韓国、最低賃金の1.7%上昇を決定。3%近いインフレを記録していてもそこに賃金を合わせることができない事情とは?
韓国の最低賃金ついに1万ウォン超え…11年で倍増、中小企業は悲鳴(朝鮮日報)
韓国の来年度の最低賃金が1万30ウォン(約1149円)になることが12日に決まった。これは今年の9860ウォン(約1130円)よりも170ウォン(約19円)高く、1988年に最低賃金の制度が導入されて以来、37年間ではじめて1万ウォン(約1150円)を突破し、また最低賃金が5000ウォン(約573円)となった2014年から11年で2倍になった。 (中略)
時給1万30ウォンは週40時間勤務での月給に換算すると209万6270ウォン(約24万243円)となり、今年よりも3万5530ウォン(約4071円)高くなる。来年度の上昇率1.7%は2021年の1.5%に続いて過去2番目に低い。最低賃金は文在寅(ムン・ジェイン)前政権発足直後の2018年に16.4%、2019年に10.9%と2年連続で10%以上も上昇するなど、ここ5年で41.5%も高くなった。しかし尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後の2023年は5%、今年は2.5%の上昇にとどまっている。
今回の決定後、民主労総は「最低賃金の上昇率は3年連続で物価上昇率に満たず、実質賃金はさらに減少した」と指摘し、韓国労働組合総連盟(韓国労総)も「低賃金労働者の叫びが鮮やかに目に浮かぶ」と反発した。これに対して小商工人連合会は「小商工人の経済的、心理的マジノ線(最終防衛ライン)である最低賃金1万ウォンの壁が崩壊した」「もはや耐えられないレベルの人件費上昇は最終的に事業主に1人だけの経営を強要する形となり、雇用の減少につながるのは避けられない」と批判した。中小企業中央会も「営業利益で利子さえ返済できない中小企業が今や過半数を占めており、今後破産や廃業が予想される今の経済状況を考えると、中小企業経営者が強く求めてきた最低賃金の凍結が実現しなかったことは非常に残念だ」とコメントした。
(引用ここまで)
韓国における来年の最低賃金が1万0030ウォンに決定。
今日のレートで1151円くらいですかね。
170ウォン(約19円)の上積み。伸び率としてはコロナ禍であった2021年の1.5%以来、史上2番目の低さとなる1.7%。
ユン政権的にも苦肉の策として「名目上、1万ウォンを超えよう」とした……って感じです。
というのもインフレ具合はここ数ヶ月は収まりつつあるものの、いまだに高い状況が続いています。
1~6月の消費者物価指数はこんなところ(前年同月比)。
1月 2.8%
2月 3.1%
3月 3.1%
4月 2.9%
5月 2.7%
6月 2.4%
ちょっと目を離すと3%台に再突入してしまう感じ。
なのでスタグフレーションを起こさないためにも賃金を追随させたいのは山々なのですが。
韓国の内需そのものがついてきていない。
「韓国は外需頼りの国」との話を幾度となくしてきています。
原料や部品、製造機械を輸入して半導体、船舶、自動車などを輸出する。いわゆる加工貿易国。
特に半導体、というかメモリは韓国経済そのものの行方を左右するほどの存在となっています。
その一方で内需はまったく育っていない。
外需関連の企業に就いていれば(実質定年となる45歳くらいまでは)それなりの賃金を得ることができるのですが、そうでなければ……まあ暮らすのも厳しいくらいの賃金しか得られない。
そんな中、ムン・ジェイン政権は「内需関連で働く人たちの情勢が厳しいのなら、賃金を上げればいいじゃない」とばかりに2年で最低賃金を30%も上げてしまったわけです。
あれでそれでなくても脆弱だった内需はだいぶやられた感じです。
パイの奪い合いが起きて、その結果が「なにもせずに休んでいる」244万人の30・40代の働き盛り、ですね。
「ただ休んでいる」人口が244万人で歴代最大…「経済の腰」 30代・40代で急増=韓国(中央日報)
これは6月時点での数字。5月は233万人だったので、1ヶ月で11万人ほど増えました。
なので、インフレ気味であっても最低賃金を増やそうにも、わずかしか増やせない。
かといって現状から減らすこともできない。
二律背反の状況に追いこまれているわけです。
ムン・ジェイン政権の経済政策、即効性もあった上で遅効性でも次政権にまで効いてくるっていうね。
希代の政治家でしたわ……。