沈む韓国経済の“深い病巣” 失業率は最悪水準の恐れ、次期大統領選にも影響か
産経新聞 12/27(火) 10:02配信
韓国経済の窮状の一端がまた浮き彫りになった。来年の韓国の失業率が、アジア通貨危機の痛手が残っていた2001年以来の最悪の水準に陥る恐れが出ているのだ。韓国経済の混迷を背景に、職探しを真剣に始める人が増加すると予想される一方、雇用の受け皿となる大企業は限られているためだ。朴槿恵大統領への弾劾訴追案が可決され、大統領選への動きが活発化していく中、雇用や貧困問題が焦点となる可能性がある。
2017年は韓国にとって、大きな波乱の年になりそうだ。来年の失業率は4%近くにまで上昇するとの予想が出ており、国民生活への影響が危惧され始めている。失業率が来年には3・9%と今年より0・2ポイント上昇する見込みで、これは01年(4・0%)に迫る水準という。ハンギョレ紙など韓国メディアが韓国労働研究院の報告をもとに伝えた。
とりわけ問題になっているのは、若年層(15~29歳)の失業率だ。聯合ニュースによると、足下の11月の若年層の失業率は8・2%と前年同月より0・1ポイント悪化し、11月としては2003年(8・2%)以来の高さとなった。全国経済人連合会が10月に公表した就職意識調査によると、新規採用が昨年よりも「厳しい」と回答した割合は50%の過半を超え、苛烈な就職戦線が若者を苦しめている。
失業率が上がる原因は、職を失っている人が増えているのに対して、求人が満たせていないためだ。11月の製造業の就業者数は、前年同月比で10万2000人が減って444万3000人。5カ月の累積値だけでも43万2000人の雇用がなくなったという。背景には、韓国経済は外需、内需の産業がともに大きな構造調整を進めており、雇用の受け皿が小さくなっていることがある。
低価格で受注する中国メーカーとの競争に劣勢を強いられている現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋は人員の縮小を含めた構造調整に懸命。日本をしのぐ「造船大国」といわれた威光はゆらいでいる。海運大手、韓進海運は8月に法定管理(日本の会社更生法に相当)を申請し、再建途上にある。
さらに、内需を支えてきた建設需要にも陰りがみえる。住宅ローンの規制緩和によって膨らんだ家計債務の問題が深刻化。バブルを抑制するため、政府が規制強化に乗り出したことで、景気に冷や水を浴びせている。
韓国経済の不透明感は増している。トランプ米次期大統領の政策に基づく、保護貿易への傾斜が輸出産業のリスクとして浮上。家計債務が重しとなって、消費の動きは鈍い。
朝鮮日報によると、政府は来年の韓国の経済成長率を従来の3%から2%台半ばに下方修正する方針という。理由については、「経済活力を阻害する要素」(同紙)が増しているためとみられる。聯合ニュースは今月の統計庁の資料では、所得や財産、職業などを踏まえた「社会的地位」について、自分が「最下層」にあると認識している割合が2割にのぼり、1994年に比べて8ポイント上昇。中間層にあると回答した割合は低下していると伝えた。中間層の希薄化が懸念される。
朴槿恵大統領の弾劾が認められた場合に行われる大統領選では、韓国経済の窮状をどう解決するかは、大きな焦点になる可能性がある。海外メディアが注目するのは、歯にきぬきせぬ言動から「韓国のトランプ氏」とも呼ばれる京畿道城南市の李在明市長だ。安全保障上では、日本を敵性視するような発言で知られる。
「李氏は、就職難に加え、政治や企業腐敗に怒る国民を味方につけようとしている」。ブルームバーグニュースは11月下旬、李氏の動向をこう分析した。
民間の世論調査では、大統領選候補とみなされている人物の支持率で、李氏は国連事務総長の潘基文氏、「共に民主党」の文在寅氏の2人に次ぐ3位につけた結果もある。ポピュリズムに傾きやすい政局にある中、どんな経済政策を次期大統領が打ち出すのか。韓国経済にとっても変化の年になるのは間違いない。