「アベノミクス解散」から2年10カ月。安倍晋三首相が25日、衆院解散に踏み切ることを表明した。高知県民から聞こえるのは、あの時と同じ「なぜ、今?」。大義は?争点は? 解散は首相の専権事項というけれど、煮え切らない思いがぬぐえない県民の声、声、声。「○○解散、総選挙」の幕が間もなく上がる。
「逃げる」「隠す」をキーワードに挙げる県民は多い。「保身のための逃げ解散」と憤るのは安芸市の元公務員の男性。「臨時国会での森友、加計(かけ)問題への追及から逃げ、政権の延命を狙った解散」と指摘する。高岡郡四万十町の団体職員の男性も「トンズラ解散」と話し、「党のエゴで議員の任期を勝手に決めるなと言いたい」。
疑惑を一掃する「掃除解散」=長岡郡本山町の女性、不祥事で深手を負う前の「浅い傷を治そう解散」=高知市の男性、税金の「無駄遣い解散」=室戸市の主婦など、疑念の声が続く。
「改憲まっしぐら解散」と名付けたのは、幡多郡三原村の農業法人代表理事の男性。「首相は改憲に政治生命を懸けているので野党が弱い今しかないと思ったのだろう。選挙に勝てば信任を受けたことになる。大義はないが、したたかさはある」。高知市で接骨院を営む男性は「首相が本当にしたいのは憲法改正。加計問題などをリセットし、やりたいことをやるための解散でしょう」。高知市の女性会社員は「北のミサイル問題を利用し、改憲しようとしているのでは」と語気を強める。
結局は選挙に勝つためだけの解散と指摘する声も。土佐清水市のNPO法人理事長はタイミングを見計らった「政治私物化解散」と命名。もうすぐ選挙権を手にする須崎高校2年の女子生徒は「謎の解散。急すぎてびっくり。学校の授業ではよっぽどの理由がない限り解散はしないと習っていたのに…」。
介護事業所を運営する高知市の80代女性は医療や介護費の負担増に触れ「教育無償化って聞こえはいいけど、だまされないぞという気持ち」。土佐市のマジシャンの男性(60)は「消費増税分を子育てに充てると言うが、ニンジンぶら下げて足元を見られているよう。『もやもや解散』」とした。
その一方、幡多郡黒潮町のタクシー運転手の男性は「解散に大義はないと思うが、個人的には解散は日本を変えるチャンスだと考えている」とし、受け皿となる政党の必要性を訴える。
「解散は賛成。タイミングとしては一遍、民意を問うてみたらいい」と話す香南市の農業の男性は「けんど安倍1強。受け皿が無いのが惜しいよねえ」と苦笑いした。
高知保険医協会非常勤相談役=高知市=は、急な解散を批判しつつ、「争点は『政治の信頼回復』。国民の平和と暮らしを守るという政治の基本に立ち返ってほしい」。
大義も争点もはっきりしないまま、ばたばたと選挙の秋へ。
