狙われたのは「臓器」 中国で路上生活者殺害
中国の中でも有数の貧困地区といわれている貴州省の貯水池で今年6月、1人の路上生活者の遺体が見るも無残な状態で見つかった。闇の臓器移植ビジネスの犠牲となったとみられており、中国政府が2007年に禁止した後も、中国での臓器売買を取り巻く状況が改善されていないことが浮き彫りになった。
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記事本文の続き 中国誌「財経」は8月31日付の最新号で「器官何来?」と題する特集記事を掲載した。
それによると、事件は少数民族が住む貴州省興義市威舎で起きた。威舎駅周辺には7〜8年前から一人の路上生活者が住み着いていた。年のころは35〜40歳。両手は黒く汚れ、左右不揃いの靴をはいていた。1年中同じボロボロの衣服を着て、レストランのゴミ箱をあさって生きていたが、施しを受けたときの笑顔が印象的で、レストランの店主らは好ましく思ってさえいたという。
■警察が病院を摘発
6月のある日、男性が清潔な衣服をまとい、ボサボサだった髪の毛をきれいにそり上げて現れた。驚いた飲食店の女性店員が尋ねた。「どうしてそんなに格好良く変わったの?」。男性はうれしそうに笑ったという。住民が男性の姿を見たのは、その日が最後だった。
約1週間後の6月15日、貯水池で男性の遺体が見つかった。肝臓、腎臓、脾(ひ)臓(ぞう)など臓器の大半や眼球がえぐり取られていた。目は縫いつけられた痕があったという。
犠牲者は路上生活者。だが、この猟奇的な事件は思わぬ展開を見せた。警察が臓器移植が盛んなことで知られる広東省広州市の中山大付属第3病院を摘発。肝移植科の張(ちよう)春峰(しゆんほう)副主任(37)らが事件に関与した疑いがもたれているのだ。
「移植大国」の中国では、年間約1万1千件の臓器移植が行われている。13億人超の人口をもってしてもドナー(提供者)は不足している。生体間移植のための臓器売買が横行しているといわれ、中国政府は06年7月に臓器売買を禁止した。臓器の主な供給源は死刑囚で、中国衛生省はその比率を全ドナーの65%としているが、「財経」は「90%以上」と指摘した。
■貧困層の売買やまず
しかし、お金を稼ぐために臓器を売る貧困層は後を絶たず、時には売買する臓器を得るために乳幼児を誘拐することもあるとささやかれる。臓器ブローカーは財経に対し、移植関係者の間で腎臓一つが6万(約80万円)〜15万元(200万円)で取引されている、と明かしている。闇の臓器売買はびこる理由はここにある。
臓器売買に絡む殺人事件で医療関係者の関与が明らかになったのは今回が初めて。衝撃を受けた関係者らは無償のドナー制度の確立を訴えているが、生活にする貧困層が存在し、臓器提供を待つ患者が多数いる限り、闇のビジネスの根絶は難しい