「デジタル同盟」から排除
――朝鮮半島の激変は案外と近い、ということですね。
鈴置:次のアジアの激変は台湾有事――中国の台湾侵攻であり、それは2022年2月の北京五輪の後と見られてきました。しかし、その前に米中が外交的にぶつかる「朝鮮半島有事」が発生すると覚悟を固めた方がよさそうです。軍事衝突は伴わないにしても、同盟関係を激変する可能性が高いのです。
4月8日、米上院外交委員会は超党派で練った「Strategic Competition act of 2021」(戦略的競争法2021)を公表しました。
経済・軍事両面で中国との競争にうち勝つためにすべきことを定めた法案で、同盟国・パートナー国との協力に重きを置いています。
金真明記者も「米、反中連合戦線から韓国排除」(4月10日、韓国語版)との見出しで報じました。「韓国排除」とあるのは、法案で韓国の影が異様に薄かったからです。
この法案は米国のデジタル覇権を維持するため行政府に「デジタル貿易協定」(Digital Trade Agreement)を結ぶよう求めてもいます(48-52ページ)。中国に立ち向かう民主主義国だけで先端技術を共有する一方、中国製品には依存しない戦略です。
「デジタル同盟」の参加国に挙げたのはEU、日本、台湾と、米国と機密情報を共有するファイヴ・アイズ(英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の国々。しかし、韓国の名はありませんでした。
それに関しメネンデス外交委員長は「5G問題において米国と同じ立場の国々を集めた」と金真明記者に語りました。韓国の通信会社が中国のファーウェイ(華為技術)の5G機器を使い続けていることが問題視されたと同記者は分析しています。
米国は5G協力機構「クリーン・ネットワーク」を掲げ、ファーウェイの基地局を使うなと同盟国に求めましたが、韓国政府は無視しています。
――韓国は中立を認められるということでしょうか?
鈴置:大国が激突する時、地政学的に重要な位置にある国は中立を許されません。二股をかける韓国は中国と同様、敵国扱いされて西側の技術ネットワークから追い出されるのです。
先端半導体素材の韓国への供給を絞る「5G」攻撃に、米国と日本は予想外に早く乗り出すことになるのかもしれません。