隣国の話を聞いたら驚いた

-May you stay forever young.
取材や調査などで、ちょくちょく韓国に行きます。そのたびごとに「こちらの就職状況は、日本とは比べものにならないぐらい大変だよ」という話が耳に入ります。ではどれぐらい辛いのでしょうか。ソウルの有名大学で経営学を教えている知人に聞いてみました。
(写真:サムスングループの中核、サムスン電子本社ビル=ソウル市内)
―ちょっと調べてみたんですけど、韓国では2011年春卒業の大学、大学院生の正社員就職率はなんと48.3%。2人に1人以上が正社員になれないわけですね。かなり驚きました。
韓国版就活の厳しさは、ここ数年の話ではなくて、経済そのものの構造的な問題に起因しているんですね。話はアジア通貨危機が起きた1997年にさかのぼります。韓国では、この時、金融機関の不良債権問題が一気に表面化して、国家破産の一歩手前まで追い込まれました。国際通貨基金(IMF)からの緊急融資で、何とかデフォルト、つまり対外債務の不履行は切り抜けることができたのですが、IMFの監督下で痛みを伴う改革、言い換えると外科手術的な経済、社会改革を強いられることになりました。こちらでは朝鮮戦争のことを「韓国戦争」と呼ぶのですが、この「IMF危機」は「韓国戦争以来の国難」と言われました。驚異的な経済発展は「漢江の奇跡」として世界に輝いていたんですけど、外国の機関が入ってきて、ああしろこうしろと命令するわけですから、韓国民のプライドはこなごなになってしまいましたね。
―確かに当時のソウルは失業者であふれていて、レストランや商店もシャッターを下ろして、とにかく暗かったのを覚えています。あのエネルギーに満ち溢れていたソウルはどこに行ったんだという感じでした。私の友人の新聞記者も「給料がいきなり半分以下になった」と肩を落としていました。
この危機以降、韓国の企業は景気循環に対応できるように正社員の率を減らし、契約社員を多く雇用する形に変わりました。それが現在まで続いているわけです。若者の多くが不安定な雇用に悩んでいて、20代の平均賃金は驚くほど低額です。彼らはその月額収入から「88万ウォン世代」と呼ばれています。日本円では6万円ちょっとですかね。これでは食べていくのがやっとです。