川淵三郎「キャプテントーク」
2011年1月23日
日本は海外の「草刈り場」になっていい
今年は、日本サッカーにとって、飛躍の年になるかも知れない。昨年は、新しい選手が次々と欧州に呼ばれ、着実にレギュラーポジションを獲得した。W杯ベスト16という自信が後押ししていると思うが、数年前から活躍する選手を含め、過去を振り返ってもこれほど多くの選手が欧州で成功した年はなかったはずだ。この勢いを継続、発展させなければならないのが、今年ということになる。
その意味で注目しているのは、中京大中京高からプレミアリーグのアーセナル入団が決まった18歳のFW宮市亮だ。アーセナルのベンゲル監督は、日本に対する愛情が常にあり、日本人を何とかしたいという気持ちを持ってくれている。プレミアリーグでは、12~13歳のうちから養成し、16歳ぐらいの段階でプロ契約を検討する。各年代ごとに30人ぐらい抱えており、そこからプロになれるのは、1人か2人だという。ベンゲル監督としては、6年間ほど見ている選手がいる中で、明らかに劣っている選手を日本から呼ぶことはないわけで、そこに選ばれるということは、日本人には少しピンとこないかも知れないが、すごいことだと言える。こういう選手が出てきたのは、本当に楽しみ。このチャンスを生かせるかどうか、それはもちろん本人次第。ただこのケースが成功したら、プレミアはもちろん、欧州全体の日本を見る目が変わってくる。文字通り、変わり目の年になるかも知れない。
日本サッカー界は、今年も休みなしだ。サッカーの世界は一段落という年はない。四六時中、国際大会という“国際試験”がある。私の現役時代はいつも「サッカーは損だな」と言っていた。いつも“国際試験”の成績が悪く、だから世間的に人気が上がらないと思っていた。不運なスポーツだとしみじみ思っていた。今思えば、僕らの時代のような、一夜漬けではダメなのだ。日ごろから、いかに合格できるか考え抜いて、準備をしていないといけない。それが、世界で生き残っていけるか、ということにつながるからだ。
世界トップグループの成長角度が20度ならば、日本は25度、30度を目指さなければならない。そうでなければ、追いつくのがやっとで、追い越すことなどできない。だからこそ、欧州のトップリーグにどんどん選手が飛び込み、日本が成長する角度を上げていってほしい。それはJリーグ創設時から、ずっと言ってきたことだ。常に30人程度の選手が海外に行き、そのうち20人ほどがレギュラーで活躍する。それぐらいの状態にならないと、世界を追い越すことはできない。少し乱暴な言い方かも知れないが、日本はもっと「草刈り場」になっていい。大いに望むところだ。そういう意味で欧州に行っている選手たちは、日本サッカー界の成長の角度を上げるんだ、という強い意識でやってほしい。
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