火力7割で赤字確実 中部電、きょうにも受諾
2011.5.9 09:54 (1/2ページ)
浜岡原子力館展望台から浜岡原発を撮影する見学者=7日午後、静岡県御前崎市(鈴木健児撮影)
政府による浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止要請に対し、中部電力は「あまり にも重い判断」(同社幹部)を迫られている。9日午後にも臨時取締役会を開き、要請を受諾する見通しだが、原発停止による業績悪化で、株価下落や減配・無 配になれば、株主代表訴訟を起こされるリスクもある。法的根拠がない全面停止は長期化も予想されるだけに、“政府命令”を内外に印象づけ、利害関係者の批 判をかわしたいのが本音だ。
「赤字転落にもなる要請を受け入れたら、株主にどう説明するのか」
名古屋市内の本店で7日に 開かれた中部電の臨時取締役会では、正常稼働中の原発停止という「法律を超える判断」(原子力安全・保安院の西山英彦審議官)に対し、激しい議論が交わさ れた。「これまで(国の指導に基づき)行ってきた安全対策は何だったのか」「受諾する必要はない」など強硬な意見も相次いだ。
中部電は浜 岡の3~5号機の3基しか原発はなく、火力発電の割合が7割強とほかの電力会社に比べて際立って高い。平成24年3月期の連結業績予想で経常利益1050 億円を見込むが、原発をすべて火力に切り替えた場合、燃料費増により年間約2500億円の費用負担が生じ、赤字転落は確実な情勢だ。
細野豪志首相補佐官は8日の会見で、浜岡原発の停止に伴い減額される立地自治体への関連交付金について「政治判断での停止なので配慮を考えたい」 と、補填(ほてん)を検討する考えを示した。発電量がゼロになった場合、2割分が減額されるが特別措置で補う考えだ。一方、中部電に対しては、政府が燃料 確保などで支援する考えを示すにとどまった。また細野補佐官は、再開時期について「(中部電が建設予定の)防潮壁の完成が目安になる」と示唆した。中部電は防潮堤の設置など津波対策を急ぐ方針だが、完成には2年程度かかる見込み。国の安全評価や地元の同意などでさらに停止が長期化し、収益圧迫が続く恐れがある。
要請を受け入れ、赤字・無配となった場合、株主代表訴訟となる可能性もある。「株主代表訴訟となったら、取締役は破産するしかない」(中部電首脳)との嘆き節も聞こえてくる。
中部電は「停止要請を受け入れても、拒否しても当社にはマイナス」(同社幹部)とのジレンマの中、「政府の強硬姿勢」を印象づけ、何とか株主の理解を得たいという苦しい思惑もうかがえる。