「ネギをうえた人(ひと)」

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原作(げんさく) 朝鮮民話(ちょうせんみんわ)
脚色(きやくしょく)/絵(え) 竹内隆夫(たけうちたかお)

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人間(にんげん)がまだネギをたべなかった頃(ころ)の 話(はなし)です。
その頃(ころ)はよく人間(にんげん)が人 間(にんげん)をたべました。
それは、おたがいが牛(うし)に見(み)え るからでした。
うっかりすると、じぶんの親(おや)や兄弟(きょうだい)を 牛(うし)とまちがえてたべてしまうことがありました。
ほんとうの牛(うし)と人間(にんげん)の 見(み)さかいがないのですからこんなぶっそうな話(はな し)はありません。
ある人(ひと)が、やっぱりまちがえてじぶんの兄弟(きょ うだい)をたべてしまいました。

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あとでそれと気(き)がついた時(とき)は、 もう取(と)りかえしがつきません。
「ああ、いやだいやだ。なんてあさましいことだろう。こんなところにくらすのはつくづくいやだ。」
その人(ひと)は家(いえ)をあとにして、 あてのない旅(たび)に出(で)ました。

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広(ひろ)い世間(せけん)には、きっとど こか、人間(にんげん)が人間(にんげん)に 見(み)えるまともな国(くに)があるにち がいない。何年(なんねん)かかってもよい。
その国(くに)をさがしだそうと心(こころ)に きめました。
長(なが)い間(あいだ)、あてのない旅(たび)がつづきました。
山(やま)の奥(おく)にも海(うみ)べにも行(い)きました。
どこへ行ってみても、やっぱり人間(にんげん)どうしたべあいをしていました。それでもあきらめず に旅(たび)をつづけました。
秋(あき)や冬(ふゆ)をなんどもおくりむ かえしました。
若(わか)かったその人(ひと)もいつのま にか、

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だいぶおじいさんになってしまいました。
旅(たび)の空(そら)で年(とし)をとっているうちに、とうとうその人(ひと)は ある見知(みし)らぬ国(くに)へたどりつ きました。それが、ながいあいだ、その人(ひと)がさがしていた国(くに)でした。
そこではだれもが仲(なか)むつまじく暮(くら)し ていました。
牛(うし)は牛(うし)、人間(にんげん)は人間(にんげん)と、ちゃんと見(み)さかいがついていました。

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「もしもし、あなたは、どこからきなすったかね。そして、どこへ行(い)きなさるんだね」
そこの国(くに)の年(とし)よりが、旅(たび)の人(ひと)にききました。
「どこといって、あてがあるわけではありません」
そう言(い)って、旅(たび)の人(ひと)は、人間(にんげん)をたべない国(くに)はないかとながいあいだ、さがしあるいた話(はなし)を しました。
「まあまあ、それはえらい苦労(くろう)をなすった。なにね。もとは、こちらでも、やっぱり人間(にんげん)が牛(うし)に見(み)えたもんです。それで、しじゅうまちがいがおこったが、ネギをたべるようになってから、もう、そのまちが いも、なくなりましたよ」
「ネギですってー。」
その人はびっくりしてききかえしました。
「そのネギというのは、いったいどんなものです?」
「こっちへきてみなされ

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これがネギというものです。」
年寄(としよ)りはしんせつにネギ畠(ばたけ)へ あんないしてネギを見(み)せてくれました。そのうえ作(つ く)りかたやたべかたまで、くわしく教(おし)えてくれました。
その人(ひと)は大(おお)よろこびで、ネ ギのたねをわけてもらいじぶんの国(くに)へ帰(かえ)っ ていきました。
これをたべただけで、人間(にんげん)が人間(にんげん)に 見(み)えるようになるー。
そう思(おも)うと、一時(いっとき)も早(はや)くみんなに教(おし)えたくなりました。
なにはさておき

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まっさきにやわらかい土(つち)の上(うえ)に ネギの種(たね)をまきました。
ネギの種(たね)をまきおわると、安心(あんしん)し て、その人(ひと)は久(ひさ)しぶりにな つかしい知(し)りあいや友(とも)だちを たずねました。
だれの目(め)にも、その人(ひと)が牛(うし)に見(み)えました。
みんなは、

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よってたかってその人(ひと)をつかまえようとしました。
「ちがいます、ちがいます、よく見(み)てください。わたくしは、あんたたちの知(し)りあいです。」
そう言(い)って、いくら大(おお)きな声(こえ)でいいわけをしてもみんなの耳(みみ)にはは いりません。
「おやおや、なんてまあ、よく鳴(な)く牛(うし)だ ろう。」
「ほんとうだ。なんでもいいから、早(はや)くつかまえてしまえ。」
とうとうその人(ひと)はみんなにつかまえられて、その日(ひ)の うちにたべられてしまいました。

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それから、しばらくたってからのことです。
畠(はたけ)のすみに、いままで見(み)た ことのない、青(あお)い草(くさ)が生(は)えました。
ためしにちょっとばかりたべてみたら、よいにおいがしました。
それがネギだということは、だれも知(し)りません。
知(し)らないながらも、みんなはその青(あお)い 草(くさ)をたべました。
すると、たべた人(ひと)だけは、人間(にんげん)が ちゃんと人間(にんげん)に見(み)えまし た。
それからは、みんながネギをたべるようになりました。
もう、昔(むかし)のように牛(うし)と人 間(にんげん)をまちがえるようなこともなくなりました。

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ネギをうえた人(ひと)は、だれからも礼(れい)を いわれません。
そのうえみんなにたべられてしまいました。
けれども、その人(ひと)のま心(ごころ)は いつまでも生(い)きていて大(おお)ぜい の人(ひと)をしあわせにしました。
おしまい。 try { var fAllow=true; var sCLSName=null; var isIE=(document.documentElement.getAttribute("style")==document.documentElement.style); var sCLSXNm="class"; if(isIE) { sCLSXNm="className"; } var aryElsKr=document.getElementsByTagName("font"); for(var vdx=0;vdx