新たな北朝鮮動乱の始まり
米朝首脳会談は、私もシンガポールで約1週間にわたって取材した。かつて朝鮮戦争で血みどろの戦争をしたアメリカと北朝鮮のトップが、12秒間にもわたり、がっちり握手を交わした姿は、感動的だった。
gettyimagesあの時、金正恩委員長の手は緊張で震えていた。トランプ大統領は、「核兵器の代わりに、北朝鮮にハワイをプレゼントしよう」とリップサービスした。
だがその後、米朝和解は進まなかったし、国連の厳しい経済制裁も解かれなかった。
2019年2月に、米朝両首脳は再度、ハノイで会したが、「ハノイの決裂」と呼ばれる大失敗に終わった。金正恩委員長は同年4月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との初会談に期待したが、やはり成果なく終わった。
gettyimages2020年1月下旬、北朝鮮は新型コロナウイルスの流入を防ぐため、中国との国境を封鎖した。国連の経済制裁に加えて、貿易の9割以上を担う中朝国境を封鎖したことで、北朝鮮経済はいよいよ崩壊に向けてカウントダウンとなっていった。
それとともに、金正恩委員長のストレスも、かつてないほどに強まっていったのだろう。暴飲暴食がたたり、デビューした頃は推定80kgだったのが、130kgを超える巨漢となった。そして健康を害していったのである。
今後、金与正体制が順風満帆に行くなどと考える世界の北朝鮮ウオッチャーは、おそらく皆無だろう。中朝国境の町・丹東の関係者が語る。
「すでに4月27日から5月20日までの丹東と大連を結ぶ高速鉄道は、すべて運行停止になった。緊急事態を発令して人民解放軍が中朝国境に増派されるという噂が立っている」
新たな北朝鮮動乱の始まりである。