【萬物相】魚型ロボット
原子力発電所で放射性物質が漏れる事故が発生したとする。そこに人が立ち入れば、放射能を浴びることになる。そこでロボットが自動車を運転して出動する。ロボットはれんがが雑然と積まれた廊下を通り過ぎ、角材や鉄材などの障害物を片付け、はしごを上り、電動のこぎりで壁に穴を開け、事故が起こった場所に近付く。そして最後に、手に取り付けられた工具を用いてバルブを回し、放射性物質の流出を止める。
これはSF小説の一場面ではない。米国国防省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)が昨年末に行った「ロボット・チャレンジ大会(DRC)」に登場したものだ。同大会に登場したロボットは、つい2ー3年前まで想像すらできなかった複雑な作業をこなした。はしごや階段を上るのに10分以上かかるほど動作は遅く、不格好に見える。だがいつか、ロボットが人間に代わって危険な災害現場に投入される可能性があることを十分に示した。
ロボット技術の発展のスピードはまさに驚異的といえる。人間と会話ができるほど、ロボットの知能は進化した。人間の細かい動きをまねられるほど、制御技術も発展した。ロボットの医師が脳の手術を行うのをはじめ、教育や医療、福祉、国防、建設、海洋などあらゆる分野でロボットの活用度が急速に高まっている。ロボット技術が将来の国家や産業の競争力を左右するという話は決して過言ではない。
李明博(イ・ミョンバク)前政権が国家プロジェクトとして進めた4大河川(漢江・洛東江・錦江・栄山江)再生事業に際し、河川の水質を調査するため開発された「魚型ロボット」が、十分に泳ぎ回れない不良品だったことが、監査院による監査で明らかになった。1秒間に2.5メートル泳げるとされていたが、実際には23センチしか泳げなかった。水中での通信速度や通信距離も目標値を大きく下回ったという。試作品9台のうち7台は故障していて、テストすることすらできなかった。大統領自らPR動画を公開し、自慢した魚型ロボットだったが、その実態はあまりにもひどかった。
魚型ロボット開発の先駆者である英国エセッ クス大学は2012年、スペイン北部の港で実験を行った。だが、技術の補完が必要なため、実用化にはさらに数年かかると予測している。そんな魚型ロボットを、李明博政権は2011年末、4大河川で実用化し、輸出を促進すると豪語したが、失敗するのはむしろ当然だった。しかしだからといって、魚型ロボットの開発自体を「詐欺」と断じることはできない。水質汚染の検知だけでなく、さまざまな用途に使用できるため、先進国でも関心が高まっている。前政権の過ちのために、魚型ロボットの開発事業を断念するとしたら、それは新たな失策になりかねない。どのような理由であれ、政治が科学を悪用してはならないということが、今回の問題が与えた教訓だ。
金基天(キム・ギチョン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/17/2014081700111.html
まだ深みにはまるか。