南北鉄道・軍事合意・対北制裁解除…ことごとくぶつかる韓米
韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官が「5.24措置(対北独自制裁)の解除を検討中」と発言したことをめぐり、米国のトランプ大統領と米国務省は即座に反応した。トランプ大統領は10日(現地時間)「彼ら(韓国)はわれわれ(米国)の承認なしに(対北制裁を)解除しないだろう」と述べ、国務省は「われわれがその地点(非核化)に早く到達できれば、より早く制裁を解除できるだろう」とコメントした。北朝鮮の非核化が口先だけの状況にある現在、制裁解除を検討するのは早すぎるというわけだ。
この日の米国務省の定例記者会見では「(トランプ)政権内には『韓国は現在進行中の(非核化)プロセスで北朝鮮に傾倒し過ぎている』という認識があるのか」との質問が飛び出した。パラディーノ副報道官は「我々は緊密に調整している」と答えたが、これに対し「それは、あらゆる面で同意するという意味ではないのではないか」との質問が続いた。パラディーノ副報道官は「われわれ(韓米)は互いに率直に話しているため、さまざまなことを成し遂げる可能性がある」と述べた。外交の世界では「率直に(frankly)話す」という表現は、意見の隔たりが大きいという意味に受け止められる。
米国の専門家も、韓米の摩擦が大きくなることを懸念している。米国民主主義防衛財団(FDD)のデービッド・マクスウェル先任研究員は同日、米国のラジオ自由アジア(RFA)に対し「対北制裁をめぐる意見の違いから韓米間に亀裂が生じた」として「最大限の圧力政策が終わったことを明確に示している」と述べた。米タフツ大学外交専門大学院のイ・ソンユン教授はRFAに対し「韓国政府は米国の同盟国でありながも、北朝鮮と米国の間で仲介者の役割を自任し、北朝鮮の肩を持ってきた」として、康京和長官による対北制裁解除発言もこうした流れから来ていると指摘した。米国カーネギー国際平和財団(CEIP)のジェームス・ショフ先任研究員は「韓国が対北制裁を解除すれば、北朝鮮は交渉であまり譲歩しなくなるだろう」とした上で、韓国による対北制裁解除が米国の交渉力の弱体化につながるとの見方を示した。
このように、さまざまな次元で対北制裁解除をめぐる韓米の意見の違いが表面化したことは、韓米間の亀裂が深刻になっている証拠だと受け止められている。南北関係の進展を急ぐ韓国と、韓国の「前のめり」に不満を抱く米国は、既に8月からことごとくぶつかり合っている。開城工業団地内の南北共同事務所の開所、南北鉄道連結事業、板門店宣言の履行に向けた南北軍事合意書、対北制裁の緩和・解除、これらに対する韓米の立場の違いが鮮明になり、その範囲も急拡大する様相を呈している。
韓国政府は当初、開城工団の南北共同連絡事務所を8月に開所する方向で物資などを搬出していた。これに対し、米国務省は水面下で「対北制裁に違反する恐れがある」と警告してきたが、韓国政府は「制裁違反には全く当たらない」と真っ向から反論した。すると米国務省のナウアート報道官は「(韓国が制裁に違反していないかどうか)それら全てに目を通したい」とさらに強く警告した。8月下旬には、韓国政府が南北鉄道連結に向けた共同調査の名目で軽油とディーゼル機関車を5泊6日の日程で北朝鮮に搬出する予定だったが、在韓国連軍司令部の承認を得られず頓挫(とんざ)した。国連軍司令官は在韓米軍司令官が兼任している。先月中旬にはポンペオ米国務長官が、南北の軍事分野での合意書など南北首脳会談での合意事項について強く抗議した。制裁解除・緩和に対する韓米の意見の違いは、もはや隠し切れない状況となった。
こうした中、北朝鮮・中国・ロシアは対北制裁解除を一斉に要求し始めた。3か国は今月9日にモスクワで次官級会議を開き「北朝鮮の非核化措置に注目しつつ、国連安保理が適当な時期に対北制裁を見直す必要がある」との報道文を共同で発表した。豊渓里核実験場の爆破や東倉里のミサイルエンジン試験場の解体など、北朝鮮が取った措置に合わせて対北制裁を解除・緩和する必要があるというわけだ。こうした中朝ロの団結は、対北制裁をめぐって微妙な立場の違いを見せる韓米にとって、北朝鮮対応での協力をいっそう難しくする要因となっている。