【社説】人生を台無しにするデマには厳罰を
女性芸能人による売春事件をめぐって悪質なデマが流れている問題で、無関係にもかかわらず実名を公開された女性芸能人たちが法的手段に打って出ている。女優や歌手、コメディアンなど4人がすでに検察や警察に捜査を依頼、ほかの芸能人たちも後に続こうとしているという。当人たちは「売春に関与したとして名前が挙げられ、屈辱や羞恥心を感じている。デマを流した人を突き止めてほしい」と訴えている。
女性芸能人たちが、外部に名前を知られることを甘受した上で法的手段に打って出たのは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などのインターネット上でデマが際限なく流れているためだ。実際、ネットで検索してみると、売春行為に関与したとされる芸能人の実名のリストが出てくる。売春で得たという具体的な金額まで記されたリストが、カカオトーク(スマートフォン向け無料チャット・通話アプリ)やスマートフォン(多機能携帯電話端末)のメールを通じて出回り、証券業界の情報紙にまで紹介されている。
悪質なデマや、ネット上のコメントによって苦痛を受けない人などいない。ただちに周囲の人たちの視線が変わる。顔には出さなくても「火のない所に煙は立たない」と思うようになる。当事者にとって最も信頼したい家族の視線すら変わってしまう。そうなると、人に会うことも、外出することもためらうようになり、結局何人かの芸能人は自ら命を絶つ事態に至っている。ある人の人格や人生を台無しにしてしまうデマを流す者は、追いつめて厳罰に処すべきだ。
水原地検安山支部は今年8月、芸能人による売春疑惑について捜査に乗り出し、ブローカーとされる人物について2回にわたり逮捕状を請求したが、裁判所に却下された。容疑が十分に立証できていなかったためだという。検察は、捜査が5カ月にわたって続いているにもかかわらず、記者会見で「捜査中の事件であるためコメントできない」と繰り返すば かりだ。
検察が事実関係についてはっきりと説明できず、時間だけがたつことになれば、被害者たちの苦痛はさらに増す。検察は、売春に関与した者を処罰する責任だけでなく、事実を明らかにし、何の関係もないのにデマを流された人たちの名誉を回復する責任も負っている。