ベビーブーム世代(1955-63年生まれ)で最高齢となる55年生まれのLさん(57)は、30年間務めた会社を定年退職した後、3年前に化粧品や健康補助食品を販売する会社を設立した。しかし、事業は思うようにいかず、大学に通う2人の息子の学費、生活費で資金はすぐに底を突いた。当初は銀行から資金を借り入れていたが、それさえも困難となり、クレジットカードによる借り入れを繰り返し、債務は雪だるま式に膨らんだ。元金2800万ウォン(約194万円)に7600万ウォン(約526万円)の利子が付き、債務は1億ウォン(約690万円)を超えた。Lさんは事業を畳み、保険プランナーの仕事をしているが、100万ウォン(約6万9000円)に満たない月収では、利払いすらままならず、結局は信用回復委員会に個人再生を申請した。
ベビーブームの定年が本格化する中、Lさんのように起業に失敗するケースは少なくない。その一方で、起業せずに生涯の蓄えをそのまま持っていたとしても破産リスクが高いという調査結果が示された。
韓国産業銀行はこのほど、韓国のベビーブーム世代の老後への備えを調べたところ、個別に老後の資金を蓄える個人年金に加入せず、定年前と同じ消費水準を維持すると仮定した場合、10人中4人に破産のリスクがあるとの分析結果をまとめた。
また、ベビーブーム世代の平均純資産(2億9633万ウォン=約2050万円)と平均余命、平均消費水準(年間3400万ウォン=約235万円)を基に分析したところ、ベビーブーム世代が破産する確率は85%以上に達することが明らかになった。国民年金から定年前の所得の40%を保障されるとしても、個人年金に加入しない場合は破産確率が41.4%に達するという。
また、定年時の資産を全て債券に投資したと仮定し、破産可能性を10%以下に抑えるためには、消費水準を純資産の2.8%の815万ウォン(約56万円)以下に減らす必要があるとの結果が出た。平均的な資産を保有するベビーブーム世代は、月に70万ウォン(約4万8000円)以下に生活費を減らさなければ、破産リスクを免れることができない計算だ。
■破産対策には「株式2、債券8」で投資を
満55歳の定年退職者が資産の2%ずつを毎年消費すると仮定した場合、資産をどう運用すれば、破産リスクを最小化できるか。
産業銀の分析によると、定年時の資産を株式のようなリスク資産に100%投資した場合、破産可能性は17.3%だった。一方、債券に100%投資した場合の破産可能性は3.8%で、株式に20%、債券に80%を投資した場合では、破産可能性が3.1%と最も低かった。
産業銀は「あまりに保守的なポートフォリオを組めば、むしろ破産可能性が高まる」と指摘した。同行のキム・ヤンジェ調査分析部チーム長は「退職年金、個人年金、住宅年金(リバースモーゲージ)など多彩な老後準備商品に早めに加入し、定年後の所得を賄えるようにすべきだ」とアドバイス。その上で「政府レベルでは、不動産に偏った家計資産を中長期的に金融資産に転換するため、住宅年金の加入条件を緩和するなど、さまざまな政策手段を取るべきだ」と注文を付けた。