デンマークのローリガン
By デンマーク大使 | 4月 26, 2010サッカーファンとして常々残念に思うのは、サッカーには暴力が付き物であるかのように思われがちであることだ。興奮したファンと警察が試合の場で争い続ける姿がなくなれば、こうした誤解も解けやすいのにと思う。
一方、デンマーク代表チームのサポーターが応援態度の良さで高く評価されていることを、私はいつも誇りに思っている。デンマーク代表チームに関する全てがそうであるように、こうしたファンの姿も1980年代初め〜半ばに始まった。
1985年、コペンハーゲンの国立競技場で、デンマーク代表チームは翌年のワールドカップメキシコ大会に向け、強豪ソ連との予選に臨んでいた。そのほんの数日前、ベルギーのヘイゼル・スタジアムでイギリスのクラブチーム、リヴァプールFCのサポーターが暴徒化し、39人の死者が出るという悲劇のショックから、世界中のサッカーファンはまだ立ち直れずにいた。このソ連戦で、意外にもデンマークは若干18才の ミカエル・ラウドルップが2点をゴールし、4-2の伝説的な勝利を収めた。デンマークは国を挙げて喜びと興奮に酔いしれたが、その光景がベルギーでの惨事とあまりにもかけ離れていたため、デンマークの新聞BTはデンマーク・サポーターを表す「ローリガン」という言葉を作った。ローリガンは「静かな」という意味の単語「Rolig」と、それと真逆のフーリガンを掛け合わせた造語である。この言葉には、デンマーク・ファンは応援の熱意ではどこの国にも負けないが、決して暴力には訴えないという意味が込められている。
この言葉はデンマークで人気を呼び、1986年には公式のローリガン協会が設立された(現在も存在している)。今ではこの言葉が使われる頻度も減り、皮肉な意味合いも帯びているが、デンマーク代表チームのサポーターは誰しも、陽気で暴力と無縁なローリガンであることを誇りに思っているに違いない。
デンマーク国民ぼうぜん…殴り合いも
2010.6.25 08:19サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で24日、日本に敗れたデンマークの首都コペンハーゲンでは、市庁舎前のパブリックビューイング(PV)に集結した約1万5000人のサポーターがぼうぜんとした表情を浮かべた。岡崎慎司選手の3点目のゴールが試合を決定付けると、試合終了を待たずに立ち去る人が続出した。
PV会場に集まったサポーターは20~30歳代の男性が中心で、多くはデンマークの赤いユニホーム姿。試合当初は自国選手のプレーに声を張り上げて熱狂したが、本田圭佑選手のフリーキックが決まると、悲鳴にも似たどよめきの後、会場は静まり返った。続いて遠藤保仁選手が2点目を入れると、怒ったサポーターが飲みかけのビール缶を投げ捨てるなど、会場の熱気は一気に冷めた。
後半に入ってもなかなか点が取れないもどかしさからか、殴り合いのけんかを始めるサポーターも。
友人と観戦に来た大学生のベックブロンツさん(23)は「日本の選手は団結していた。欧州のチームが失った献身の姿勢が感じられた。素晴らしいチームだ」と日本を称賛。友人のシモンズさん(25)は「試合前は正直、日本がここまでやるとは全く予想しなかった。10年、20年後には中国も含めてアジアの国々は世界のトップグループに入るだろう」と話した。(共同)