(1)強制労働は戦争行為として賠償問題の対象であるが、賠償問題の解決は、1957年のロンドン債務協定等により凍結されてきており(ロンドン債務協定は、賠償問題の最終的解決=平和条約=まで、賠償問題を延期する旨定めている。またすべての東欧諸国および多くの西側諸国は一方的ないし二国間の取り決めにより賠償請求権を放棄してきている。戦後50年以上経って、もはや賠償問題は存在しない。
(2)他方、企業に対する民事補償請求権については裁判所が判断すべき問題である。これまでの独裁判所における判例は、いずれも時効が成立しているとして、かかる請求権を却下している。
(3)他方、法的請求権の問題とは別の問題として、人道的見地から元強制労働者に対する補償を行うための「基金」を設立し自発的に補償を行い、その代償として、米国内の裁判所において法的安定性を獲得することを目指していく。
4.交渉の結果
(1)基金の設立
・独は法律によって「記憶、責任および未来」基金を設立し、国(連邦)が50億マルク、独経済界(基金イニシアティブ)が50億マルク、計100億マルクを拠出する(基金設立法案は、2000年7月に連邦議会および連邦参議院で可決・成立した)。この他、未払い保険金に対する補償のために別途予定されていた金額および利子収入1.5億マルクを追加することにより、配分総額は101.5億マルクとされている。
・独経済界の基金イニシアティブには10月現在、約4200社が参加を表明し、約32億マルクの寄付金が集まっている(参加企業からは、原則、年間売り上げの1000分の1の奇付が期待されている)。基金イニシアティブは独企業22万社に寄付を呼びかけているが、寄付金が集まりが思わしくないため、対策を検討中(働き掛けの強化、国有企業による寄付金の算入(注)、発起人企業の拠出額の増額等々)。
(注) 国有企業による寄付金は、国の拠出に算入する旨「基金」設立法案に明記されているので、その分を経済界の拠出として算入し直すことは実際には困難と見られる。(2)基金の使途
・基金」の101.5億マルクからは、元強制労働者に対する個人補償(注1)のみならず、ユダヤ人財産の没収(「アーリア化」)に対する補償、青少年交流などの未来志向型プロジェクト(「未来ファンド」)の実施経費、管理・弁護費用を支弁する(注2)。ユダヤ人犠牲者への未払い保険金の保険の扱いが問題となっていたが(注3)、イーグルパーガー委員会が特例を認め、独の保険会社(アリアンツ)による補償分として、5干万マルクが本件「基金」から賄われることとなった。
(注1)強制収容所に収容されていたいわゆる元奴隷労働者については一人15,000マルク、それ以外の元強制労働者については一人5,000マルクの補償が行われることとなっている。
(注2)各地城・対象への配分
(単位100万マルク)強制労働者に対する補償8,100(内訳) ポーランド1,812 ウクライナ・モルドヴァ1,724 ロシア・ラトヴィア・リトアニア835 ベラルーシ・エストニア694 チェッコ423 その他地域の非ユダヤ人
(ただし、うち260はユダヤ人対独補償請求会議に
支払い)800 その他地域のユダヤ人1,812その他のナチスの不法による人的損害に対する補償50財産の損害(いわゆる「アーリア化」)に対する補償1,000未払い保険金に対する補償
100(うち50は利子収入を見込んだ額)100記憶及び未来ファンド700管理・弁護費用200合 計10,150(単位100万マルク)
強制労働者に対する補償 8,100
(内訳)
ポーランド 1,812
ウクライナ・モルドヴァ 1,724
ロシア・ラトヴィア・リトアニア 835
ベラルーシ・エストニア 694
チェッコ 423
その他地域の非ユダヤ人 800
(ただし、うち260はユダヤ人対独補償請求会議に支払い)
その他地域のユダヤ人 1,812
その他のナチスの不法による人的損害に対する補償 50
財産の損害(いわゆる「アーリア化」)に対する補償 1,000
未払い保険金に対する補償 100
(うち50は利子収入を見込んだ額)
記憶及び未来ファンド 700
管理・弁護費用 200
合 計 10,150
日韓基本協定で日本が支払った額を相殺すれば
日本に韓国政府が多額の返済を必要とするよ^^