韓国・尹大統領「弾劾不成立」のはずが…”可決されるまで弾劾再発議”で「親北反日」李在明大統領誕生の可能性が高まる「まさかのシナリオ」
ひとまず弾劾は否決されたが
尹錫悦大統領に対する弾劾案は、ひとまず、国会を通ることができなかった。
7日午後5時、国会本会議場で行われた「弾劾表決」は、保守大統領の2度目の弾劾に対する負担感を感じた保守与党の「国民の力」議員が本会議場から集団で退場することで「表決定足数不足」により弾劾案が破棄された。一方、一緒に表決された「金建希夫人疑惑捜査のための特別検事制」も「反対」が102票も出て不決となった。
ただ、これは決して終わりではない。「共に民主党」(以下民主党)は11日に再び弾劾案を発議すると明らかにしただけに、今後も韓国政界は混乱が深まるものとみられる。
尹大統領に対する弾劾案が国会に報告された5日、与党「国民の力」は緊急議員総会を経て、「弾劾反対」を党の方針に決めた。しかし、6日午前、韓東勳(ハン・ドンフン)「国民の力」代表が弾劾賛成に転じ、一時弾劾が国会を通過するという見方が多かった。
この日、韓代表は、「昨夜、戒厳令宣布当日に尹大統領が主要政治家らを反国家勢力という理由で高校後輩であるヨ・インヨン防諜司令官に逮捕するよう指示した事実、大統領が政治家ら逮捕のために情報機関を動員した事実を信頼できる根拠を通じて確認した」とし、「大韓民国と国民を守るために尹錫悦大統領の早急な職務執行停止が必要だと判断する」と話した。弾劾賛成という立場を遠回りで示したもので、20人程度に達する韓東勳系議員が賛成に転じる可能性が高くなった。そもそも108議席の「国民の力」から8票が賛成すれば、弾劾案が国会で成立するという危機的状況だった。
主要政治家逮捕命令は出されたのか?
韓代表が言った「信頼できる根拠」とは、洪チャンウォン国家情報院第1次長の証言だった。6日午前、国会情報委員会に出席した洪次長は戒厳令宣言直後、尹大統領から「これを機にやつらを全員捕まえろ! 全部片づけろ! 国情院にも対共捜査権を与えるから防諜士に協力しろ」という電話を受けたと証言した。洪次長は、「尹大統領が電話で禹元植(ウ・ウォンシク)、李在明(イ・ジェミョン)、 韓東勳(ハン・ドンフン)、曹国(チョ・グク)、金命洙(キム・ミョンス)前最高裁判事などの名前を挙げながら逮捕を命じた」といった。
しかし、洪次長は尹大統領の命令に従わずじっとしていて、戒厳令が解除された後に退勤したそうだ。そのうえ、洪次長は、「金龍顯(キム・ヨンホン)国防部長官を解任したのは戦略上の後退で、後任の崔秉赫(チェ・ビョンヒョク)サウジアラビア大使は金氏の影響力の下にいる人物であり、再び戒厳のような危険なことを犯そうとするものだ」という解説も付け加えた。
ただ、情報委のブリーフィングに遅れて参加した趙太庸(チョ・テヨン)国情院長は、「大統領からそのような指示(政治家を逮捕しろという)を直接受けたことはなく、自分に代わって大統領の電話を受けた洪第1次長からも『これといった指示はなかった』という報告を受けた」と証言し、意見が食い違っている。
弾劾が早ければ早いほど李在明が勝つ
6日午後から「国民の力」所属の自治体首長や元老たちが続々と弾劾反対の立場を表明したことで、「国民の力」の気流は再び弾劾反対に傾いた。ここに尹大統領も国会表決がある7日午前10時に国民向け談話を出して「今回の戒厳宣布と関連して法的·政治的責任問題を回避しない。第2の戒厳のようなものは決してないだろう」と国民に謝罪した。また、自身の去就について「任期を含めて今後の政局安定方案は党に一任する」として、第二線に退く意向を表明するや、韓代表も弾劾反対側に傾くことになったと考えられる。
これから「国民の力」では、「尹大統領の職務停止と任期短縮のための改憲」を解決策として提示して、国民を説得すると思われる。韓国の大統領任期の規定は「5年任期の単任制」となっているが、「4年任期の重任制」のための改憲を論議するということだ。ひとまず尹大統領は職務を中断し、韓悳洙(ハン・ドクス)首相と国民の力が国政を共同運営するという立場だ。とにかく李在明「共に民主党」代表に対する裁判の結果が出るまでは、どんな手を使っても最大限時間を稼ごうとする戦略だろう。
現在、李在明代表は15件の容疑で4件の裁判が進行中で、最近、京畿道知事時代の法人カードを私的に流用した容疑についても新たに起訴された。このうち、すでに1審で「懲役1年、執行猶予2年」の有罪判決が下された選挙法違反は、早ければ6ヵ月で最高裁の判決まで言い渡される可能性がある。 もし、最高裁で最終有罪判決を受けるなら、李代表は10年間被選挙権が剥奪され、次の大統領選挙には立候補できなくなる。そのために、民主党では最近、「6ヵ月以内に勝負を出す」という戦略を立て、国会を利用して尹錫悦政権を圧迫しながら広場で民主労総などの支持勢力を利用して弾劾集会を続けてきたのだ。
尹大統領の弾劾が早ければ早いほど、李在明代表の大統領確率は高くなる。尹大統領が弾劾される瞬間、李代表に対する裁判がオールストップする可能性が高い。また、与党はもとより野党でも、現在は李在明代表と争うほどの大統領選候補が不在だという点も、李代表に絶対的に有利な状況だ。 このため、共に民主党内部でも、非李在明派閥の議員たちと文在寅派閥の議員たちは、時間を稼いで自分たちの大統領候補を立てたいという内心もあると思われる。 一時、文在寅大統領の後継者と呼ばれた金慶洙(キム・ギョンス)前慶尚南道知事が急遽ドイツから帰国したのも、まさにこのような流れのためだ。
8年前ほど熱くはない
韓国の憲法によると、弾劾が憲法裁判所で認められれば、60日以内に大統領選挙を行わなければならない。8年前の朴槿恵大統領弾劾当時、国会で弾劾が通過したのが2016年12月9日、憲法裁判所で弾劾が認められたのが2017年3月10日で、それから60日後の2017年5月9日に大統領選挙が行われ、大方の予想通り野党の文在寅候補が41%の得票率で大統領に当選している。
当時、与党だったセヌリ党(現「国民の力」)は、弾劾賛成派と反対派が激しく対立し、分党事態まで起こり、保守系で3人の大統領候補が出たため、自滅してしまった。国民の力は、このような過去を教訓に、時間稼ぎに乗り出したのだ。
しかし、李在明代表がこれに賛成するはずがない。民主党はすでに11日にもう一度弾劾案を発議すると予告しており、同時に弾劾に向けた場外集会を主導し、今後も弾劾案が可決されるまで繰り返すものとみられる。
カギは国民世論だ。現在は圧倒的に弾劾賛成世論が高いが、李在明代表に対する韓国国民の「非好感度」も想像以上に高い。そのため、まだ序盤ではあるが、広場のろうそくの熱気は8年前のように熱くない。むしろ危機を感じた保守たちが広場に集結している形だ。11日に再び行われる弾劾案再発議まで、ソウルの「広場」では進歩と保守の熱い対決が繰り広げられるものとみられる。