「日本政府が共産主義者に降伏」 終戦間際、中国武官が「米の最高機密」として打電
2013.8.12 09:51 (1/2ページ)[外交]
「日本中枢が共産主義者たちに降伏している」と報告した駐ベルン中国国民政府武官の電報を解読した英国立公文書館所蔵の最高機密文書ULTRA
■ソ連の中枢浸透説を補強 英所蔵文書で判明
終戦間際の昭和20(1945)年6月、スイスのベルン駐在の中国国民政府の陸軍武 官が米国からの最高機密情報として、「日本政府が共産主義者たちに降伏している」と重慶に機密電報で報告していたことがロンドンの英国立公文書館所蔵の最 高機密文書ULTRAで明らかになった。戦局が厳しい状況に追いこまれる中、日本がソ連に接近して和平仲介を進めたのは、ソ連およびコミンテルン国際共産主義が日本中枢に浸透していたためとの説を補強するものとして論議を呼びそうだ。(岡部伸)
◇
機密電報は1945年6月22日付で中国国民政府のベルン駐在チツン(中国名・斎●)陸軍武官が重慶の参謀本部に伝えた。
英国のブレッチリー・パーク(政府暗号学校)が傍受、解読し、ULTRAにまとめ、公文書館に保管されていた。英国は交戦国だったドイツ、日本だけでなく、中国など同盟国を含め三十数カ国の電報を傍受、解読していた。
電報の内容は「米国から得た最高機密情報」として、「国家を救うため、日本政府の重要メンバーの多くが日本の共産主義者たちに完全に降伏(魂を明け渡)し ている」と政権中枢がコミンテルンに汚染されていることを指摘。そのうえで、「あらゆる分野で行動することを認められている彼ら(共産主義者たち)は、全ての他国の共産党と連携しながら、モスクワ(ソ連)に助けを求めている」とした。
そして「日本人は、皇室の維持だけを条件に、完全に共産主義者たちに取り仕切られた日本政府をソ連が助けてくれるはずだと(米英との和平工作を)提案している」と解説している。
敗色が色濃くなった日本では同年5月のドイツ降伏を契機に、ソ連を仲介とする和平案が検討され、電報が打たれた6月には、鈴木貫太郎内閣による最高戦争指導会議で国策として正式に決まった。
斎●武官は、この電報のほかにも同年2月のヤルタ会談で、ソ連が対日参戦を正式に決めたと打電したほか、5月からベルンで繰り広げられた米国との直接和平工作の動きを察知して逐一報告するなど、日本の動静を詳細に把握していた。
◇
【用語解説】コミンテルン
ロシア革命でボリシェビキ派が実権を握ったソ連共産党が1919年に、「世界革命の実現を目指し、ボリシェビキが各国の革命運動を支援する」国際組織を結 成。22年に非合法に組織された日本共産党は「コミンテルン日本支部」と位置づけられた。35年まで7回の大会を開催したが、32年、「天皇制の廃止」を 打ち出したテーゼを公にした。さらに35年、最後の大会で共産主義化の攻撃目標として日本、ドイツ、ポーランドをあげ、英国、フランス、米国の資本主義国 と提携して撃破することを決議している。
●=火へんに俊のつくり