記事入力 : 2017/07/05 09:26
【コラム】文在寅政権のTHAAD交渉論は中国の干渉を招くだけ
文在寅(ムン・ジェイン)大統領がワシントンに発った日、イ・ヘチャン元首相は北京で終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題をめぐり、中国から再び「訓戒」された。
「アジア交流・信頼構築会議(CICA)」に出席するため、6月28日に訪中したイ元首相は中国の王毅外相と会見した際、「現実をしっかり認識しろ。THAAD配備決定を撤回しろ」と言われたという。
1カ月前に習近平主席から座席配置で冷遇されたのに続き、中国の現職閣僚に辱めを受けたことになる。
イ元首相は弱小国の政治家の悲哀と憤りを感じたはずだ。
中国の圧力はそれにとどまらない。数日後、ドイツのハンブルクで文大統領は習主席と会わなければならない。
文大統領はワシントンで「THAAD配備に対する疑念は捨てても構わない」「韓国の主権的決定に中国が不当に干渉することは間違っている」と発言した。
そうした立場を明確にした以上、韓国はこれ以上あいまいな言葉で中国の攻勢を避けることはできない。
今は「中国の難関」を正面から突破すべき時だ。そのアプローチを探るためには、過去数カ月間の韓中関係の流れを振り返る必要がある。
韓国大統領選の数カ月前から中国ではTHAAD関連の報復を取りやめるような動きが見えた。
中国の知識人からは「韓国に対する経済制裁は効果がなく、両国関係を傷つけるだけで、韓国を米日同盟にさらに密着させることになる」という反省論が聞かれた。
慶尚北道星州郡にTHAADの発射台2基が配備された際にも、中国の追加的な報復はなかった。
4月中旬に中国の邱国洪駐韓大使は「夏になれば(中国人)観光客が帰ってくる」と述べた。
中国の旅行会社は韓国の団体観光客募集を再開した。
そんな流れが覆されたのは、大統領選に勝利した文在寅政権が「THAAD問題での対立は中国との交渉で解決する」と自信を見せた直後からだった。
韓国がTHAAD問題に「交渉の余地」があるかのような態度を見せると、中国はすぐに強硬モードに戻った。
習主席は文大統領との電話会談の半分(20分)をTHAAD問題をめぐる圧力に割き、楊潔チ国務委員(外交担当、チはたけかんむりに褫のつくり)は「中国と仲良く過ごせば、韓国も豊かになる」と脅しをかけた。
この過程から得られる教訓ははっきりしている。文政権の「交渉論」がかえって「中国の強硬な干渉」を招いたという点だ。
国民の生命を守る主権の中心的事項であり、韓米同盟の決定事項であるTHAAD問題を第三国との「交渉対象」としたこと自体が問題だった。
仮に中国との交渉で中国が韓国の安全保障上の決定を変えさせる前例ができれば、韓国は今後いかなる外交上、安全保障上の決定も思い通りには行えず、中国に振り回されることになる。
文政権が中国の歓心を買おうとする理由は理解できる。北朝鮮問題の解決に中国の協力が必要だと考えているからだ。
しかし、中国は既に2009年の北朝鮮による2回目の核実験後、温家宝首相を平壌に派遣し、大規模な経済協力に合意し、北朝鮮の政権維持を非核化よりも優先させることを決めた国だ。
その決定には習主席も加わった。その後、金正恩(キム・ジョンウン)が核実験を3回行っても、習主席は石油と食料の供給を止めなかった。中国と北朝鮮は韓米を離間させるという共通の目標を持っている。中国に北朝鮮への実質的な経済圧力を期待すること自体が幻想だと言える。
大国を相手にする際、小国の武器は「原則と論理、そして一貫性」だ。
韓国政府はまず、「国家主権に対する侵害や干渉を容認せず、自由民主主義と人権、言論の自由の価値はどんな外部圧力があっても放棄せず、大国が小国を圧迫するといった不平等な関係も認めない」という外交原則を表明する必要がある。
その原則の上に立ち、「THAADに対する周辺国の懸念を理解するが、韓国の安全保障主権に対するいかなる干渉も排除する」との立場を公式化すべきだ。
その上で、誰が何を言おうとも毅然と対処しなければならない。韓国が態度を変えれば、中国は追加的な経済報復に加え、武力を誇示するかもしれない。しかし、大統領が先頭に立ち、「国民が団結して勝ち抜こう」と呼びかければ、十分に克服可能だ。文在寅政権が中国の圧力に打ち勝てば、韓国は格が異なる国になるはずだ。