2018年、K-POPは世界の音楽シーンを席巻した。
あらためて紹介するまでもなく、そのブームを牽引したのはBTS(防弾少年団)だった。
アジア圏出身者として「ビルボード200」で1位を獲得する史上初の快挙を成し遂げ、Spotifyの年間ランキングでは「世界で最も聴かれたグループ」部門に、K-POPアーティストとして初めてランクイン(2位)するなど、2018年はBTSにとってまさに躍進の年になった。
英語が堪能なメンバーは7人中ひとりしかおらず、韓国語で歌う彼らが、なぜ世界でブームを巻き起こしたのか。そして、なぜ日本にはBTSのようなアーティストがなかなか生まれないのか。
K-POPアーティストがコンテンツを配信するアプリ「V LIVE」を通じて、普段あまり語られることのない「プラットフォームによる世界戦略」の観点から、BTSならびにK-POPが世界で成功した秘密を探ってみたい。
熱心なK-POPファンなら、「V LIVE」を知らない人はほとんどいないだろう。V LIVE」を知らない人はほとんどいないだろう。
LINEの親会社としても知られる韓国の大手ネット企業・NAVERが運営するライブ配信アプリで、BTSをはじめとする韓国の人気アーティストの多くがここで動画コンテンツを配信している。ライブ配信アプリで、BTSをはじめとする韓国の人気アーティストの多くがここで動画コンテンツを配信している。
V LIVEは、2015年に立ち上がった当初からK-POPのスターを世界に向けて売り込むことを目的としていた。ローンチ時からSMエンタテインメントやYGエンタテインメントといった韓国のメジャーな芸能事務所と提携し、アプリ内の言語はデフォルトが英語だ(翻訳言語は選択できる)。
NAVERのIR情報によると、V LIVEの累計ダウンロード数は2018年10月時点で約6000万。2017年のデータでは、その8割以上が海外からだという。
公式には「スターのライブ配信アプリ」と説明されているが、17 Live(イチナナ)やSHOWROOMのような「ライブ配信」に特化したサービス、というわけでは必ずしもない。アーティストが自ら配信する動画のほか、バラエティ番組やダンスの練習動画なども多く配信されている。
ファンによる字幕)」の存在は避けて通れない。記者は、この「ファンサブ」こそがBTSを世界に押し上げたキモなのではないか、とすら考えている。
BTSを例にとってみよう。2019年1月1日、BTSがV LIVE上で配信しているバラエティ番組「Run BTS!(走れバンタン)」の新しいエピソードが公開された。
メンバーはすべて韓国語で話しているが、記者が配信翌日の1月2日に確認した時点で、すでに20以上の字幕が付けられていた。さらに、翌週の1月7日には、字幕の数は38にまで伸びていた。
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その多くに「(ファン字幕)」と注意書きがされている。数えてみたところ、38の字幕中、28がファンによる字幕だった。しかも、1言語あたり1字幕ではない。トルコ語などは、コミュニティごとになんと5つのバリエーションのファン字幕が存在した。
この字幕を実現したのは、「V Fansubs」という、V LIVEが提供するファンによる字幕コミュニティだ。V LIVEの動画は、登録すれば誰でも簡単に字幕をつけることができる。
V LIVE側も、ファンサブを促進する。多くつければレベルが上がり「バッジ」が与えられ、優れた翻訳者はサイト上で「Best Members」として紹介されたり、V LIVE上で使える通貨(V COINS)が与えられることもある。
個人だけでなくチームで字幕をつける機能もあり、「V Fansubs」上では言語ごとにファンコミュニティが築かれ、ファンたちは日夜、競うようにして、BTSやほかのアーティストが韓国語で発した内容に字幕をつけているのだ。
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