市民レベルで不満が爆発しているようです
予報ではなく中継をした気象庁
注意報は5分前、警報は10分前に
ソウル都心に突然の集中豪雨が降り注いだ21日午後1時20分、気象庁はソウル全域に大雨注意報(12時間の降雨量を80ミリ以上と予想)を発令した。しかし実際には予報というよりも、雨の実況中継のようだった。ソウル市江西区禾谷洞に設置された気象庁自動気象観測網の降雨計の目盛は、同時刻にすでに72ミリを指しており、そのわずか5分後の1時25分には80ミリに達した。
気象庁が大雨注意報を大雨警報(12時間の降雨量を150ミリ以上と予想)に引き上げた午後2時の時点でも、やはり予報とは言い難かった。当時、江西区周辺にはすでに136ミリの雨が降っており、大雨警報が発令された10分後には150.5ミリを記録していた。これでは市民、政府、地方自治体が大雨に備える時間は5-10分しかない。気象庁は前日の20日夜11時には、ソウルの21日の総降雨量を10-40ミリ、21日午前5時には20-60ミリと予測していた。この予報は実際に豪雨となる2-3時間前の午前11時まで続いた。
21日に降り注いだ突然の豪雨は、狭い地域に集中して雨を降らせる典型的なゲリラ性豪雨だった。9月下旬の降雨量としては、ソウルで気象観測が始まった1908年以来、まさに102年ぶりの記録だ。この日はソウル市江西区、江南区に293ミリの雨が降ったのをはじめ、25区のうち18区で降雨量が200ミリを上回った。とりわけ21日に降った雨のおよそ85%が、午後1時から5時までの4時間に集中し、ソウルは一気に水浸しとなった。
集中豪雨が発生した最も大きな原因は、異なった性質を持つ二つの大気がソウル、京畿道地域の首都圏周辺で衝突したことにある。モンゴルから急速に南下した冷たく乾燥した大陸性の高気圧と、温かく湿った太平洋高気圧がソウルを中心として東西に細長い停滞前線を形成し、その影響でソウル周辺地域に巨大な雨雲が発生、大量の雨をもたらしたというわけだ。
気象庁は今回のゲリラ豪雨を降らせた大きな原因として、21日に発生した台風12号の影響とみている。太平洋高気圧の勢力は通常、この時期には大陸からやって来る冷たい大陸性高気圧に押されて南下するはずだが、赤道周辺に位置する台風12号が太平洋高気圧南下の障害となり、二つの高気圧がぶつかり、ソウル周辺に大量の雨を降らせたというわけだ。
集中豪雨:ソウル中心部が水浸しになったワケ
清渓川は橋のすぐ下まで水があふれ、排水機能がまひして逆流
排水処理や雨水対策を徹底している中浪川では冠水・浸水被害は発生せず
秋夕(チュソク=中秋節、今年は9月22日)連休初日の21日、ソウル市内各地では1時間に最高98.5ミリの豪雨が降り注ぎ、光化門交差点などでは道路が冠水した。市民の間からは、「ソウルの中心である光化門交差点が冠水するなど信じられない」という怒りに満ちた声が上がった。豪雨のたびに道路が冠水する江西区や九老区などソウル市西部では、今回も道路の冠水や住宅の浸水被害が発生した。専門家は、「下水や雨水を処理するシステムに根本的な問題がある」と指摘する。
■光化門周辺の雨水が清渓川に集中
光化門交差点が冠水したのは、2001年7月以来9年ぶりのことだ。当時は1時間に平均60ミリの集中豪雨に見舞われ、清渓川復旧区間の下水管だけでは雨水を処理できず、周辺が水浸しとなった。
光化門周辺で雨が降った場合、雨水は清渓川に流れ込むようになっているが、そのルートとなるのが仁旺山周辺から清渓川へと流れる白雲洞川と、三清洞から清渓洞へと合流する中学川の二つだ。ここから清渓川に流れ込んだ雨水は、中浪川下流にある中浪水再生センターで排水処理され)。
この仕組みは、1時間当たりの降水量が75ミリまでであれば問題なく稼働する。しかし、これは1時間以内に雨が止んだときの話で、3時間降り続いた場合には、処理できる総雨量が139ミリへと急激に低下する。今回のように、光化門周辺で3時間に198.5ミリもの雨が降った場合、このシステムだけでは処理できず、雨水が逆流して道路が冠水してしまうというわけだ。
大量の雨が降った場合、清渓川散歩コースの左右に設置された石の壁にある249の水門が自動的に開き、雨水や下水は直接清渓川に流出するようになっている。ところが、今回のように清渓川にかかる橋のすぐ下にまで水位が高まった場合、このシステムは稼動しなくなってしまう。
■細い下水管では大量の雨水を処理できず
ソウル市内に設置された下水管の多くは、1時間当たりの降水量が75ミリまで処理できるよう設計されている。ソウル市水管理局の宋慶燮(ソン・ギョンソプ)局長は、「1時間に75ミリというのは10年に1回の雨量で、90ミリは30年に1回。そのため、今回のような豪雨は処理できなくても仕方がないという側面もある。単に下水管のサイズを大きくするだけでは、通常の流速を一定以上に保つことができず、水や含有物が腐敗するといったマイナス要因も発生する」と述べた。
現在、ソウル市は雨水の処理をより迅速に行うため、処理場につながる下水管の容量を、従来の1時間当たり75ミリから95ミリにまで拡大する作業を行っているが、予算の問題で構想通りには進んでいない。ソウル市は、市内に設置された111の雨水処理場のうち、江西区や陽川区など41カ所で増設工事を行っている。また江南、瑞草、麻浦、中浪、東大門、永登浦区周辺などの9カ所については、すでに作業が完了している。
■江西区や陽川区など、ソウル市西部で被害が集中
今回のゲリラ豪雨で特に被害が大きかった江西区、陽川区、九老区、永登補区などソウル市西部では、以前から雨水の処理対策が不十分だと指摘されていた。
江西区の住民からは、「以前にもこのような豪雨が何度かあったが、今回のように被害が大きかったのは初めてだ。秋夕連休だったため処理場の職員が機械のスイッチを切った状態で、雨が降ってからスイッチを入れ直したため、対策が遅れたのではないか」という疑問の声が上がっている。これに対しソウル市の関係者は、「雨水処理場は水位が上がると自動的に作動する仕組みになっている。それよりも雨が降ったときに、悪臭がするという理由で住民が道路脇の下水管にフタをすることがあり、これが冠水の原因になったとも考えられる」と反論している。しかし2001年7月の豪雨では、市内にある雨水処理施設のうち9カ所がポンプの故障で作動しなかったという前例があるため、住民の主張にも一理あると思われる。
かつて雨が降る度に冠水などの被害に見舞われていた中浪川周辺の蘆原区や中浪区などでは、2001年に複数の対策が講じられたこともあり、今回の豪雨による被害はほとんどなかった。前回の被害を教訓に、中浪川周辺には新たな処理場が設けられ、雨水の処理能力が1分当たり3160トンから7500トンにまで強化された。また、道路周辺には雨水が流れる水路が3万本以上設置され、これらが詰まることのないよう、普段から45人の担当者が常に管理に当たっている。さらに住民には、20万個の砂袋と家庭用排水ポンプ3400台が支給され、冠水や浸水被害に備える方法についての指導も行われた。一方で川の底を深くする浚渫(しゅんせつ)作業も並行して行われるなど、河川の氾濫に備えた数々の対策が功を奏したといえる。
ソウル市のずさんな対応に不満の声
中央安全対策本部は21日午後4時30分、集中豪雨で首都圏が水浸しになったことから、ソウル市と各自治区に公務員総動員令を発した。当時の降水量は242.5ミリ。
この時点で、ソウルの江西地区と仁川市桂陽区、京畿道の河南市、利川市などでは住宅や道路の至る所が浸水し、被害届が殺到していた。ソウルの光化門、弘益大、明洞周辺はひざまで浸水し、地下鉄1、2、4号線の一部区間の運行がストップした。市民らは「官公庁に助けを求めたが、電話が通じず、何の情報もなかった」と不満を漏らした。
しかも、秋夕(チュソク=中秋節、今年は9月22日)連休で公務員の多くが帰省しており、実際に勤務地に復帰したのは21日午後8時現在、ソウル市の場合、1万5372人中50.5%に当たる7770人にすぎなかった。ソウル市は今年5月、水害予防に向けた「災難安全対策本部」を設置し、24時間体制で非常時には9800人を動員できると発表したが、実際にはそれほど動員されなかった。
中央安全対策本部は、降水量が1時間に61ミリを記録した同日午後1時20分ごろ、災難対策安全要員4分の1が勤務する第1段階の非常勤務令を発し、その後1時間に最大98.5ミリを記録したことから、大雨洪水警報が発令された午後2時ごろ、安全要員の2分1が招集される第2段階の非常勤部体制を指示した。しかし、非常勤務の指示を受けてから現場に到着する時間などを考慮し、より迅速に対応すべきだったと指摘されている。