G7外相声明に「台湾」明記 対中包囲網、欧州も足並み
主要7カ国(G7)外相会合が5日(日本時間6日未明)に閉幕し、権威主義的な動きを強める中国の抑止を狙った共同声明をまとめた。G7の外相や首脳級のもので初めて台湾問題にも言及した。4月の日米首脳会談を踏襲する表現とし、対中包囲網づくりに欧州も足並みをそろえた。
「外交が復活した」。議長のラーブ英外相は中国情勢などの議論を終えた4日、記者団にこう述べ、G7が国際社会を再び主導するとの意欲を示した。
G7外相が共同声明をまとめるのは2年ぶりだ。米大統領がG7の枠組みを「時代遅れ」と批判していたトランプ氏から同盟国重視のバイデン氏に代わり、結束を再確認する流れはあった。
中国への危機感が各国のG7への求心力を高めた側面もある。中国への対処を書き連ねた文言がならんだ。
なかでも中国が「核心的利益」と位置づける台湾問題は「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と盛り込んだ。中国が反対する台湾の世界保健機関(WHO)の会議参加も支持した。
台湾から地理的に遠いためフランスやドイツ、イタリアの3カ国の危機感は当初、日米に比べ薄かったという。茂木敏充外相はG7各国の外相と個別に会談し実情を訴えた。
議長国が香港の旧宗主国、英国だったのも大きい。香港での国家安全維持法制定を機に中国への警戒を強めており、日米と欧州側との橋渡し役を担ったとみられる。
共同声明は中国が領海侵入を繰り返す東シナ海や南シナ海の情勢にも触れ「一方的行動に対する強い反対」を強調した。中国に「人権及び基本的自由を尊重するよう求める」と明記し、新疆ウイグル自治区やチベットでの人権侵害に「深い懸念」を示した。
米国は日本やオーストラリアなどと協調して中国と向き合う戦略を描く。欧州勢が加われば対抗策の選択肢は広がる。問題は連携姿勢をどう実効性のある抑止力につなげるかだ。
欧州はインド太平洋地域への安全保障上の関与を強める。英国は最新鋭空母を派遣し、フランスも5月中旬に九州で日米と離島防衛の訓練をする。欧州連合(EU)は9月にもインド太平洋戦略を初めてまとめる。
欧州各国は数年前まで中国との経済関係を重視してきた。中国の巨大市場を取り込み、対内投資も増やす狙いがあった。
香港情勢で欧州の対中観は厳しくなった。コロナ禍の初期に中国が敷いた情報統制や、新疆ウイグル自治区での人権侵害で不信感を強めた。
それでも欧州で濃淡は残る。ドイツやイタリアなどは中国との経済関係への影響は最小限にしたいのが本音とみられる。
メルケル独首相はG7外相会合に先立ち、中国の李克強(リー・クォーチャン)首相とオンラインで協議した。中国は日米欧の連携にくさびを打ち込む機会をうかがう。
中国外務省の汪文斌副報道局長は6日の記者会見で、G7に関し「歴史を後退させる集団政治で、中国の主権に乱暴に干渉した」と反発した。
台湾のWHO会議への参加支持にも「(中国大陸と台湾は一つの国に属するという)『一つの中国』の原則に基づいて必ず対応すべきだ」と主張した。ウイグル族を巡る人権問題や香港情勢への言及には「すべて中国の内政だ。強烈に非難する」と訴えた。