大阪府の橋下徹知事率いる地域政党が府議会と大阪、堺の両市議会に議員
提案する方針の「教育基本条例案」について、橋下知事は10日、自身のツイッ
ターで「戦前の軍国主義教育の反省から、戦後政治と教育に一定の距離を設
けたことは事実」と認めたうえで、「教育が、政治から一切関与を受けないという
ものではない。治外法権ではない」と主張、条例案の正当性を強調した。
この日、橋下知事は夏季休暇中で公務はなかったが、ツイッター上で「教育委
員会が法で与えられた権限を行使する際に遵守すべきルール」が必要と指摘。
条例案の内容が、教育への不当な政治介入という批判が出ていることを踏ま
え「具体的な権限行使、実務は、教育委員会、教育現場が専権。しかし、その
一般ルールを定めるのは、まさに議会・政治の専権。政治が一般ルールを定め
たからと言って、不当介入になるはずがない」と反論した。
また、「ルールが間違っていたり、教育行政が間違った方向に進めば、選挙で
政治を変える。これが民主主義の統治ルール」と主張し、「これを政治の不当介
入と叫ぶ者は、それこそ教育現場絶対主義者」と批判した。
議会で維新が過半数を占める府では、条例は可決される可能性が高いとみ
られる。ある府幹部は、府立高などの校長を全面的に公募し正副校長を任期
付き採用に切り替える規定が盛り込まれていることについて、「校長を目標にし
てきた教員は少なくない。いきなり任期付き採用や公募に切り替えれば現場が
混乱するのでは」と危惧する。一方、維新幹部は校長公募制について「若手の
教員が公募し、従来にない形の学校改革に乗り出すことも可能だ」と強調した。
府教委の中西正人教育長は同日の定例会見で、条例案について感想を聞か
れ「中身を見ていないのでコメントできない」と困惑気味。条例案に盛り込まれ
た府立高校の統廃合については「考慮すべき条件がたくさんある。画一的にで
きるかは検討すべきだと思っている」と述べるに止めた。
大阪市教職員組合の幹部(53)は「現在の教育の方向性は、第二次世界大
戦の反省に立っている。戦後の教育も課題はあるが、一つひとつ対応すべき
で、政治が教育に関与することには慎重であるべきだ」と批判した。
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教育問題に詳しい高崎経済大学の八木秀次教授の話
「これまで教育委員会は、役人が集まった事務局が実権を握り、地方自治体の
首長の言うことをまったく聞いてこなかった。今回の条例案には、『教育の中立』
という美名の下に民主的なコントロールを受け付けてこなかった教育行政に対
し、積極的に民意を反映させようという意図があるのではないか」
大阪維新の会の教育基本条例案の主な内容
大阪府立、大阪、堺両市立校の校長を全員公募し、予算権や採用権を与え
る。正副校長を条例制定後5年以内に任期付き採用に切り替える。知事らが、
教育委員会と協議のうえ「目標」を設定、教育委員が実現の責務を果たさない
場合、議会の同意で罷(ひ)免(めん)できる。入学者数が3年連続で定員を下
回った府立高は、改善の見込みがなければ統廃合する。同じ職務命令に3回
違反した職員は免職とする。