ヘルタ・ベルリンの原動力
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細貝萌 - 潰しの技術
細貝萌はブンデスリーガのヘルタ・ベルリンで与えられた重要な任務を静々とこなしていた。ファールすら注意を引かないほどに。守備的ミッドフィールダーはヨス・ルフカイ監督のもとで落ち着きを手にした。
かつての遠洋客船を思い浮かべて欲しい。
甲板上は華やかに賑わい、人々はダンスに興じる。
船の動力に気をかける者など一人もいない。
しかし機関夫たちがひとたび炭をくべる手を休めれば、立ちどころに甲板上のライトは落ち、踊り手たちは闇に包まれてしまう。
それはヘルタの細貝萌の立場とよく似ている。チームのプレーを決定付け、だがほとんど陽の目を浴びることがない。
かつてのハイツァー(火夫)がそうしたように、彼はベルリンの中盤の守備に火をくべ続けている。
舞台裏では、監督のヨス・ルフカイはこの日本人選手に疑いを挟む余地なく高い評価を与えている。
レヴァークーゼンから獲得したミッドフィールダーをシーズン開幕から毎試合先発で起用し続けている。
これまで細貝がピッチを離れたのは試合終了間際の交代3度だけ。
そして監督は細貝のために中盤にヒエラルキーさえ形成した。昨シーズン、推進役として起用していたペーター・ニーマイヤーやペール・クルゲは細貝の次だ。

土曜には古巣との対決
細貝萌はそのことを理解し感謝している。
「監督の言ってくれた言葉は、僕にとってすごく意味のあることでした。いま僕はヘルタで希望通りのポジションでプレーさせて貰っています。(移籍前は)常にそうだったわけではないので。」
昨季、古巣レヴァークーゼンで彼は17試合に出場。しかし競争の激しい守備的MFのポジションで彼が起用されることは無く、ジモン・ロルフェス(キャプテン)や、ゴンサロ・カストロ、シュテファン・ライナルツ、ラース・ベンダーといった選手が優先された。代わりに彼がプレーしたのは、あるときは中盤の左、あるときは中盤の右、そうでなければディフェンダーとしての役割だった。そこでは彼の強みは発揮できない。
「彼が嬉々としてうちでプレーしているのはそれが理由ですよ」
ルフカイ監督は気付いている。
細貝のクオリティーは今季ヘルタでプレーしたことにより尚一層顕在化した。ベルリンとの4年契約にサインした彼の決断は報われた。
今季のヘルタは流れからの失点が12試合で6点のみ。それにはこの177cmの日本人選手が大きな役割を果たしている。彼の莫大な運動量を対価として、攻撃でボール失った直後の危険なシーンを可能な限り摘み取っている。
相手のカウンターを防ぐには相手のパスコースを潰さなければならないが、細貝には守備的MFとしてそのタスクを信頼して任せることが出来る。チームにその機能を提供するため、彼がどれだけ尽力しているかはその走行距離が物語っている。一試合あたりの平均走行距離は11.4kmを超す。
その働きへのチームメイトからの評価は高い。
「僕たちセンターバックにとって、彼の存在はとてつもなく重要です。前であれだけ掃除してくれるので。」
ラングカンプは細貝をそう評する。
リーグで二番目に多いファウル、しかし受けたイエローは二枚
危うい場面では、相手の攻撃を止めるためより激しい手段にも打って出る。
彼は既にブンデスリーガの審判から32回笛を吹かれ、リーグで二番目に多いファールを犯している。まるで火夫が自身を煤で汚していくかのよう。ファール数で彼を超えるのはホッフェンハイムのFWケヴィン・フォラントだけだ。
しかし彼が犯した反則が大きな騒ぎを呼んだことはない。これまで何度も笛を吹かれてはいるが、受けたイエローカードは二枚のみ。
その闘志溢れるスタイルにより、彼は監督から特別なミッションを何度も与えられている。
これほど守備的なタスクを担っているにも関わらず、細貝は攻撃にもクオリティを持つ。
監督が彼について語るとき、しばしば語調を緩め、アクションを起こす早さや攻守の切り替えの早さを指摘する。
その全ての要素は、オランダ人監督がブンデスリーガで生き残るためにチームに必要だと見做す要素であり、細貝が彼のために体現しているものでもある。
細貝が出すのはラストパスではない。しかし彼は素早くアタッカーにボールを送り込むことが出来る。ボールを長く保持するようなプレーは彼の専門ではない。一試合当たりのパス数は平均40本、ボールタッチ数はかろうじて50回を超える程度。だがその価値は、ヘルタの速く、恐れられるカウンター攻撃を描き出すことにある。
8分間のみの日本代表での出場
細貝萌の日本代表でのキャリアは、ヘルタでの上昇気流とは対照的だ。日本代表チームで彼は10日間を過ごしたが、出場したのはベルギー戦3-2の8分間のみ。オランダ戦では最後までベンチで過ごした。
「彼にとってそう簡単な状況ではないよ。」ルフカイ監督は語る。
「彼のポジションはとても競争が激しい。ヴォルフスブルクの長谷部がプレーしている。そして彼は代表のキャプテンだ。」
それでも来年のブラジルW杯が細貝にとって大きな目標であることは変わらない。その為に彼はCL出場クラブのレヴァークーゼンからヘルタに移籍した。理由は恐らく、ブンデスリーグのレギュラーとしてより高い可能性を見込んだだけでなく、2012年にオリンピック出場の機会を逃してしまった過去の経験も影響しているのだろう。レヴァークーゼンでは準備を優先させるため、彼はロンドンでの試合に参加する唯一無二のチャンスを諦めるしかなかった。
代表への思いで細貝が調子を落とす可能性については、ルフカイ監督は心配していない。
「うちでは彼は楽しむことが出来る。土曜日に昨季のチームメイトと対戦する。そのことが彼のモチベーションをもう一つ高めてくれるだろう。」
説得力はある。
ヘルタの火夫がもう一つ炭をくべるか。
http://www.morgenpost.de/sport/hertha-aktuell/article122110083/Hajime-Hosogai-Ueber-die-hohe-Kunst-der-Zerstoerung.html


ドイツ紙キッカー ベストの10点満点!細貝萌
2013/11/19
ドイツ誌『キッカー』は、ブンデスリーガ全18チームの今夏の補強選手を採点。ヘルタ・ベルリン所属の日本代表MF細貝萌に満点評価の「10」をつけた。
同誌は各クラブの新加入選手について、補強が成功だったか失敗だったかを最低点「1」、最高点「10」で評価。細貝はヘルタに加入した6選手のうち、ノルウェー代表MFペア・シリアン・シェルブレットとともに「10」が与えられた。また、ヘルタは新加入選手に総じて高評価が並び、平均点「8.33」で18クラブの内、2位と補強が成功したことを伝えている。
その他日本人選手では、マインツに加入したFW岡崎慎司がチーム2番目の評価となる「7」、ニュルンベルクに加入した長谷部誠がチーム4番目の評価となる「5」となっている。
クラブ平均点が最も高かったのは、現在4位に位置するボルシアMGで、獲得したマックス・クルーゼとクリストフ・クラマーに「10」、ラファエルに「9」と3選手全てに高い採点が並び、同誌はスポーツ・ディレクターのマックス・エバール氏の手腕を高く評価している。
http://news.mynavi.jp/news/2013/11/19/266/