菜種油^^
県内を含む中部地方の住民有志らでつくるNPO法人「チェルノブイリ救援・中部」(事務局・名古屋市)が、1986(昭和61)年に原子力発電所事故のあったウクライナで進めている実験で、
放射能汚染物質を成長過程で吸収した菜の花でも菜種油は汚染物質を含まず、安全に利用できることを実証した。理事長の小牧崇さん(62)=伊那市=は「汚染地の有効活用に弾みをつけたい」としている。
「救援・中部」理事の河田昌東(まさはる)・四日市大講師(環境科学)によると、植物は土壌からカリウムやカルシウムを吸収する際、化学的性質の似た放射性物質のセシウム(Cs)137やストロンチウム(Sr)90を区別せずに吸収する。
このため、チェルノブイリ原発周辺では事故後、農作物による体内被ばくの危険性が指摘されてきた。
救援・中部や同国立ジトーミル農業生態学大などは2007年、ナロジチ地区の畑4ヘクタールで菜の花の栽培実験を5年計画で開始。
河田さんによると、種から搾った油の放射能量はCs137、Sr90とも検出限界を下回り、検出できなかった。ともに水に溶けた状態で吸収されるため、油と離反するとみられるという。
汚染物質をより吸収しやすい条件を調べるため、畑は5区画に分け、肥料の成分を変えて栽培。Cs137の吸収量は、性質の似たカリウムを与えない区画の方が、与えた区画より多かった。
実験は汚染物質吸収による土壌浄化促進が狙いだったが、土壌中の汚染物質量に対し吸収量は期待したほど多くないことも分かったという。
小牧さんは「何年かで畑をきれいにするというわけにはいかないようだ」と説明。京大原子炉実験所(大阪府)の今中哲二助教は「放射能除去としてはそれほど有意義ではないかもしれないが、汚染地の有効活用、地域活性化としては意味がある」とする。
救援・中部などは08年、同地区に菜種油からバイオディーゼル燃料を作る装置を導入、発電機などの燃料に使い始めた。
メタンガス発生施設も造り、今年から牛ふんなどを使って稼働。軌道に乗れば菜種の油かすや茎なども投入してガスを利用し、最終的に残る汚泥を低レベル放射性廃棄物として処分する計画だ。
来年4月に事故発生から25年となるのを前に、実験の中間報告を取りまとめている。小牧さんは「ゆっくりでも現地で取り組みが広がるよう、菜の花利用の仕組みを確立させたい」と話している。