第222回
福島原発事故は、第二のチェルノブイリなのだ
自民に勝たせたら危い!
2013年7月13日号
ここカナダに居て、日本に関する話題はまず何だと思いますか? たとえばわれわれゴルファーがゴルフクラブで集まり、朝食を取ったり、練習の合間 に交す言葉である。長い間これは、「最近の景気(エコノミー)はどうだね」であった。わが国が世界第2の経済大国だった頃から、2年程前までずっと変らな かった。要するにカナダと日本を結びつけていたのは、一にも二にも経済だったのだ。
これが大きく変ったのは’11年の3月11日の大災害からである。当初は本当に気の毒そうな顔で、災害や被災者のことをたずねて来たものだ。それが昨年 あたりからは、「フクシマはどうなってるかね」が主になった。つまり、福島第一原発による放射性物質が、偏西風に乗って、カナダの西海岸に到達する可能性 を心配しているのだ。だから「フクシマの原発はおさまったか」と聞くのである。ボクはそのたびに、「27年前のチェルノブイリだってまだおさまっていない んだよ。2年数ヵ月前のフクシマがおさまる訳ないだろ」と言うことにしている。
すると彼らは必らず「ザット・バッド・エイ?」と言う。「そんなにひどいのかい」という意味で、最後の「エイ(eh)」というのは、カナダ英語独特の間 投詞である。彼らはそんなに悪い状況とは考えていないのだ。だから先日「死者が出る程ではなかったので、原発の再稼働をすすめる」と言った自民党・高市早 苗政調会長の言葉は、まさにガイジン並みの認識としか、言いようがない。
昨日の朝日新聞のネット版に、記者がチェルノブイリ原発の4号機に入ったルポが載っていた。こちらは30人以上の死者を出したことで知られるが、原発事 故の怖いところは、簡単に解体することが出来ない点にある。同じく’11年に大きな被害を受けた、NZのクライストチャーチの地震の後仕末も困難だった (爆破すると周りのビルに被害が及ぶ等)。それでも地道に、上階の方から一階一階こわして行って、かなり進捗している。ところが原発ではこれが出来ない。 第一、人が入れない。入ったら即死だろう。
チェルノブイリでは、「石棺」という有名な言葉で呼ばれる、コンクリートの覆いで放射性物質の洩れを防いだ。これが27年経って老朽化し、更にこれを丸 ごと包みこむ、ドーム形のシェルターを建造中だという。目標は、石棺をこわし、溶けた燃料を取り出すことだというが、工程は決っていず、「百年かかるか も」という予測もあるそうだ。
それ程大変なことなのだから、まず被害者の救済が先決なのは、誰でも解る。国会議員でさえ解ったらしく、「子ども・被災者生活支援法」を超党派の議員が 提出、両院とも全会一致で成立した。ここまでは立法府の仕事だが、行政府が仕事を始めなければ、単なる絵に画いた餅だ。ところが行政府である安倍内閣は何 もしない。具体化の基本方針さえ作っていない。先日、復興庁の職員がツイッターで暴言を吐き、30日間の停職処分を受けたが、あのお役所は何をしているの か。ただ、政府の基本方針さえ決っていないのだから、これは安倍内閣の責任だろう。
そんな時、参院選に向けた自民党の選挙公約が発表された。安倍首相はその冒頭で「日本を覆っていた暗く重い空気は一変しました」と吠えている。いわゆるアベノミクスを自慢したいのだろうが、株の暴落で、すでに「失敗」が囁かれている。
何回も書くが、一時の株高円安は、?期待値?であって、期待が怪しいとなれば下るのは当然だろう。大体これは外国のヘッジファンドなどの投機筋が上げたもので、日本の投資家が買いつのった所を見はからって売ったらしい。損をしたのは日本人ばかりという声を聞いた。
それより前述の「被災者支援法」で何も動かないので、被災者、特に故郷を捨てる、血を吐くような決断をした自主避難者の落胆は大きい。たった2年前の、 あの「キズナ」という声は、どこへ行ってしまったのか。いくら民間に声があっても、政府が動かなければ何も出来ない。その政府、自民党は、原発再稼働に積 極的だ。こんな政府は変えようよ!
誰に変える? 原発再稼働に反対しているのは、民主、共産、社民、みどり等だ。普通は民主党に入れて、と頼むところだが、これが出来ないのがシャクだ。 何回も書いたが、前回の選挙の総括をしていない。公約違反の増税をして、歴史的惨敗をさせた野田佳彦前代表に責任(最低でも離党勧告、正しくは除名)を取 らせず、野田も平気で居座っている。こんな政党は誰も信用すまい。その証拠に、先日の都議選で大敗、何と第4党になり下ってしまった。これでも気がつかな いのか、海江田君、細野君! 総括しなければ、選挙民は前回の選挙の時と同じ政党だと思うのは当然だろう。
今からでも遅くはない。きちんと総括して、?新生民主党?という事を見せることだ。逆に大躍進した共産党は、反政府・反与党の日和らないスタンスが評価 されたのだろう。結構なことだが、国政選挙となると、地方が弱い。少々気になるところもあるが、みんなの党に入れるのも悪くない。民主党とみんなの党が選 挙協力を進めれば良いのだが、時間がない。
とに角これ以上、自民党を増やすのは危険だ。憲法改正や集団的自衛権が出てくるのは、もっと先だろうが、国民生活が危ない。アベノミクスの失敗で焦った 安倍が、これ以上の手を打つと、「給料は上らず、物価だけ上る」という、最悪の状況になるのは、目に見えてくる。その上、原発再稼働が進めば、再びあの悲劇は免れない。そうなっても誰も責任を取らない事だけは確かですよ!!