中国大使館に建立計画 韓国「ハンミちゃん像」認めるか
2012.12.8 12:00
ソウルの駐韓中国大使館(左奥)の前では、脱北者の北朝鮮への強制送還に反対する人々が毎日示威活動を展開している
脱北者を支援する韓国の人権団体が、中国政府が脱北者を北朝鮮に強制送還していることに抗議するため、ソウルの中国大使館前に脱北少女の像を建てる計画を進めている。韓国政府は中韓関係に悪影響が及ぶとして思いとどまるよう説得。しかし団体側は、昨年12月、反日団体が日本大使館前に違法設置した、日本統治時代の「慰安婦」を象徴する少女の碑を韓国当局が放置していることを根拠に、予定通り脱北少女の像を建立する方針だ。(ソウル 加藤達也、写真も)
建立を計画しているのは、北朝鮮を脱出したキリスト教信者や彼らを支援する牧師らの団体「キリスト教社会責任脱北同胞会」。
計画を中心になって進めている金(キム)奎(ギュ)鎬(ホ)牧師によると、脱北少女の像のモデルは、2002年5月、中国・瀋陽の日本総領事館に亡命を求めて逃げ込み、中国の武装警察官に取り押さえられるなどした脱北者5人の内の1人で、当時2歳の金ハンミちゃん。そのころと等身大の像が製作される。
金牧師らは、2008年の北京五輪閉幕後から、ソウルの中国大使館前で週1回のペースで、中国による脱北者の北朝鮮への強制送還に反対する集会を続けてきた。今年9月に集会が200回を迎えたのを機に参加者の間から像を建てようという声が上がった。
その際、金牧師らの念頭にあったのは昨年12月、日本大使館前に設置された日本統治時代の「慰安婦」の少女を象徴する碑だった。
金牧師は「大使館に出入りする中国人職員が毎日、それを見続けることになる。いずれ自分の国がしている強制送還という行為が恥ずかしいと認識するようになるだろう」と、外国公館近くに像を設置する効果は高いと考えたという。
□ □
金牧師らは今年10月9日、記者会見し、中国大使館の向かい側にある教会前の歩道に“ハンミちゃんの像”をつくり、年内最後の集会がある12月26日に除幕式を実施すると発表した。
計画を公表すると、韓国政府機関が素早い反応を見せた。外交通商省と情報機関の国家情報院、それに警察庁が相次いで電話で連絡をしてきた。それぞれの担当官は、計画の中止や再検討を求めたが、中でも外交通商省は「韓中の外交摩擦が大きくなるからやめてもらいたい」と中止するよう説得したという。
金牧師によると、外交通商省の担当官は「中国政府が困っている」と話し、韓国政府・省としても対中関係悪化を懸念していると理解を求めたという。
韓国紙の中央日報が外交通商省担当者の話として報じたところによると、“ハンミちゃんの像”について中国側は「韓国と中国の友好関係をつぶす象徴的なものになってしまう」と駐韓中国大使が直接、外交通商省に設置を阻止するよう求めてきたという。
その上で、金牧師は「韓国政府は日本大使館前の少女の碑を撤去できるというのか。国民的に関心が高い碑を撤去すれば強く非難されるだろう」と力説する。
日本大使館前の少女の碑を放置する一方で“ハンミちゃんの像”を認めなければ、韓国政府はその二重基準について批判を受ける。かといって、“ハンミちゃんの像”を認めれば、対中関係が悪化する-。
北朝鮮のミサイル問題などで中国との連携がますます必要になる中、韓国政府は難しい選択を突きつけられている。
◇ ◇
韓国ではこれまでにも、外国政府に抗議するため、市民らによって大使館周辺の公道に碑などの構造物が違法設置されてきた。
昨年12月には、反日団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」が日本統治時代の「慰安婦」を象徴する少女の像をあしらった碑を、日本大使館前の歩道に設置している。
現場はソウル市鍾路区が管理する公道。事前に、公道の不法占拠にあたるとして違法との見解が出ていたが、挺対協はコンクリートの路面を破壊してパネルをはめ込み、区もそれを放置した。
これに対し、日本政府は「在外公館の名誉にかかわる」として事前に韓国政府に許可しないよう要請、設置後も撤去を求めている。しかし、韓国政府は挺対協側の言い分を受け入れ、日本側には「原因は日本にある」とする態度を崩していない。
碑が建てられたのは日本大使館周辺だけではない。
2002年6月、在韓米軍の装甲車が女子中学生2人をひいて死亡させる事故が発生した際、刑事責任を求めて韓国世論が沸騰。翌年の一周忌にあたり、左派系労働組合などが米国大使館に近いソウル中心部の光化門交差点に、高さ130センチの石碑を建立した。
ところが約1カ月後、石碑は何者かに破壊される。その後、高さ195センチの石碑が再び建てられたが、韓国政府は米国大使館の目の前の設置を認めず、04年1月、歩行の障害になるとして、道路を管理する鍾路区によって撤去された。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121208/kor12120812000002-n1.htm
