中国の原発でも隠蔽体質の当局が放射能漏れ事故隠していた
2011.04.23 07:00
日本の大震災と原発事故は、中国・香港でも大きな関心を集めている。チャイナウォッチャーで国際教養大学教授のウィリー・ラム氏がレポートする。
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東日本大震災で国際的な支援の輪が広がる中、香港の人々の支援運動が熱を帯びている。ジャッキー・チェンが発起人になって、チャリティイベント「愛は国境を越える」が行なわれ、映画スターや歌手ら300人が参加して会場を盛り上げ、2億7000万円もの義援金が集まった。香港の人々は日ごろからクールで他国のことには関心がないと思っていたが、このような熱い支援活動や義援金の額には正直驚いた。
ただ、やはり香港人らしいと苦笑したこともある。それは、塩の買い占め騒ぎだ。福島第一原発の事故で、塩が放射能を防ぐというデマが流れたため、香港の人々が塩の買い占めに走ったのである。
デマかもしれないと思っていても、香港人にとっては深刻にならざるを得ない事情がある。
香港から約50㎞東方の大亜湾には大亜湾原発と嶺澳原発の計4基の原子炉が稼働しており、しばしば事故が伝えられているからだ。
最近では、2010年5月以降で3件もの放射能漏れ事故が報告されているが、原発を管理している中華電力では「市民への影響はない」として、事故公表はいずれも発生から2週間以上が経過していた。
これらの事故が明らかにされたのは、大亜湾の原発で生産された電気は香港で消費されることから、香港の会社も原発の管理に携わっており、香港政府に事実関係を報告したためだ。
しかし、中国の原発は国有企業が管理しているため、「事故はしばしば隠蔽されている」と指摘されている。
例えば、香港紙「明報」は2008年9月、「江蘇省の田湾原子力発電所で08年8月末、変圧器が爆発する事故が発生した」と伝えたが、当局は「爆発はなく、放射能漏れもない」と同紙の報道を否定した。
※SAPIO2011年5月4日・11日号
細い鉄骨、手抜き工事の中国原発数百mの距離に5ツ星ホテル
2011.06.09 07:00
「原発建設ラッシュ」となっている中国ではいくつもの問題が起きていた。大事故にもつながりかねない、原発をめぐるトラブルについて、ジャーナリストの富坂聰氏が報告する。
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現在稼働中の原子力発電所は13か所。6月15日から広東省の嶺澳原発で新たに1基が商業運転を開始し、2020年までに新たな稼働を予定している原発は28か所、批准段階の計画も含めれば100か所を上回り、さらに2050年までには230基へ増やすという計画もある。これが原発シフトに邁進する中国の現状だ。
水冷の利便性や大都市の電力需要を考えれば、これら原発が沿海部にズラリと並ぶことは避けられない。一度“事故”ということにでもなれば、福島原発以上の被害が日本を襲っても不思議ではない。
空には、大陸から黄砂を運んでくるほどの強い偏西風があり、海にはエチゼンクラゲを運んでくる海流が日本に向かって流れているからだ。
ただ、その場合、日本より甚大な被害を受けるのは香港と韓国である。その香港で今、福島の事故を受けて、中国の原発推進政策に批判の声が上がっている。
「香港からわずか50kmの距離にある大亜湾原発で昨年、放射性物質が漏れる事故があったのですが、これを当局はメディアが騒ぐまで隠していた。この対応の不誠実さを、福島の事故で改めて思い出した」(日系企業の香港人)
現状はまだ本格的な反対運動ではないというが、現地のジャーナリストは、中国の原発に隠された問題に対し、もっと深刻な見方を示す。
「10年ほど前、大亜湾原発の建設過程での手抜き工事が話題になりました。太さが規格に満たない鉄骨を使用し、材料費を浮かせようとしていたのです。鉄骨はすぐに換えられ、その後は手抜きもなくなったとされていますが……やはり不安は大きい」
懸念が深まる理由は他にもある。それは、福島で事故が起きるまで中国には原発を「危険」と考える認識がほとんど根付いていなかったことだ。
在北京の記者が語る。
「原発銀座と呼ばれる中国沿海部の浙江省には、2013年に世界初の加圧水型原子炉(第3世代)の完成が予定されています。その『三門原発』の近くには驚くべきことに、原子炉からわずか数百mの距離に5ツ星ホテルが建てられている。こんな事実一つをとってみても、いかに彼らが原発のリスクを認識していないかが理解できるでしょう」
※SAPIO2011年6月15日号


