「ラーメン」が欧米でファッション化、
イタリア超富裕層向けリゾートのディナーにも
9/3(火) 14:15配信

最近よくミラノやローマの高級レストランで「WAGYU(和牛)」というメニューを見かけるようになった。いま「和牛」という日本語は、イタリアで一般人に通じるようであるそして「RAMEN(ラーメン)」に至っては、ひとりでに旧来のイメージとはかけ離れたファッションアイテムになりつつある。
■麺はたった7本!
例えば筆者は取材のため先日、北イタリアの高級リゾートMy Arborを訪れた。そこは一泊数十万円という富裕層向けの高原リゾートで、絶景を誇るレストランがあり、イタリアの中高年夫婦が至福のバカンスを過ごす場所だ。すべての宿泊者には同一の約2万円のディナーコースが提供されるのだが、なんとそのディナーの前菜に「ラーメン」があった。
「ラーメンが前菜」という不思議な立ち位置も驚くが、ドレスアップしたイタリア人老夫婦の麺をすする姿が新鮮だった。 子連れ禁止の高級レストランである。しずしずと運ばれてきた一品からは、椎茸の仄かな香りがする。数本のスバゲッティのような麺、小さなズッキーニと、刻みネギが美しく散りばめられている。ぷかぷか浮いているその麺は、数えてみると、なんとたった7本しかなかったのである。
ここで肝心であることは、果たして本物の「ラーメン」であったかどうかではない。 それが近年まで「マンガ」「アニメ」「ゲイシャ」といったキーワードで若者を魅了してきたニッポンという国が、その若年層向けイメージから脱皮しようとしているワンシーンだったということだ。
白い陶器のなかでは、椎茸が香る出し汁に加え、ガルダ産エキストラ・オリーブオイルがブレンドされている。その一流のシェフが丹精を込めてつくる「ラーメン」は、日本伝統食材の粋を集めてイタリアンと融合させた、麺よりも出し汁を味わう逸品だったのだ。
■安全に金を落とせる島国、ニッポン いま日本を訪れる富裕層は、秋は京都の高級旅館や、冬はニセコで、気前よく円を落としていく。
欧州におけるニッポンのイメージは刷新されつつある。ウクライナ戦争や中東紛争を始め、物騒になっていく情勢のなか、ニッポンという国は安全に金を落とせる島国だ。そしてフェラーリを路上駐車できる数少ない国である(ローマでは数時間で盗難にあう)。東京は高級時計のパテック・フィリップを腕につけて歩ける都市である(パリでは絶対にやめたほうがいい)。 ところでよくイタリアの富裕層がレストランで口にしている「WAGYU」という代物は、本当に日本から遥々運ばれたものなのだろうか? たいていの場合、それは、否である。 海外で提供されている「和牛」のほとんどは、オーストラリア産かアメリカ産だ。本物の日本産黒毛和種であることは、滅多にない。実は和牛由来の遺伝子含有率が50%以上なら、どこの国の牛であっても「和牛」になってしまうという事実がある。 だからよくイタリアの裕福なひとびとは、神戸からはるばる運ばれた和牛と思って有難く一皿一万円を払い、豪州産牛肉を食べている。「ニッポンの和牛」はステータスシンボルになりつつあるのだ。
こうした「RAMEN」や「WAGYU」を通して、海外のひとびとがどんなイメージを抱くのかということだ。 ファッションデザイナーのヴィクトリア・ベッカムは、訪日したとき、滞在中に一家でラーメンを食べたことを世界に向けて発信している(夫はあの元サッカー選手のベッカムである)。ヴィクトリアは、スチームした野菜と魚しか口にせず、夫のベッカムにすっぴん眉を見せないという完璧主義者である。実はキム・カーダシアンやリアーナも、”日本でラーメン食べた”アピールをしている。 彼女たちの脳裏にある「RAMEN」は、私たちのイメージとは異なる、なにかファッショナブルなものなのだ。それはヨーロッパの高級リゾート地のディナーのような、私たちの想像が及ばないところから派生しているのである。 事実、いま訪日客の年齢と客単価は、飛躍的に向上している。2023年の訪日外国人旅行消費額は、約5.3兆円と、過去最高を記録した。私たちの知らないところで、アニメやマンガとはまた異なる角度から、日本のイメージが創られているということも要因だ。これから若年層が大半を占めていた訪日勧告客の比率は、徐々に変わっていくのだろう。
もはや日本食は高級料理の代名詞
たまにはキムチでも食べてもらえ!w