ドローンで害虫駆除 光で誘い高電圧で 佐賀
佐賀新聞 7月9日(土)12時27分配信
大豆圃場の上空を飛行するドローン。誘虫灯をつり下げてウンカや甲虫、ユスリカなどの害虫を駆除する=佐賀市の佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センター
農業研究などの連携事業に取り組む佐賀県、佐賀大学、ITシステム開発のオプティム(本店・佐賀市、菅谷俊二社長)が、夜間にドローン(小型無人機)を 飛行させ、害虫を駆除する実証実験に成功した。圃場上空を旋回するドローンにつり下げた光源が虫を誘い出し、薬剤を使わずに高電圧で殺虫するもので、甲虫 やウンカなど夜行性害虫への効果が期待される。「自動飛行で寝ている間に害虫駆除」を理想に、実用化に向けた研究を進める。
オプティムが佐賀大学や県の研究機関の見地を基に開発した人工知能搭載の「アグリドローン」
3者は2015年8月にIT(情報技術)農業の研究と人材育成で連携協定を締結。県や大学の見地を基にオプティムが、人工知能(AI)を搭載した多機能型ドローンを開発し、佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センター(佐賀市)の圃場で実験を重ねてきた。
稲などに深刻な被害をもたらすウンカ類は、昼間は葉の裏側に隠れて温存されるほか、薬剤への抵抗性を持つものもあり、従来の防除方法では完全に駆除できないこともあった。
IT化農業このドローンには病害虫が発生している箇所を自動解析して農薬を散布する機能もあり、活発に飛び回る夜間に捕捉・殺虫することで効果的な防除方法の確立につながる可能性もある。
将来的にはロボット掃除機のように、自動飛行と充電を繰り返す“無人化”を検討している。県農業試験研究センターの田崎博文所長は「規模拡大が進む一方で農業の担い手が不足する中、農業のIT化は必要不可欠」と期待を寄せる。
3者はIT技術を駆使して生産した農産物のブランド化についての研究にも着手。パッケージの2次元コードをスマートフォンなどで読み込むと、ウェブサイ トに接続して栽培の課程や生産者からのメッセージの動画が表示されるアプリを開発した。佐賀大学の渡邉啓一農学部長は「SNSとの連動で、味の感想や調理 法、生産者への要望も書き込める。生産者と消費者、消費者同士をつなげて共感を広げれば、生産者はマーケティング情報として生かすことができる」と展望を 語る。
安くて安全一連の研究開発で目指すのは生産者の省力化と高品質化の両立だ。菅谷社長は「農薬が少ないものを食べたいという消費者と、無農薬・減農薬栽培は手間暇が かかりすぎるという生産者の間で利害が対立している一面もあったが、(IT農業により)低価格で安心・安全な野菜を届けることができれば画期的なこと。佐 賀が新たな産業革命の発祥地になりつつあると確信している」と話す。