アフガニスタン

抜粋
日本唯一、江戸時代の技術がアフガニスタンを緑豊かな土地に
福岡県朝倉市にある山田堰は、日本の三大暴れ川に数えられる筑後川の中流に位置する、水田に水を引く灌漑設備。水の流れに対して約20度の角度を持った堰(せき)を造ることで、高い水圧を緩和するなどの治水機能が特徴の「傾斜堰床式石張堰」と呼ばれる日本で唯一の方式を導入している。
江戸時代の1790年に築造されたもので、以来、数度の改修工事を経て今なお、約484ヘクタールの水田を潤し続けている。大掛かりな機材がなくても造ることができ、生態系への影響も少ない。
山田堰と同時期には、地元住民が工夫を重ねて築造した三連水車1基と、二連水車2基も完成。現在も当時と変わらぬ自動回転式の水車が稼働し、山田堰から支流に流れ込んだ水を、35ヘクタールの農地に届けている。
中村医師は、アフガニスタンで医療支援を行う中、日常生活や農業を支える水の必要性を痛感し、井戸を掘る支援も数多く実施してきた。ただ、干ばつと洪水を繰り返す気象状況のため安定した水の調達は実現できず、参考になる技術を探していた。
福岡県久留米市出身の中村医師。日本各地の灌漑施設を見て歩く中で、同じ福岡県内の山田堰と水車に巡り合った。九州では、洪水や、河川水量の増減幅の大きさなど、治水に苦労してきた経験があり、アフガニスタンの状況と重なるところも多い。「これならアフガニスタンにも適用できる」と確信したという。
PMSの灌漑事業に山田堰の方式を導入し、2003年から現在までに6ヵ所で計31.27キロの灌漑用水路を築造し、1万6,500ヘクタールもの農地を灌漑農地として回復させた。草地すらなかった地域に、現在では、広大な麦畑と牧草地が広がっている。
アフガニスタンで実際に導入されている山田堰と水車の技術を実際に目にした研修員は、大型の重機がなくても造ることができ、水車の稼働には電気などの動力も不要であることに驚いていた。「工夫次第でこの技術を祖国に広めていける」と語り、今後につながる研修になった。
https://www.jica.go.jp/topics/2016/20160720_01.html