Listening:春樹小説に抗議へ
「中頓別町ではたばこのポイ捨てが普通のこと」
2014年02月05日
村上春樹さん拡大写真
中頓別町の位置拡大写真作家の村上春樹氏が月刊誌「文芸春秋」の昨年12月号に発表した短編小説で、北海道中頓別(なかとんべつ)町ではたばこのポイ捨てが「普通のこと」と表現したのは事実に反するとして、同町議らが文芸春秋に真意を尋ねる質問状を近く送ることを決めた。町議は「町にとって屈辱的な内容。見過ごせない」と話している。
この小説は「ドライブ・マイ・カー」。俳優の主人公が、専属運転手で中頓別町出身の24歳の女性「渡利みさき」と亡くなった妻の思い出などを車中で語り合う。みさきは同町について「一年の半分近く道路は凍結しています」と紹介。みさきが火のついたたばこを運転席の窓から捨てた際、主人公の感想として「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」との記載がある。
町議有志は「町の9割が森林で防火意識が高く、車からのたばこのポイ捨てが『普通』というのはありえない」などとしている。宮崎泰宗(やすひろ)町議(30)は「村上氏の小説は世界中にファンがおり、誤解を与える可能性がある。回答が得られなければ町議会に何らかの決議案を提出したい」と話す。
村上氏の小説では、「羊をめぐる冒険」で中頓別町に近い美深町がモデルとされる「十二滝町」が舞台となったほか、「ダンス・ダンス・ダンス」「ノルウェイの森」などでも札幌や旭川といった北海道の街が繰り返し登場する。村上氏はエッセーで湧別町、佐呂間町などで開かれたマラソン大会への出場を明かしており、道北・道東地方に土地勘があるとみられる。
文芸春秋編集部は毎日新聞の取材に「質問状が届いておりませんので、回答いたしかねます」としている。【伊藤直孝】
◇中頓別町
北海道旭川市の北約130キロ、南宗谷地方にある人口約1900人の山間の町。明治期は砂金の採取で栄えた。人口はピークの1950年には約7600人だったが、林業の衰退やJR天北線の廃止(89年)などで急速に過疎化が進んでいる。