの参加を要請している。