韓国経済評論家「ソフトランディングは不可能だ。思い切って利上げするしかない」……とは言うものの現実は厳しくて
2008年危機に対応した韓国元金融委員長が警告「利上げ、先送りすべきではない」(中央日報)「ソフトランディングはどちらにしても不可能だ。景気低迷を短期間に強く体験するのだと腹を括るべきだ。利上げなどで断固として対応してこそ本当の危機を避けることができる」
崔鍾球(チェ・ジョング)元韓国金融委員長は「2008年の金融危機時に活発だった国際共助は現在作動しない」と28日、中央日報紙との電話インタビューで話した。 (中略)
--韓国は危険な状況なのか。
「原材料輸出国を除くほとんどの先進国通貨の価値が下落していて、潜在成長率が減少している。だが、1990年代後半の通貨危機や2008年金融危機のような外貨流動性危機が再び発生する可能性は極めて低いと考える」
--現危機を緩和する優先的な解決法は。
「韓国の経済危機は対外バランスが崩れて外貨流動性が不足するときに起こった。対外バランスのためにも、物価安定のためにも、利上げは避けられない」
--金利上昇にともなう経済衝撃が大きいが。
「対外状況を見ても景気低迷は避けられない。沈滞の谷が深く短くてこそ、素早く渡ることができる。沈滞を緩和しようと変に利上げ速度を遅らせれば、為替レートも、市場も安定させることができずに沈滞を長引かせてしまう状況に陥りかねない。沈滞が深くなることを恐れずに物価安定に焦点を置くというメッセージを明確にしなければならない」 (中略)
--家計負債、不動産景気に対する展望は。
「利上げに伴う不動産市場の衝撃は取引規制緩和などマクロ政策で対応しなければならない。財政も役割を果たさなければならない。消費・投資・輸出が萎縮する状況から財政まで収縮的に運営すれば、景気鈍化幅を過度に広げかねない」
(引用ここまで)
8月の韓国の消費者物価指数は前年同月比で+5.7%と伸び自体は鈍化しているものの、相変わらず高い水準で推移していました。
この5日にも9月分が発表される予定ですが予想値は同じく5.7%。
アメリカの8%台が続いている状態、あるいは10%に到達したユーロ圏に比べればだいぶマシとはいえ、インフレ傾向。
というわけで経済評論家らは「積極的な利上げ」を提唱しています。
マクロで見たらそうなるしかないのも実際かな、とは思います。
この記事で書かれているように、アジア通貨危機やリーマンショックの一時期に見られたような外貨流動性危機は構造的には起きづらい。
ウォンの独歩安というわけでもなく、韓国の金融システムへの不安からのウォン安というわけでもない。
ドル高局面であるという状況。
ただ、それを起因としているインフレは続いているのでそれを収めるためにも、また外資が逃げ出すことを避けるためにもアメリカの利上げに追随していくしかない。
ただまあ、ミクロで見ると世界で有数の規模となっている家計負債、不動産ローンをどうするのかという視点もあるとは思います。
金利を決定する機関である金融通貨委員会の次回は10月12日。
これまでは0.25%ずつの利上げでしたが7月は0.5%の利上げに踏み切り、「ビッグステップを踏む場合もある」という認識を市場に見せました。
ま、8月は0.25%に戻ったのですけども。
問題は韓国の屋台骨を支えている半導体が8月時点ですでにマイナス成長に落ちこんだことです。
韓国の8月の半導体生産、18年1月以来の前年割れ-世界で需要鈍化(ブルームバーグ)
半導体、特にメモリの特性として「儲かる時はアホほど儲かるけども、損をする時も膨大な額になる」というものがありまして。
後者の時期に入りつつある感触です。円安なのに「メモリの買い時はいま」くらいの感じになってます。珍しく。
正直、こんなん舵取りどうすりゃいいのよって感じですね。
金利を上げなければインフレ加速にキャピタルフライト。
金利を上げてしまえば家計負債の増大が確実。おまけに半導体不況をはじめとする不況に対応できないかもしれない。
こんな国の金融政策に関わりたくないわー。