フライトシミュレーターから顧客サポートまで、JALパイロットの実態に迫る
パイロットは飛ばないときも忙しい
(2013/8/1 00:00)

JAL(日本航空)は、安全な空の旅を提供するためにさまざまな取り組みを行っている。今回、現場で安全運行に取り組むパイロットや、その教育方法、そしてフライトシミュレーターでの訓練の様子等を取材する機会を得られたのでリポートする。
パイロットの仕事はフライトだけではない。と言っても、フライトに関連する日常のデスクワークのことではない。JALには現在1500名のパイロットが所属しているが、その一部は常にローテーションで通常のフライト業務以外にJALの地上勤務も兼務しているのだ。一般の地上職の人とともに仕事をすることで、パイロットとしての経験を他の職種へも活かすことができ、パイロットとしても地上職の現場を知ることで視野が広がるそうだ。
職種にもよるが、地上職を兼務するパイロットはおおよそ月に10日ほど地上職勤務につき、そのほかはフライトと休日にあてられる。勤務日のほぼ半分が地上勤務になることが多いようだ。地上勤務中は他の勤務者と変わらない勤務体系で働いていると言う。
では、実際にはどのような仕事をしているのだろうか。パイロットが就く地上勤務は本社を含めて約10部署。その中から今回は運行技術部より芝端秀治氏、運行訓練審査企画部より塚本裕司氏、松野伸一郎氏、運行安全推進部より本郷猛氏、顧客戦略お客様サポート室より赤地秀夫氏の、計5名の現役パイロットの方々からお話を伺うことができた。
新造機の領収とは

運行技術部 芝端秀治氏
運行技術部の芝端秀治氏は、乗務歴23年のベテランで現在は737の機長だ。芝端氏が所属する運行技術部は、新造機の領収や各種テストフライトなどが業務だそうだ。新造機の領収とは、実際にJALが購入した航空機の製造元である航空機メーカーまで行き、日本まで実際に運ぶ(フェリーフライト)仕事だ。どちらかと言うとパイロット本来の仕事に近い。
新造機の領収業務は、ただメーカーに行って受け取るだけでなく、機体仕様の細々としたチェックも行い、仕様と違うところや違和感のある個所をそのつどダメ出しをしていると言う。人間が造る以上、どうしても出来の善し悪しはあるそうで、JALの整備チーム達とともにそこをチェックするのが主な仕事と言う。このあたりはクルマについても同じ事が言えそうだ。
そのほかにも、メーカーが作ったマニュアルをベースに、社内事情にあった項目を新設、改訂、補足などをしたAOM(Aircraft Operating Manual)を作る仕事もしているそうだ。
訓練生や機長昇格時の教育を担当

運行訓練審査企画部 塚本裕司氏
運行訓練審査企画部の塚本裕司氏は乗務歴16年で、現在は777の機長だ。運行訓練審査企画部は運行乗務員(パイロット)や運行乗務員訓練生への教育体系の作成、企画・運営が主な仕事。この中で、塚本氏は訓練生の教育やパイロットになったあとの教育、機長昇格時の教育などを担当しているそうだ。また、後述するが塚本氏は全パイロットに共通した教育も担当している。
JALは現在、訓練や審査について個人の能力の見える化を図っていると言う。業務を数千の項目に細分化したデータベースを作り、細かく分析することで個人個人の苦手とするところを洗い出すことが可能できるようになる。また、JALとしても自社の弱みを把握し、改善に努めることができるのだそうだ。
シミュレーター訓練の企画

運行訓練審査企画部兼運航訓練部787訓練室の松野伸一郎氏
同じく運行訓練審査企画部の松野伸一郎氏は乗務歴17年で、現在は787の機長を務めている。塚本氏と同じく運行訓練審査企画部に所属するほか、運航訓練部787訓練室 飛行訓練教官を兼務し、787の運行訓練教官を務めている。訓練教官としてはシミュレーター訓練のほか、実際にフライト中の訓練にも教官として同乗すると言う。
また、JALでは年に3回、普通のフライトでは遭遇しないようなトラブルへの訓練も義務付けており、そうしたシミュレーター訓練の企画も担当している。常に新しい事象やトピックを盛り込んだトラブル、気象条件などを設定した訓練内容を企画しているそうだ。
「ひやりはっと」な案件を社内に配信

運行安全推進部の本郷猛氏
運行安全推進部の本郷猛氏は乗務歴17年で、現在は767の機長だ。運行安全推進部は、飛行データやパイロット達の報告等を集めて分析し、不安要素の抽出とその対策・検討を行う部署だ。エラーを未然に防ぐための教育企画・運営や情報発信なども担当する。
実際の業務ではフライトデータレコーダと同等の内容を使い、通常のフライト時にどのような操作がされているかをモニタリングしている。フライト中の機体の各パラメータがすべて記録されているため、気象状況などによる変化などを統計し、安全運行のための資料を作っていると言う。
また、「ひやりはっと」的な案件として、“雨が降ると●●空港のペイントが見にくい”といった情報を事前に周知することも仕事だ。こうした案件は電子メールでの配信よりも紙のほうが効果があるそうで、月に1度か2度、紙でそうした安全情報を社内に向け発信しているそうだ。ほかにも年に2回、海外で安全に関する国際会議に参加し、各国と情報共有をしている。
本物のパイロットが利用者からの質問や意見などに直接対応

顧客戦略お客様サポート室の赤地秀夫氏
顧客戦略お客様サポート室の赤地秀夫氏は乗務歴16年、現在は737の機長だ。顧客戦略お客様サポート室は、利用者からの質問や意見などに直接対応する部署で、いわゆるサポートセンター業務だ。電話や電子メール、手紙などへの返信を業務としている。
赤地氏は電話以外の業務を実際に担当しており、内容は運行の安全や整備に関する物を担当することが多いそうだ。たとえば「●●空港での着陸に不安があった」「飛行中に揺れが大きかったが大丈夫なのか?」などの問い合わせを受ければ、実際にそのフライトをした機長から状況を聞いたりして対応をしていると言う。一時期話題になった787の安全性についても問い合わせが多く、担当の電気技師から実際に意見をもらって返答していたそうだ。
一般社員がテンプレート的な解答をしているのではなく、実際に業務に携わる人間が直に案件を調査して回答していることに個人的には驚いた。本物のパイロットが状況を説明するのだから説得力も倍増するだろう。もちろんサポート業務の全員が現場を熟知しているスタッフばかりではないし、そんなことは不可能だとは思うが、こうして現場を知る人間が何人かいるだけでもサポート業務全体のクオリティが底上げされるに違いない。

JALの地上勤務オフィス。ごく一般的なオフィスという印象だ

PCのブースがずらりとならんだCBTルーム。技術マニュアルのアップデートなど最新の情報をここで学習する

紙パネルで作られたコクピットで模擬訓練を行うSPTルーム。「紙レーター」と呼ばれているそうだ
以上がJALのパイロットの地上勤務の概要だ。このほかにもパイロットが担当する業務はあるが、何れの仕事もパイロットと地上勤務者が一緒に仕事をし、互いの職務を理解することは、円滑なコミュニケーションを促し、ゆくゆくは安全性の向上に繋がっていくのだろう。
JALの行う「言語技術」教育とは?
言語技術とは、一言で言ってしまえば「国語」のこと。いまさらパイロットが国語を勉強する必要があるのか、と素人としては思ってしまうのだが、わざわざJALがこれに取り組むのには理由がある。その教育意図について説明をしてくれたのは、先ほどもお話を伺った、運行訓練審査企画部の塚本裕司氏だ。
言語技術教育は、昨年度からJALが全パイロットに対して始めた教育プログラムで、1年遅れでグループ各社でも導入され始めている。国内の同業他社ではまだ見られない取り組みと言う。日本サッカー協会なども導入している教育方法だそうだ。昨年はつくば言語技術教育研究所からコンテンツを取得して行っていたが、今年からは自社で教材を作って実施している。
JALにおける言語技術教育の目的は、短時間で自分の思考・意志を相手に明確に伝えられる技術を身につけること。一般的にはコミュニケーションに特化して取り入れられているが、JALでは思考能力を重視した言語能力として教育に導入している。
飛行機はパイロットとコ・パイロットの2人で運航される。緊急時にこの2人の意思疎通がうまく行かなければ、致命的な事故に繋がりかねない。「相手が分かっているはず、理解しているはず」という前提で会話をしてしまっては重大な失敗に繋がる危険性がある。
フライトには常に危険な要素がつきまとうが、これに対してパイロット達は常に対策を講じている。防壁を作って1つを防いでも、すぐにまた別のものが突破してくるのでまたそこで防壁を作る。この繰り返しだそうだ。

パイロットの仕事。危険に対する対処の繰り返し

パイロットとコ・パイロットの連携が大事
この繰り返しの中で、テクニカルスキル=操縦技術に関してはフライトシミュレーターなどの訓練でも可能だが、ノンテクニカルな部分はシミュレータだけでは訓練しきれない。たとえば非常時に問題解決に至るまでの手順やその業務分担など、パイロットとコ・パイロットは瞬時に正確な意思疎通をしなければならない。これを鍛える。
短時間で自分の思考・意志を相手に伝えるにはどうするか。自分の結論を最初に言うことで相手に意図を理解しやすくする、「あれ」「それ」などという曖昧な言葉を使わない。たとえば「冬場の国内線パターンが好きですか?嫌いですか?」という問いに対しては、「私は冬場の国内線パターンが嫌いです。なぜなら~」と言うように、まず意志を明確に示したあとでその理由を説明すれば、「嫌い」という前提の元で話を聞いてくれるので相手に理解してもらいやすい。
また、たとえば一枚の絵を見て、そこから読み取れる情報を上げていくことで状況の客観的な分析能力とその伝達方法を鍛えることもできる。専門用語を多用した文章も、平易な言葉に置き換えることで同じ意味でも分かりやすく伝えることが可能だ。こうした問答を繰り返しトレーニングしていくと言う。

こうした絵を見てそこから状況を読み取る

専門用語満載の状況説明

平易な言葉に置き換えることで理解しやすくした

定期的にこうしたペーパーを配ってパイロット達が訓練しやすいようにしている
言語教育の訓練は現在、年に1度、3時間の枠で1回10~20人くらいの人数で実施している。だが訓練時間はまだまだ十分ではないと塚本氏は言う。それでも通常業務の合間をぬって1500人ものパイロットを教育するのは、現状では限界と言う。そのため、パイロットには空いた時間に普段から訓練ができるよう、お題となるようなコンテンツを紙媒体で配布しているそうだ。
安全運行に欠かせない「フライトシミュレーター」
最後に見学したのはフライトシミュレーターだ。JALでは合計9台のフライトシミュレーターを有しており、その内訳は737-800が3機、737-400が1機、787が1機、767と777が2機ずつとなっているそうで、今回見学したのは737-800のシミュレーターだ。シミュレーター室には737-800と787が並列で設置されており、部屋の高さは約3階建てほど。
シミュレーターの解説をしてくれたのは、運航訓練部737訓練室 飛行訓練教官の日比野 琢氏。先ほど顧客戦略お客様サポートについてお話を伺った赤地秀夫氏も、コ・パイロットとして同乗してくれた。

運航訓練部737訓練室 飛行訓練教官の日比野 琢氏(左)と赤地秀夫氏

787のフライトシミュレーター。残念ながら今回は訓練で使用中だったため中を見ることはできなかった

737-800フライトシミュレーターの外観

737-800フライトシミュレーターの内部

今回は人数が多いこともあり実際に脚を駆動させることはなかった。シミュレーターに乗り込むための橋も固定されたままである
JALでは年に3回、定期訓練と1回の技能審査をフライトシミュレーターで実施している。定期訓練の内訳はオールウェザートレーニング、LOFT(Line Oriented Flight Training)、ADVT(Advanced Training)の3つ。
オールウェザートレーニングとは、主に荒天時の離着陸訓練で、視程が200mしかないような状況での離陸やその最中のエンジントラブルへの対処、また悪天候時の手動着陸などを訓練する。

視程が良好な設定ではきちんと羽田空港の施設が確認できる

一般的な訓練に使う荒天時の気象設定にしたところ。視程200mだとほとんど何も見えない

訓練中のやりとりは天井に設置されたカメラで記録されている

レーダーに映る地形も再現されている。赤い四角い部分は東京タワーだそうだ

コクピット上部にあるオートパイロットの設定パネル。手触りだけでどのスイッチか分かるようにすべて形が違う

早速離陸を開始

あっという間に関東平野を一望できる高度に

左に旋回すると隅田川が見えてきた。実際にこんなところを飛べるはずがないのがシミュレーターの面白いところ

その近くにはきちんとスカイツリーが。しかし実際の訓練では毎回雲が立ちこめた状況で訓練するため、普段はほとんど見ることはないと言う

着陸態勢に入ったところ。遠くに滑走路が見える

滑走路がぐんぐん近づいてくる

無事に着陸した
LOFTは実際の定期便(羽田-関空など)を想定し、そのルートを飛行しながら、飛行中に起きるさまざまなトラブルへの対処を訓練する。時間短縮などはせず、実時間で行われるそうだ。この訓練では目的地に到着することが目的ではなく、パイロットとコ・パイロットがいかに円滑にコミュニケーションを取り、トラブルを解消するかを見ていくと言う。2人のやりとりの様子は録画されており、シミュレーター訓練が終わるとその映像を見ながら検討会を行う。
ADVTでは実際の運用ではできないものや、オフィシャルの手順にはないが、やっておいたほうがよい訓練などを中心に行われているそうだ。
また、技能審査は年に一度パイロットに対して行われるもので、操縦士としての技能レベルが維持されているかを確認するもの。フライトシミュレーターで1回と、実機でのフライト中にも1回審査が行われる。
実際のフライトでは、パイロットとコ・パイロットはもちろん、キャビンアテンダントもほとんどの場合、フライトのたびに初対面で仕事をすることになるそうで、ドラマのようにいつも顔なじみ同士で仕事をすることはまずないそうだ。そのため、誰と組むことになっても速やかに手順を遂行できるようにしていると言う。「顔なじみ同士のチームプレー」という概念は存在しないのだ。
取材に入った我々もシミュレーターを体験させていただいた。PCでフライトシミュレーターを体験したことはあるが、さすがにこれは別格だ。窓の外がすべてディスプレイになっていることで、機体の姿勢を変えると実際に機体が傾いたかのような錯覚を覚え、没入感は段違い。今回は取材に入った報道関係者が多かったため、安全のためシミュレーターの脚は動かさず、実際に傾いたりしていないのだが、それでも「グラリ」と傾くような感覚がある。

記者らもシミュレーター体験をさせてもらった。これは時刻を夕方に設定したところ。夕焼けが綺麗だ
ちなみに体験したのは着陸時の操縦で、操縦桿とラダー操作が中心。スロットル操作などは固定での体験だった。とはいえ皆、意外とすんなりと着陸している。不思議に思って聞いてみると、どうやら完全な無風状態での着陸だったそうで、シミュレーターとしてはイージーモードといったところだ。実際に風を受けながらの着陸であったら筆者は無様に横転していたに違いない。ちなみに普段の着陸時のシミュレーター訓練では、視程は550m程度に制限され、雲の高さが60mという低さの中で行われる。その状況下で実演もしていただいたが、とてもではないが素人に真似はできそうにない。
日比野氏は一通り概要説明を終えた後、フライト中に第一エンジンに火災が発生した状況を想定し、その手順をデモしてくれた。警報が鳴り、緊迫した状況下で専門用語が飛び交う。ほとんど細かい内容は理解できないが、シミュレーションとは言え冷静な対処と確実な動作を見ていると、妙に安心した気持ちになった。今回の取材を通じて見てきたJALの安全に対する取り組みの、その答えを垣間見たような気がしたからかもしれない。

フライト中、第1エンジンに火災が発生したという想定でデモをしてくれた。テキパキと落ち着いて事態を処理していく

赤く光っているのがエンジンの消火レバー。引くことで燃料やオイルをシャットアウトし、右にひねることで消火剤を噴射する。30秒たっても消火されない場合はさらに左にひねることでもう一度消火剤を噴射できる

第1エンジンが停止した。この状態で近くの空港まで戻る。右側のエンジンのみが動いている状況では機体にかかる推力が偏るため、機体は常に左側にねじれるようになってしまう。これを補正するためにパイロットは着陸までラダーペダルの操作を続ける

最後に悪天候時の着陸の様子も見せてくれた。外が真っ白だが、映像がおかしいわけではなく雲でまったく視程がきかない状態

視程は550m。唐突に見える滑走路のランプを頼りに着陸をする

まったく問題なく着陸は成功した
普段何気なく利用している飛行機も、パイロットだけでなくさまざまな人たちの堅実な働きに支えられて運行されている。JALにおいては、それらはすべて乗客が「安心して飛行機を利用できる」ことを目指しているように感じた。今回、普段は目にすることができない裏舞台での取り組みを見せていただいたことで、今後はより一層、飛行機の旅が楽しみになりそうだ。
URL
日本航空株式会社
http://www.jal.co.jp/
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130801_609767.html
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JAL、整備工場見学施設を「JAL工場見学 SKY MUSEUM」としてリニューアル
Webから見学を申し込め、入場無料
(2013/7/24 15:54)

天井から自然光を取り入れた「JAL工場見学 SKY MUSEUM」
2013年7月22日リニューアルオープン
入場無料
JAL(日本航空)は7月22日、同社の機体整備工場見学施設を「JAL工場見学 SKY MUSEUM(スカイミュージアム)」としてリニューアルオープンした。見学は同社HPに用意されている専用サイト(http://www.jal.co.jp/kengaku/)からの事前予約が必要で、入場料は無料。
JALは創業間もない1950年代半ばから整備工場の見学を実施してきており、2012年度の見学者数は9万2899人と盛況だ。ただ、利用者からは施設の古さや展示物の少なさなどさまざまな指摘を受けることがあり、今回その内容を全面的にリニューアルすることになった。
今回見学した施設は工場見学コースの一部として、JALの業務内容や歴史などを知るために見学者が見てまわることができる施設で、工場見学時にはこのほか、実際に機体整備工場の見学もできる。
施設内は「アーカイブズエリア」「仕事紹介エリア」「新商品・サービスエリア」の3つに大きく分けられる。

アーカイブズエリア
アーカイブズエリアで最も目立つのは、戦前の日本の航空史から同社創業以来の歴史などを、全幅50mを超える壁面に展示する「大年表」だ。戦前、世界水準にあった日本の航空機産業は敗戦後、米国の主導によって事実上壊滅させられたが、1951年のJAL創業時にはそこで辛酸を舐めた人々が多数関わっており、そうした人たちのエネルギーが爆発して創業時の勢いを加速させたそうだ。

戦前の日本の航空業界

終戦まで存在した当時の航空会社「大日本航空株式会社」の航空路図

昭和14年の定期航空便発着時間表
大年表では創業時の1950年代から10年ごとにその変遷を追っている。自社の航空機もなくノースウエスト航空の運行委託業務からスタートした同社だが、2年後には国際線を就航。1960年にそれまでのプロペラ機からジェット機へと機材を変更する。北回りのヨーロッパ線などが開通する一方、万が一の事故に備え、北極熊などに対応するためのライフルなどサバイバルキットも搭載されていたという。

50mにわたるJALの大年表

当時の洋上飛行には欠かせない六分儀や航路図

当時の運行機材であったDC-6B機内で配布されていたアメニティ。窓の外を見るときに目を痛めないための紙製サングラスや気圧変化によるインク漏れに備えた万年筆袋など

1960年代に入るとジェット機の時代に

北極上空をフライトする機体に搭載されたサバイバルキット。ライフルも搭載されて乗員は射撃訓練を受けていたが、幸い1度も使うことはなかったという

東京オリンピックを記念してファーストクラスの乗客に配布された限定フライトバッグ。JALはアテネからの聖火輸送も行った


当時開発が進められていた超音速旅客機「コンコルド」のJAL仕様模型。日の丸と鶴のマークが描かれた貴重なコンコルドの姿。結局、騒音などの問題がクリアできずに導入には至らなかった
1970年代になると500人乗りの「ジャンボ機」としてボーイング747が登場し、輸送力は大幅に向上。新東京国際空港(現在は成田国際空港)も完成し、レジャーとして飛行機を利用する乗客がさらに増えてきたという。1980年代になるといよいよ旅客機にも電子化の波が訪れ、操縦システムのコンピュータ化が進み始める。「国際線のJAL」「国内線の全日空」「ローカル線の東亜国内航空(JAS)」という棲み分けもこのころから規制緩和され、自由競争が加速していった。

1970年代はジャンボ機の時代に

747-100の模型

当時、2階は客席ではなくファーストクラスの乗客向けの休憩室になっていた

747-100の客席

海外支店では「日本美」をアピールするためさまざまな取り組みをしていたという。写真はフランクフルト支店に飾られていた金屏風

1980年代はハイテクの時代に

国内航空会社で各社の規制がなくなり、自由な航路を運行できるようになった。これは新しい航路などを記念したファーストフライトカバー
1990年代はバブル崩壊などの影響で景気が低迷し、各社の競争が激化。JALもサービスの原点に帰り、マイレージサービスの導入など、新しい顧客サービスの開発に取り組んだ。2000年代の航空業界は世界規模で統廃合が繰り広げられ、JALも2002年にJASを統合した。サービス面では自動チェックイン機や「eチケット」などが始まり、Webチェックイン、機内Wi-FiサービスなどIT化による乗客の利便性が大きく向上してきた。

1990年代はバブル崩壊など厳しい経済状況の中でのスタートとなった

JALオリジナルドリンク「SKY TIME」と機内専用インスタント麺。沸点が低い上空でも3分で湯戻しが完了する

ハワイ線などでリゾート気分を演出した「リゾッチャ」。さまざまなキャラクターグッズが作られた

1990年代はさまざまな業界とコラボレーションした特別塗装機も初めて登場した

2000年代は航空会社の統廃合が繰り広げられた

IT技術を応用して乗客の利便性を向上

「あえて空の上で食べる贅沢」として吉野家の牛丼などを提供するサービスも実施した。各商品とも高度1万2000mという条件下で美味しく食べられるよう工夫されていた
以上、簡単に大年表の概要を簡単に紹介したが、まだまだ書ききれないほどの「歴史」がこの年表には詰まっている。
このほかにもアーカイブズエリアには、皇室フライトや争乱時の救援チャーター便といった歴史的なフライトの資料、JAL/JASの歴代制服展示、過去の時刻表や機内誌、グッズやポスターなど貴重な実物が展示されている。

JALの歴代旅客機を模型で展示

JALのオリジナルグッズ

1960年~2007年までの時刻表

お土産として配布されていたという扇子

機内誌

手荷物タグ

昔の航空券なども

JALの歴代ポスター

特別フライトブース

JALが関わった紛争や災害時などでの国際貢献、救援、支援などの記録

デジタルアーカイブス。会場では展示できない過去の資料などをタッチパネルモニタを使って見ることができる

仕事紹介エリア
仕事紹介エリアでは、同社における5つの代表的な職種(運行乗務員、客室乗務員、航空整備士、空港スタッフ、グランドハンドリング・貨物スタッフ)を、ブース毎に分けて紹介している。各職種毎に日常業務で重要な役割を果たす「7つ道具」も展示。また、この内覧会では各ブースで現職の職員から説明が行われたが、実際の見学でもいずれかの職種経験者が見学に付き添い、案内をしてくれるそうだ。
それではブース毎に紹介していこう。
運行乗務員とはパイロットのことで、ここでは実際に使用されたコクピットが展示され、座ることもできる。そのほか、パイロットがフライト前にやっているチェックやフライト中にはどんなことをしているのかなど、その仕事の概要がわかるようになっている。

パイロットブース

アナログ時代の計器盤も展示

パイロットの7つ道具

パイロット自身が操縦したフライト内容などを記録する「フライトログブック」

アナログな航空地図も未だ手放せない

サングラスや手袋なども安全な運行には欠かせないアイテム

運行乗務員ブースで最も目立つのはDC9-81型の実物を使ったコクピット。機長席に座っているのはJALの現役パイロットの方。見学者も実際に自分で座ってみることが可能だ
客室乗務員は、いわゆるキャビンアテンダントで、フライトの機内の安全確保や乗客へのサービスを提供する。直接乗客と接する時間が長く、身だしなみに気を使うことも大切な業務の一環だ。ブースではさまざまな国籍のJAL客室乗務員のアナウンスを聞くことができたり、客室乗務員用のシートに座ることもできる。

客室乗務員ブース

フライト前からフライト中までさまざまな仕事がある

客室乗務員の椅子も展示。あまり座り心地はよくなさそうだが実際に座ることができる

客室乗務員の7つ道具

手鏡やハンドクリームなど身だしなみも大切な仕事の一部。特に機内は乾燥するため、ハンドクリームは手放せないそうだ
航空整備士は飛行機を安全に運行するため、機体の各部が正常に動作するかをチェックして手入れをする仕事。ブースでは分厚い整備マニュアルや実際に整備に使う道具などが展示され、普段はなかなか目にすることができない航空機整備という仕事の概要がわかるものになっている。また、ボーイング777-200実機のタイヤのカットモデルやボーイング767の1/4スケールのエンジンモデルも展示されている。

航空整備士ブース

分厚いメンテナンスマニュアル。帽子に付いている月桂樹のマークは熟練整備士である「ライン確認主任者」の証

整備に使う道具。かなり使い込まれている。航空機のパーツはボーイング777で約300万個あるという

ボーイング777-200実機の主脚車輪カットモデル

プラット・アンド・ホイットニー製「JT9Dジェットエンジン」の1/4模型。実際にファンが回転する様子を見ることができる
空港スタッフは、チェックインカウンターでの搭乗手続きや手荷物預かり、搭乗ゲートでの機内への案内など、旅客ターミナルで乗客を案内するのが主な業務。空港内オフィスでは飛行機の重量やバランス、パイロットへの運行情報伝達なども担当する。このブースでは実際にチェックインカウンターで搭乗手続きを体験できる。

空港スタッフブース

空港スタッフの7つ道具

まずは無線機。飛行場内で連絡を取り合うには欠かせないアイテムだ

手荷物預かり時に使うタグなど

アナウンスの仕方などを確認するクイックリファレンス

搭載指示書とウェイト&バランスマニフェスト。前者は貨物室の手荷物の搭載位置などを指定する書類。後者は飛行機の重量やバランスを確認するために使う
グランドハンドリングスタッフは、飛行場内で飛行機を駐機場まで正確に誘導したり、ボーディングブリッジの装着、乗客の荷物の積み下ろしを担当する。飛行機の前でパドルを振って飛行機に合図を送るシーンを見たことがある人も多いだろう。貨物スタッフは貨物の形状や重量を考慮しながらコンテナやパレットに荷物を積むのが主な仕事。また、動物など特別な貨物を搭載する際の書類の準備や確認なども担当している。

グランドハンドリングスタッフ&貨物スタッフブース

グランドハンドリングスタッフ&貨物スタッフの7つ道具

注意が必要な荷物に貼り付けられる貨物タグ

蛍光ベスト

飛行機を誘導する「マーシャラー」が使うパドル

マーシャラーの動きとその意味

パドルを使って飛行機を駐機場に誘導するミニゲーム。実際に現役のマーシャラーの方に実演をしていただいた
そのほか、新商品・サービスエリアには、国際線の新座席(ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラス)と、国内線ファーストクラス、クラスJの座席の実物が展示されており、座ることもできる。また、JAL、JAS、東亜国内航空の歴代制服も展示されている。

ファーストクラスからエコノミークラスまでのシートを展示

国内線ファーストクラスシート

国際線プレミアムエコノミーシート

制服体験コーナーでは、子供から大人までJALの制服を着て記念撮影ができる。制服は背中が開いていて簡単に着替えられる

制服体験コーナーにあるコクピット。こちらは子供向けに実機に似せて作ったもの。レバーなどは動かないがディスプレイに映っている計器類は本物と同じ
URL
日本航空株式会社
http://www.jal.co.jp/
ニュースリリース
http://press.jal.co.jp/ja/release/201307/002568.html
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あのフライトシミュレータ、
ゲームセンターに置いたらなまら儲かるんじゃないべか。
一回1万円とかで。
( ´・∀・)b
何年か前にうちの会社でも、
JALの確認会話事例集を入手して似たようなのを作ってたけど、
…今でも活用してるんだろうか。
(;´・ω・)
~ 以上 ~