
若いうちから額の生え際が後退したり髪の毛が薄くなったりする「男性型脱毛症」の治療の中に、科学的根拠が十分ないものもあるとして、日本皮膚科学会は、どの治療が学会として推奨できるか5段階で評価した初の診療ガイドラインをまとめました。
「男性型脱毛症」は、男性ホルモンの働きによって、20代から40代にかけて額の生え際が後退したり、頭頂部の髪が薄くなったりするもので、育毛剤や飲み薬による治療、それに髪の毛を移植する植毛などが行われていますが、十分な効果が得られなかったり、頭皮が炎症を起こして髪の毛が生えなくなるなどの問題も報告されています。
このため日本皮膚科学会では、それぞれの治療にどの程度科学的な根拠があるか、公表されている研究論文を元に、A、B、C1、C2、Dの5段階で評価し、学会が推奨する方法をまとめました。
その結果、▽育毛剤については、主成分が「ミノキシジル」の製品のみ「発毛効果に関する良質の根拠がある」として最も高いAと評価し、▽「アデノシン」や「tーフラバノン」などは、髪の毛が太くなるなどの効果が一部の試験で報告されているものの、信頼性の高い試験の数が少ないなどとして「行うことを考慮してもよいが十分な根拠がない」=C1としました。
また▽頭の薄くなった部分に後頭部から取ってきた自分の髪の毛を植え付ける「自毛植毛」については、十分な経験と技術をもつ医師が行う場合には、「勧められる」としてBと評価しましたが、▽化学繊維の毛を使う「人工毛植毛」については、皮膚の炎症など多くの有害事象の報告があり、勧められないとしてDと評価しました。
診療ガイドラインを策定した、日本皮膚科学会の委員会の代表で、東京医科大学の坪井良治教授は、「育毛剤もさまざまなタイプが出ているが、ガイドラインに載っているもの以外は、科学的な根拠がなかった。トラブルが少しでも減るようガイドラインを役立ててほしい」と話しています。
学会では、今月下旬からホームページなどを通じてガイドラインを一般にも公開することにしています。