ロシアでは1999年以降日本食ブームが続いており、日本食を取り扱うレストラン、カフェ、すしバーの数はモスクワで600店舗以上とも、 1,100軒以上ともいわれている。しかし1990年代のモスクワでは、日本食レストランより韓国レストランの数の方が多かったことは意外と知られていな い。一方、中華レストランは以前からマイナーな存在であったが、ここ数年間は、日本食ブームの勢いに押されてはいるものの、中華レストランのチェーンが登 場し、店舗数を徐々に増やしつつある。本稿では、韓国系レストランがなぜロシアで伸び悩んでいるのか、中華レストランはなぜ発展の兆しを見せてきているの かを考察していきたい。
伸び悩む韓国系レストラン
韓国企業は、ロシアの自動車業界、家電業界で躍進を続けている。もともとソ連時代から朝鮮人が数多くロシア国内に住んでいたこともあり、彼らが持つロシア政府・自治体内の人脈の幅広さが、その躍進の大きな要因のひとつとなっている。
しかしそういった業界での活躍とは裏腹に、韓国レストランはいまだにロシアではメジャーになり切れていない。1990年代のモスクワでは、日本食 レストラン以上に韓国レストランの数が多く、またそれに隣接して韓国食品ショップもあり、韓国産の中粒種米や、マヨネーズ、即席麺などが販売されていた (日本で人気の「辛ラーメン」は、すでに当時から1つ約1ドルで販売されていた)。
しかし韓国人自身には、韓国料理を広めようとする気持ちはそれほど強くなく、ロシア在住の同胞達に利用して貰えばそれで良いと考えている節がある。このため、モスクワ市内には韓国レストランは20数店舗しかない。
もちろん、ロシア人が辛い食べ物を好まないことも、韓国料理がメジャーになれない理由として挙げられよう。例えば、大衆向けの日本食チェーン 「TANUKI」には、スパイシー・ロールというすしロールがあるが、メニューには唐辛子のマークが付いている。ウェイトレスによると、これは「辛い料理 ですよ!」という意味のマークだそうだが、われわれ日本人が食べてもまったく辛くない。この程度の辛さが、ロシア人にとっては辛いのだから、韓国料理の辛 さではなお更だろうと思われる。ロシア人向けにこの辛さを控え目にし、現地化していけば、多少は韓国料理が広まるチャンスがあるが、辛さが売りの韓国料理 だけに、この点が非常に難しいと言えよう。
ロシアに日本食ブームを呼び込んだのは、「Yakitoriya」や「Ginno Taki」「Planeta Sushi」などの大衆向けチェーン店が1999年~2000年代前半に一気に登場したおかげだが、韓国レストランのチェーン展開は、以上の理由により、 難しいものと思われる。
ロシアだけでなく、西欧では無理のようです。世界化など夢のまた夢。