五輪選手村の食堂は「24時間営業&700種類」 世界のトップ選手は何を食べて強いのか
7/23(金) 19:03配信
220「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#7
五輪選手村のメインダイニング【写真:Getty Images】
「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信する。「THE ANSWER」でスポーツ栄養の連載を手掛ける公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏は「オリンピックと食」をテーマに、一般のスポーツ愛好家、指導者・保護者向けに短期連載を展開。今回は「選手村の食事とアスリート食」について。(構成=長島 恭子) 【画像】「超超超美しい」「驚くべき写真だよ」と海外ファンが漏れる感嘆 セーリング練習中、富士山の撮影に成功した奇跡の1枚 ◇ ◇ ◇ 東京五輪の大会中、選手に食事を提供するメインダイニングでは、24時間営業で、1日4万5千食を提供。地域別(日本、西洋、アジア料理)、ベジタリアン向け、ハラル食と、あらゆる食文化に対応できるよう、700種類のメニューが準備されています。 また、カジュアルダイニングでは、おにぎりやお好み焼きなどを用意。ここでは、各国選手が日本各地の食材・食事を味わえるようになっています。このように五輪のような国際大会では、日本の食文化から、異文化交流、そして日本人自らも自分たちの国の食文化を再認識する機会になるよう、考えられています。 さて、「トップアスリートは何を食べているのか?」「外国人の選手が実践している食事法は効果的なのか?」。スポーツの現場では、指導者や保護者からこういった質問をよく受けます。「強い選手は何を食べるべきか?」は誰もが知りたい情報ですが、実はアスリートの食事の基本的な考え方は世界共通です。 2010年、IOC(国際オリンピック委員会)は、スポーツ栄養に関する合意声明を発表。その内容を基に、IOCのNutrition Working Groupは、アスリートの実用的な栄養についてまとめたガイドブック「Nutrition for Athletes」を制作しました。 そこには、次の様な記載があります。
世界に共通するアスリート食の基本、大事なのは「自分に合った食べ方」を身につけること
「エネルギーの必要量を満たし、野菜、果物、豆・豆製品、穀類、脂身の少ない肉、油、炭水化物を中心としたバラエティに富む健康的な食事であれば、アスリートに必要なビタミンやミネラルを十分に補うことができるでしょう」 つまり、必要なエネルギー量(kcal)は種目や年齢、性別、トレーニングの時期によって異なりますが、世界的に理想的なアスリート食とは個々に合ったエネルギー量を満たし、「高タンパク、高炭水化物、低脂肪でビタミンミネラルが豊富なバランスのよい食事」となります。 実はこの考え方は、日本のアスリート食の基本も同じです。国によって違いがあるのは、食材やメニュー。例えば、日本ならば主食は米やうどんが中心ですが、国によってはパスタ、パン、じゃがいもなどに変わります。また、タンパク質は日本の場合、肉や魚だけでなく大豆製品もよく食べられます。「外国人が何を食べているか?」は問題ではないのです。 むしろ大事なのは「自分に合った食べ方」を身につけること。必要なエネルギー量(kcal)は種目や年齢、性別、トレーニングの時期によって異なります。しかし、アスリートは高いパフォーマンスを維持しながら体を強くするために、自分に必要なエネルギー量を把握し、食事で摂取しなければいけません。 調理法にこだわったり(例えば、肉や魚は網焼きや蒸し焼きにして余計な脂質を落とすなど)、いつ何をどのぐらい食べるべきかを考えられたりと、食べ方をコントロールできるか否かが重要です。 IOCの合意声明には、「食事は競技成績に大きく影響する。アスリートは、精神的・身体的能力を最大限発揮するため、練習や試合前・試合の合間・試合後に必要な栄養を摂る必要がある」とも記されています。コロナ禍で選手たちも外出の機会が限られるなか、大会期間中の食事が世界のアスリートの身体と心のパフォーマンスの支えになってくれるといいですね。 長島 恭子 編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、以上サンマーク出版)、『走りがグンと軽くなる 金哲彦のランニング・メソッド完全版』(金哲彦著、高橋書店)など。 橋本 玲子 ラグビーワールドカップ(W杯)2019で栄養コンサルティング業務を担当。2003年ラグビーW杯日本代表、サッカーJ1横浜F・マリノス(1999年~2017年)、ラグビートップリーグ・パナソニック ワイルドナイツ(2005年~現在)ほか、車いす陸上選手らトップアスリートのコンディション管理を「食と栄養面」からサポート。また、ジュニア世代と保護者に向けての食育活動も行う。アメリカ栄養士会スポーツ循環器栄養グループ(SCAN)並びに、スポーツ栄養の国際的組織PINESのメンバー。アメリカ栄養士会インターナショナルメンバー日本代表(IAAND)として、海外の栄養士との交流も多い。近著に『スポ食~世界で戦うアスリートを目ざす子どもたちに~』(ベースボールマガジン社)
長島 恭子 / Kyoko Nagashima