韓国で凶悪犯罪が激増…「主犯」は30・40代
凶悪犯の検挙率低下、量刑も軽く
「激増する凶悪犯罪」
1997年のアジア通貨危機以降2007年までの10年間で、殺人・強盗・強姦・放火の4大凶悪犯罪が
およそ2倍に増加していることが判明した。同じ期間における凶悪犯の検挙率と起訴率は
低下傾向にあり、凶悪犯罪に対する裁判所の量刑も軽くなっていることが明らかになった。
犯罪の様相も変わっている。1987年までは、凶悪犯罪者の内70%以上を初犯が占めていたが、
2007年には前科3犯以上の再犯者が49%を占めている。
犯罪者の年代も高くなった。1987年の段階では、凶悪犯罪者の50%以上は10代から20代の
初犯だった。しかし2007年には、1960−70年代生まれの30代・40代が凶悪犯罪者の50%以上を
占めている。
こうした事実は、韓国開発研究院(KDI)のキム・ドゥオル博士(40)のチームが、韓国の凶悪犯罪
発生件数・凶悪犯罪在発生率・凶悪犯検挙率・量刑などを、1967年から2007年までの40年間分を
分析した結果、明らかになった。専門家らは「凶悪犯罪の増減に関しては、これまで局地的な
統計はかなり出されていたが、40年もの長期に渡る深い研究は前例がない」と説明した。
キム博士のチームが行った調査によると、韓国の凶悪犯罪は、人口の増加速度を大きく上回る
勢いで益々急激に増加している。増加の傾向を比較検討してみると、事態の深刻さは明らかだ。
1967年から2007年までの間、韓国の人口は70%増えた。1970年−80年代までは急速に増加したが、
その後次第に増加の勢いは鈍っていった。
しかし、同じ期間における凶悪犯罪発生件数を年別に見ると、1967年が3495件、1977年が5303件、
1987年が9298件、1997 年が1万1512件、2007年が2万922件となっている。当初の3000件台から
1万件台まで増加するのに20年(1967年−87年)かかっていた。次の10年間(87年−97年)は
1万件台を維持した。ところが1997年を起点に年間2000件から3000件の勢いで激増し始め、
わずか10年で 2万件を突破した。
凶悪犯罪が急増し始めた時期(1997年)、既に韓国の人口は停滞期にさしかかっていた。
その一方、「人口10万人当たりの凶悪犯罪発生件数」を意味する凶悪犯罪発生率は、
1997年の25.1件から2007年には43.2 件へと大きく増えた。これは、人口が急増していた
1960−80年代の凶悪犯罪発生率が、67年11.6件、77年14.6件、87年22.3件と比較的緩やかに
上昇していたのとは対照的な現象だ。
1960−70年代生まれの人々が凶悪犯罪者の半数を占めるようになった理由について、
専門家らは第1にこの世代の人々がベビーブーム世代として扱われる年代の人に比べ数が多い、
という点を挙げた。
また専門家らは、この年代の人々に特有の成長経験に注目している。1960年代生まれの人々は、
幼年期に絶対貧困を経験した最後の世代であると共に、成人する時期には高度成長に入り、
相対的な貧困感を体験した最初の世代でもある。また1970年代生まれの人々は、
大学を卒業し社会に進出する時期にアジア通貨危機を経験した。
高麗大社会学科の金文朝(キム・ムンジョ)教授(60)は、「これらの人々は、前の世代が社会へ
成功裏に進出したり安定した地位を獲得した年齢(20歳−30歳台)で通貨危機を経験し、
常に雇用不安を抱え、競争に苦しんできた。生活苦と憤怒が化学反応を起こし、
全般的な犯罪率上昇に繋がった可能¥性がある」と語った。
今回の研究は、それまで政府が展開してきた凶悪犯罪抑止政策の成果について、
根本的な問いを投げかけている。通貨危機以降、警察による凶悪犯罪容疑者の
検挙率と起訴率はいずれも減少傾向を示している、とキム博士のチームは分析した。
警察の凶悪犯罪検挙率は、97年の93.1%から07年には 89.4%に下落。同じ期間に、
検察による起訴率は58.6%から28.6%へと半分以下に水準まで下がった。
反面、凶悪犯罪者に対する裁判所の平均量刑水準は、通貨危機以前より軽くなる傾向を示した。
キム博士は「1970年後半の時点では、有罪を宣告された刑事被告人10人中4人が死刑あるいは
懲役刑などの自由刑を宣告されたが、 2000年代中盤にはこの比率が10人中2人に落ちた」と語った。
このように国家の犯罪抑止力が落ちた原因をうかがわせる数字の一つが、警察・検察に対する
人的・物的支援の統計だ。警察に対する人的・物的資源の投入は、過去10年の間、
事実上「凍結」状態にあった。警察の規模を人的側面から見ると、70年代中盤の約5万7000人から
90年代中盤には約16万人まで増えているが、97年以降現在までは約14万人の水準を維持している。
検察の捜査力増強のための支援もまた、停滞状態にある。検察全体の人員は、88年4771人、
97年7714人、07年9352人と増えてはいるが、犯罪の増加速度には追いつけずにいる。
凶悪犯罪の被害は、女性・子供・老人など抵抗する力がない社会的弱者に集中している。
東国大警察行政学科の郭大瓊(クァク・テギョン)教授(45)は、「政府は、凶悪犯罪が急増する中で
治安環境に適応できず、後を追うこともできずにいる、というのが実情。今からでも国家的レベルで
知恵を絞り対策を作り上げなければならない」と語った。警察大行政学科の表¥蒼園
(ピョ・チャンウォン)教授(43)は、「遅まきながらではあるが、韓国も先進国のように
凶悪犯罪に対する専門機関を設立し専門家を養成しなければならない」と語った。