韓国人学生、米国ビザ審査に向け中東旅行の写真を削除
米国の大学院の博士課程進学を考えている大学院生キム・ジンギュさん(28)は先週、半日かけて自身のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の投稿をすべて見返した。そして、特定の宗教に関する写真を見つけては削除した。ひょっとしたら米国ビザ申請時に不利益を被るかもしれないと心配だったからだ。キムさんは「特定の宗教を連想させるレストランに行った時の写真や、何気なく共有していた記事のリンクなど、書き込みをすべて細かくチェックした」と言った。
米国政府は5月23日、ビザ発給時に必要があれば申請者のSNSの過去の書き込みまですべてチェックするという審査方法を導入した。テロや人種差別などに関する内容がないか調べるということだ。これにより、米国留学希望者とその保護者たちはSNSをチェックし、少しでも疑われそうな内容は削除している。「デジタルの緋文字」を残さないということだ。
ソウル市瑞草区在住の主婦キム・ヒョンジュさん(46)は先日、高校2年生の娘と口論することが増えた。米国留学を予定している娘は、インスタグラムなどのSNSをよく利用している。キム・ヒョンジュさんは、校内の世界伝統文化サークルで活動する娘がよく考えもせずに写真をアップしたりニュースを共有したりして、ビザ審査に引っ掛かるのではと心配しているのだ。こっそり娘の携帯電話やフェイスブックのアカウントをチェックすることもある。
不安に駆られて米国のビザ業務を専門に扱う法律事務所に相談する親も多い。ビザ発給厳格化の話が最初に出た今年3月以降、江南一帯の留学エージェントやビザ業務代行業者は、相談や特別講座などでSNS活用法を指導している。この業者は、「米国の大学入試で、SNSに少しでも疑われるような内容があれば削除を。代わりにチェロやピアノの演奏動画をアップロードするように」と勧めている。パシフィック・エドゥのチョ・ユンス代表は「個人のSNS管理も米国留学や大学入試の準備内容の1つと考えて臨むよう勧めている」と話す。
留学関連のインターネット掲示板には、「米国のビザ審査に備えたSNSの活用法」など数百件がアップされている。「米国に何か縁があるようなニュアンスを漂わてはならない」などの内容だ。これは、「不法滞在者になるのでは」と疑われないためのものだ。
また、「中東などの危険地域に旅行した時の写真は削除を」という書き込みもある。留学希望者のパク・ボギョンさん(30)は「あまりにもビザ審査が厳しいので、小さな事も1つ1つ気にかかる」と言った。
米政府が今年5月、ビザ審査時に必要なら申請者の個人情報を追加要求できようにしたのは合計9項目だ。SNSのIDや過去15年間の旅行記録、就職記録なども含まれている。このため、米国内の移民法専門家の間でも、「善意の被害者が発生するのでは」という懸念が出始めている。
米国務省は「テロ防止のため不適格者を選別するための措置だ。出身国の区別なく、年平均ビザ申請の0.5%に当たる約6万5000人だけが適用を受けるだろう」としている。
しかし、「一般の人々のビザ審査にもマイナスの影響を与えざるを得ない」と専門家たちは指摘する。こうした話に焦りを感じている保護者らは、ネット上の評判を管理するため「デジタル葬儀屋」に頼むこともある。SNSだけでなく、過去に子どもがネット上にアップした記事を完全に消す代行業者を探すという意味だ。先月5日、米ハーバード大学のフェイスブック内にある非公開チャットルームに、扇情的かつ人種差別的なコンテンツを掲載したという理由で米国人の入学予定者10人が入学許可を取り消された。それ以降、米国の大学でも志願者のSNSを厳しく調べているといううわさが飛び交っている。
事実、米国の大学は入学予定者のインターネット活動を厳格に審査している。今年2月に北米地域の教育企業カプランがアンケート調査を実施した結果、大学入学担当者365人のうち35%が「入学審査の過程で志願者のSNSを確認したことがある」と答えた。米国内の一部の大学は、入学担当部署に志願者のSNSスクリーニング(選別)を担当する職員を置いている。