STSS-DとリンクしたSM-3ブロック1AがMRBMの迎撃に成功
ミサイル防衛(BMD)実験「FTM-20」が実施されました。
- まず、ハワイ・カウアイ島射爆場から発射された標的となった準中距離弾道ミサイル(MRBM)が発射。
- STSSデモンストレーション衛星が標的を探知、追跡し、離れた位置にあるイージス艦レイク・エリーにデータを送信。
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- 標的発射から約5分後、STSS-Dからのデータを受信したレイク・エリーがSM-3を発射。SM-3は宇宙空間で標的ミサイルに直撃して迎撃に成功。
STSSって何?どんな役目を果たす?
今回の目玉はSTSS-D(Space Tracking and Surveillance System Demonstration:STSS-D)ですね。2011年4月に初めて中距離弾道ミサイル(IRBM)の迎撃に成功した際にもSTSS-Dを試用し ていますが、今回は主役としての登場と言えるでしょうか。
STSSとは、高度1,350kmを周回する低軌道衛星の事です。役割は、脅威となる弾道ミサイルをいちはやく探知すること。
欧州ミサイル防衛計画(EPAA)を例にとってみましょう。EPAAとは、パリやロンドン、ニューヨークやワシントンDCを狙ってイランから発射された弾道ミサイルを迎撃する構想です。一部はすでに配備が始まっていますね。
イ ランが発射した弾道ミサイルを地中海に配備されたイージス艦がSM-3で迎撃する場合、発射情報や飛翔経路予想のためのデータをできるだけ早く集めること が求められます。ここでネックとなるのが、地球の丸さです。イージスBMD搭載のSPY-1レーダーでは、物理的に地平線の向こうの弾道ミサイルを捉える ことができません。

(図1:レーダー地平線下=赤い部分はレーダーの死角です。)
さらに、イージス艦のレーダーが標的を探知してから迎撃ミサイルを発射するまでの対応時間が限られれば、それだけ迎撃の可能性が低くなってしまいます。

(図2:イージス艦のレーダーだけで対応する場合。)
ですから、レーダー地平線下の弾道ミサイル発射を探知するにはイージス艦単独で脅威を探知するのではなく、前方展開レーダーが不可欠となります。前方展開レーダーによってレーダーの死角を補い合い、早期の探知が可能になれば、迎撃のための余裕が大きくなるというわけです。

(図3:衛星のレーダーがレーダー地平線下の死角を消しています。)
EPAAの場合だと下の図のようになります。EPAA構想の下、トルコのクレシク(Kurecik)にXバンド・レーダー・AN/TPY-2がすでに配備中です。

(図4:STSSやAN/TPY-2のデータがイージス艦に送られて…↓)

(図5:図2と比べて、イージス艦の迎撃コーン=オレンジの三角錐の部分が大きくなったことが分かります。)
STSS も前方展開レーダーです。AN/TPY-2などと同様に、早期警戒ノードとして探知・追跡・識別といった迎撃シーケンスを支援し、BMDシステムの交戦能 力の精度・範囲を向上させるのです。STSSのようなリアルタイムの早期警戒・データリンク能力を持つアセットと、イージス艦、そして陸上通信・発射基地 によるネットワークが今後のBMDシステムの要というわけですね。
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