世界のメディアも大きく取り上げました。
CNN
「韓国の民主主義がしっかり機能しているといえます。『大事な自由や民主主義を渡さない』と韓国民は意思表示したのです。この問題は、いずれ是正されると東アジアの同盟国にも伝わるでしょう」
ニューヨーク・タイムズ
「アメリカの同盟国の一つである韓国で、政治的混乱が生じ、独裁政権時代の記憶を呼び起こされた」
なぜ、尹大統領は、このような強硬手段に出たのでしょうか。
指摘されているのは、政権の行き詰まりです。
今年4月の総選挙で、与党が喫した大惨敗。それ以降、政府として法案を通すことはできず、逆に、野党が出してくる法案には、大統領権限である拒否権を連発して凌ぐことしかできませんでした。さらに、野党は、尹政権を骨抜きにするため、何人もの閣僚や官僚を排除しようと画策。これにも拒否権を発動して対処してきました。
その間、キム・ゴンヒ大統領夫人にも、さまざまな疑惑が降っては沸いてを繰り返す日々。最近は、過去に株価操作をしていた疑惑がかけられ、一度は不起訴になったものの、再捜査を求める法案が、議会を通過しようというタイミングでした。
いまのところ、尹大統領からの説明は、まだありません。
今回の戒厳令は、韓国が40年近くかけて推し進めた民主化の道に暗い影を落としています。
韓国で、最後に全土に戒厳令が出されたのは44年前。
軍事政権から民主化への転換を望む市民運動が、当時の全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領によって弾圧された光州事件です。
民間人166人の命が自国の政府に奪われるという凄惨な事件は、国内に衝撃を与え、その後の民主的選挙の実現に結び付ついたのが、この事件です。以来、歴代の大統領がどんなに窮地に陥っても、戒厳令を出す人は一人もいませんでした。
市民からは、厳しい声が向けられています。
大学生(20代)
「2024年にあり得ないこと。国民を欺く行為です」
不動産業(60代)
「国民はバカではありません。今回のことで、政権の政策がよくなかったことに気づくでしょう」
農家(40代)
「これは違うと思って遠くから来ましたが、現実を見ると、もっとひどい。一日も早く、この政権は終わるべきです」
戒厳令解除に1票を投じたキム議員もこう話します。
野党『共に民主党』 キム・ミンソク最高委員
「大統領は、本人と妻が犯した不法なことを隠して、“捜査・弾劾から逃れたい”との執着心から行動したと思います。正常に国の政治を行う能力がありません。早く辞任した方が、国も本人も不幸にならない」
野党6党は4日、尹大統領に対し、弾劾訴追案を共同で提出しました。早ければ、6日にも採決されることになります。
ソウルの国会前では、久しぶりに大規模なろうそく集会が行われました。ろうそく集会は、光州事件をきっかけにした民主化運動から生まれたといわれています。