日本、インドネシアに「もがみ型」護衛艦と潜水艦提案 海外専門メディア報道
日本政府が進める防衛装備輸出拡大の動きが、インド太平洋地域でさらに広がりつつある。
日本がインドネシアに対し、海上自衛隊の「もがみ型」護衛艦と潜水艦を提案していることが明らかになった。
インドネシア海軍のムハンマド・アリ参謀長が認めたもので、日本が進める防衛装備輸出拡大の新たな案件として注目されている。
世界の海軍専門ニュースサイトのネパールニュースやインドネシア防衛専門メディアが報じた。
報道によれば、提案は、小泉進次郎防衛相とインドネシアのシャフリ・ジャムスディン国防相による5月4日の防衛相会談で伝えられた。
インドネシア側によれば、現在は国防省が内容を精査している段階で、最終判断は今後下されるという。
インドネシア国防省報道官は、導入の可否について「運用上の必要性」「予算」「技術移転」「国益」の4要素を総合的に検討すると説明。
「現時点では調達決定には至っていない」と強調した。
背景には、日本政府が進める防衛装備移転三原則の運用緩和がある。
この改定により、一定条件下で艦艇やミサイルなど殺傷能力を持つ装備品の輸出が可能となった。
インドネシアは2021年、日本と防衛装備・技術移転協定を締結しており、新制度の対象国となっている。
小泉防衛相は今月初旬のジャカルタ訪問で、防衛装備・技術協力や海洋安全保障協力を含む包括的な枠組み「防衛協力取り決め(DCA)」に署名した。
その際、日本の武器輸出制度見直しについて説明し、インドネシア側も新枠組みを活用した実務協力に前向きな姿勢を示した。
日本側は近年、「もがみ型」の売り込みを積極化している。
2023年5月には2番艦「くまの」、2025年5月には5番艦「やはぎ」がインドネシアに寄港した。
同年10月にはアリ参謀長、11月にはシャフリ国防相が海自横須賀基地を訪問し、「くまの」や潜水艦を視察した。
潜水艦については、中古の「おやしお型」への関心が取り沙汰されている一方、インドネシア側は最新鋭の「たいげい型」も視察しており、複数の選択肢を検討しているとみられる。
「もがみ型」は近年、国際的な注目を集めている。
オーストラリアは2025年、もがみ型の能力向上型「新型FFM」を次期汎用フリゲートとして選定。
ニュージーランドも同艦を英国の31型フリゲートと並ぶ最終候補として検討している。
さらに米国でも、日本の艦艇設計や造船能力への関心が高まりつつある。
もっとも、インドネシア側は対中関係にも配慮しており、日本との防衛協力を進めつつも、「対中包囲網」の一員として位置付けられることには慎重な姿勢を維持している。
日本の防衛装備移転は、単なる武器輸出にとどまらない。
軍事的には限定的でも、戦略的には、装備やサプライチェーンを共有することで、中堅国(ミドルパワー)同士の安全保障ネットワークを構築しようとする意味合いを帯びつつある。
