村上春樹氏「目的持って書いた小説は文学的に成功できない」
『騎士団長殺し』出版で韓国の読者にメッセージ
日本の小説家・村上春樹氏(68)=写真=が長編小説『騎士団長殺し』韓国語版の出版にあたり、出版社「文学トンネ」に送った電子メールで作家としての見解を明らかにした。
同氏は韓国と日本の歴史をめぐる葛藤を解く文学の役割について、「歴史において『純粋に白黒つける』判断はできないというのが私の個人的見解ですが、現在のインターネット社会では、『純粋に白黒つける』という原理で判断が行われるのが常」「小説(物語)はそうした断片的な思考に対抗するため存在するものだと私は考えていますが、そういう意味で、今こそ小説が一種の(良い意味での)戦闘力を備えるべき時期ではないでしょうか」と書いている。
『騎士団長殺し』で東日本大震災の悲しみも示唆した村上氏は、韓国の「(沈没した旅客船)セウォル号文学」について、「どのようにすればあのように大きく深い集団的な心の傷を生きた物語として表現し、さらに癒すことができるでしょうか? これは非常に難しい課題です」「一つ忘れてはならないのは『あるはっきりした目的を持って書かれた小説は文学的にほとんど成功していない』のが事実で、目的は抱きながら目的をしのぐ(あるいは消してしまう)ことがどんなに難しくても、そうした試みにぜひ挑戦しなければならないことです。できれば、その中の全員が共有できる何かを構築すべきです」と述べている。
さらに、「物語の力」については「私の定義では、物語とは頭で考えて作り出すことができるものではなく、体の中から自然に流れ出てくる、あふれてくる物。意味や定義、○○主義などをはるかに超えた物であり、時には理性や善悪の概念すら超越したりもします」と強調した。