日露、安保協力の覚書署名…中国けん制の狙いも
玄葉外相は23日、都内の外務省飯倉公館でロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談し、安全保障分野で日露両政府の協力関係を拡大する覚書に署名した。
会談の冒頭、玄葉氏は、「アジア太平洋地域の国際環境が変化する中で、あらゆる分野での協力を進めることはお互いの戦略的利益に資する」と述べ、協力拡充に期待を示した。軍事力を増強する中国をけん制する狙いもある。
両政府は12月をメドとする野田首相の訪露時にも、プーチン大統領との首脳会談で安全保障分野やエネルギー分野などの協力を確認する見通しだ。
パトルシェフ氏はプーチン氏の側近で、「米国の大統領補佐官(国家安全保障担当)に当たる」(外務省関係者)とされる。日本政府は「パトルシェフ氏はプーチン氏に直結するパイプとなる」として、今回の会談が北方領土問題での進展につながることも期待している。
(2012年10月23日23時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121023-OYT1T01231.htm

"12/10/23
露大統領側近と会談 玄葉外相が北方領土問題
玄葉光一郎外相は23日夕、ロシアのプーチン大統領の側近として知られるパトルシェフ安全保障会議書記(閣僚級)と都内で会談した。北方領土問題をめぐり、日露双方が受け入れ可能な解決策について意見交換したとみられる。
パトルシェフ氏は、プーチン大統領と同じく旧ソ連の情報機関、国家保安委員会(KGB)出身で、KGBの後身である連邦保安局(FSB)長官を務めた実力者。玄葉氏としてはパトルシェフ氏との信頼関係を醸成することで、大統領との対話チャンネルを構築する狙いがある。
玄葉氏は冒頭で「アジア太平洋地域の戦略環境が変わってきている。あらゆる分野で協力を進めることが互いの戦略的利益に資する」と強調。パトルシェフ氏は「同感する。地域環境は複雑化しており、脅威もある」と応じた。
会談では、12月に予定している野田佳彦首相のロシア訪問に向け、日露間で緊密に連携する方針を確認。玄葉氏は沖縄県・尖閣諸島への領有権主張を強める中国の動向に言及し、尖閣を「歴史的にも、国際法上も日本固有の領土」とする基本的立場への理解を求めたとみられる。
パトルシェフ氏は昨年9月、国後島などを訪問し、日本政府が遺憾の意を表明した経緯がある。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201210230156.html
対中けん制の思惑にじむ ロシア超大物の来日
編集委員 秋田浩之
(1/3ページ) 2012/10/23 7:00
情報元 日本経済新聞
尖閣諸島をめぐって日中の対立が深まるなか、ロシアのプーチン大統領がとても興味深い動きをしている。「側近中の側近」として知られる大物政治家を日本に送り込み、日ロ協力を強めようとしているのだ
その人の名はパトルシェフ氏(61)。22日から25日まで日本に滞在し、日本側の要人と会談する。彼の肩書はロシアの安全保障会議書記。あえていえば、米大統領の国家安保担当補佐官のような存在といえる。
だが、重要なのは肩書ではなく、彼とプーチン氏の極めて親密なつながりだ。ロシアに詳しい安保関係者は指摘する。
■プーチン氏の正真正銘の側近
「パトルシェフ氏はプーチン氏と家族ぐるみで付き合い、唯一、本当に腹を割って話ができる正真正銘の側近だ。しかも、彼が外遊することはめったにない。プーチン氏が彼を日本に派遣するのは、ただの政策協議だけが目的ではないはずだ」
パトルシェフ氏がいかにプーチン氏に信頼されているかは、これまでの経歴が雄弁に物語っている。2人は同じ、旧ソ連国家保安委員会(KGB)の出身。若いころから知り合いだったとの説もある。
90年代後半、ロシア大統領府幹部となったプーチン氏の側近として起用され、その後、プーチン氏がKGBの後身である連邦保安局(FSB)の長官に就くと、やはり補佐役に抜てきされた。
さらにプーチン氏が首相になった後、後任のFSB長官に就任。2008年までスパイ機関のトップとして君臨し、プーチン体制を支え続けた。この足跡だけみても、2人の仲の良さが尋常ではないことが分かる。
日本では衆院選が近づき、野田政権の基盤はぐらついている。尖閣では中国、竹島では韓国から攻勢を受け、日本の外交も危機にある。そんな日本に、めったに外遊しないパトルシェフ氏が乗り込んでくる意図はどこにあるのか。
その経歴とこれまでの行動から、日本では同氏のことを対外強硬派とみる向きもある。11年9月に北方領土を訪問。ミサイル防衛システムの配備問題などでは、米国をけん制する発言もしているからだ。
■日本との安保関係強化が目的
8月下旬には、パトルシェフ氏はモスクワで中国の戴秉国国務委員と会い、戦略安保協議にのぞんだ。尖閣をめぐる日中対立が激しくなるなか、中国がロシアに共闘を呼びかけたのではないかとの観測も流れた。
しかし、パトルシェフ氏の来日はむしろ、日本との安全保障関係を強めることが目的だという。日ロ関係筋は解説する。
「彼の来日のねらいは、日本との海洋安全保障協力を加速することにある。日ロは7月の外相会談、9月の首脳会談で安保協力を進めることで一致した。それを後押しするつもりだ」
だが、これだけなら、パトルシェフ氏がわざわざ来日する必要はない。すでに首脳会談でも安保協力の推進で一致しているため、あとは実務レベルに任せればすむからだ。こんな疑問について、別の日ロ関係筋は解き明かす。
【正論】
北海道大学名誉教授・木村汎
ロシアが「尖閣」で騒がない理由
2012.10.24 03:08 (1/4ページ)
ロシアが珍しく自制している。でなければ、賢明かつ巧妙な対日戦術へ転換している。今月初めにロシアを訪れての印象である。従来なら、尖閣諸島、竹島をめぐる中国、韓国の対日攻勢に“悪乗り”し、北方領土問題で自国の立場を有利にしようと試みて少しもおかしくなかったろう。
≪悪乗りせぬ背景に対中警戒≫
実際、2010年秋にロシアのメドベージェフ大統領(当時)が取った手法は、まさにそのような連携作戦にほかならなかった。9月初めに尖閣沖で発生した中国漁船衝突事件で日中両国関係が緊張したとき、大統領は中国側に与した。例えば、その月末の北京訪問中、日本の領土権主張を非難する共同声明を、胡錦濤中国国家主席と発表した。11月に、大統領が北方四島の一つ、国後島への上陸を敢行したのも、尖閣問題で日中がもめている状況を念頭に置いた行動だったとみていい。
それが2年後の今、ロシアの対日政策、戦術に微妙な変化が生じている様子なのである。つまり、大統領に復帰したプーチン氏の指導下の政権は今のところ、少なくとも表面上は、中韓両国の対日非難に必ずしも同調していない。理由は何なのだろうか。
中国のさらなる台頭への警戒心の高まり、それに違いない。中国は10年、日本を抜いて世界第2位の経済大国にのし上がり、その経済力を惜しみなく軍備増強に注いでいる。ロシア製の兵器輸入を最小限に抑えつつ、露製兵器をコピーして海外輸出さえしている。海洋進出の手も、尖閣周辺を含む東シナ海にとどまらず、南シナ海、さらには西太平洋、インド洋にも伸ばそうとしている。
≪兄貴分から弟分に転落して≫
最も重要なのは、そうした結果として中露の力関係が逆転したという現実である。ソ連邦時代の約70年というもの、同国は「共産主義へ向かう第1走者」として、中国の師匠・兄貴分的存在だった。その継承国ロシアは今や、中国の事実上の“ジュニアパートナー”になり果てている。
もっとも、両国の指導者は賢明にも、この実態を決して口にしないようにしている。それを認めてしまうと、ロシア側の誇りを傷つけるだけではない。中露連携の実情が暴露され、対等の如く見せかけて欧米を揺さぶる戦術の効力が失われるからである。
アジア太平洋地域で、勢力拡大一途の中国を制し得る最強の国は、何といっても米国である。だからといって、ロシアは、米国と手を組んで中国に対抗する方向に転じるわけにはゆかない。数ある理由で最も大きいのが、米露間の価値観の違いである。ブッシュ前米政権、オバマ現政権とも、プーチン-メドベージェフ双頭体制を、民主主義の諸原則に反しがちな準権威主義体制と見なし、ロシア側は米国型民主主義の押しつけだとそれに反発する。
旧ソ連のウクライナ、グルジアにおける「カラー革命」や「アラブの春」は、欧米支援の下に起きた-。クレムリン指導部はそう固く信じ、類似の民衆蜂起が自国で発生する危険を極度に警戒している。プーチン氏は返り咲くや、国内の非政府組織(NGO)が米国など外国の資金援助を受けることを事実上禁じている。
メドベージェフ氏の方がプーチン氏よりもまだましと見なしたオバマ政権は、対露「リセット」外交を試みた。だが、プーチン氏再登板でそれも潰えてしまう。案の定、プーチン大統領は米国での主要国(G8)首脳会議を、オバマ大統領はロシアでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を相互に欠席した。
≪四島返還で日本を連携相手に≫
中国の強大化に直面しつつも、ロシアは米国とは共闘できない。残された選択肢としては、日本カードを用いる以外にない。少なくとも日本と対立するのは禁物だ。単純な引き算である。
さもなければ、ロシアはいつまでも、極東地方の経済開発に成功しない。それどころか、この地方は、地理的に隣り合う中国の事実上の経済植民地になってしまいかねないだろう。結果としてアジア太平洋地域への出口を失い、地域の正式な仲間入りにも失敗すること必定といってよい。
したがって、一日も早く北方四島を日本に返還して平和条約を結び、日露間の基本的な枠組みを設定する必要がある-。今回、私がロシア極東ウラジオストクで行った報告で、このように説いたのに対して、意外にもロシア側から何ら反論は出なかった。
野田佳彦首相は年末にモスクワを訪問し、本格的な北方領土交渉を始めるという。その際、首相が踏まえておくべきこと、唱えるべきことは次の通りだ。
中国がアジア太平洋地域で「遅れてきた覇権国」へとひた走り、地域の権力構造は塗り替えられつつある。中国の後塵を拝するロシアには焦りがある。ロシアが極東経済を発展させ、真に地域の一員たらんとするなら、ベストパートナーは日本であり、それには四島返還が必須である。(きむら ひろし)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121024/plc12102403090006-n4.htm
ロシアは明らかに劣勢。 単なる資源供給地になってしまうことへの焦りは強いだろう