登場から13年、色あせない鉄道ホビー
小佐野 カゲトシ :鉄道ライター
2015年05月06日

バンダイが誇る鉄道車両プラモデル「Bトレインショーティー」(撮影:梅谷秀司)
鉄道といえば、今も昔も「男の子のホビー」の定番アイテム。だが、低年齢層向けの「プラレール」や大人向けの本格的な鉄道模型のように定着した一部を除けば、なかなか新たなシリーズものは生まれにくいジャンルのようだ。そんな中で、バンダイが発売する鉄道車両プラモデル「Bトレインショーティー」は今年で登場から13年。鉄道会社のグッズとしても多数販売されるなど、鉄道ホビーの中で1ジャンルを築いている。
「Bトレ」は、鉄道模型のNゲージ(実物の1/150、レール幅9ミリメートル)規格に合わせた鉄道車両のプラモデル。最大の特徴は、車体の長さを実物の半分程度に縮めた(ショーティー)デザインだ。たとえば長さ20メートルの車両を1/150スケールに縮小すると約12センチメートルだが、Bトレの場合は半分の約6センチメートルとなる。もうひとつの特徴はNゲージとの互換性。そのまま組み立てれば展示用の模型となるが、別売のパーツを組み合わせるとNゲージの線路を走らせることもできる。
「ターゲット層の読み間違い」が好結果を生んだ
当初のターゲットは、鉄道の「おもちゃ」は卒業したものの、本格的な鉄道模型であるNゲージを始めるにはまだ早いという年齢層。「プラレール」とNゲージの隙間を狙ったといえる。実物そのままではなく車体を短縮した「ショーティー」としたのは、当時がいわゆる「食玩」のブームだったこともあり、手頃なサイズでコレクション性の高い商品というコンセプトがあったためだ。
2002年の登場以来、これまでに製品化された車両は延べ約1600種、販売数は2014年3月の時点で1600万両以上。ホビー事業部企画開発チームでBトレを担当する近藤寿郎さんによると、実際に売れている年齢層には2つの山があり、ひとつは小学校高学年の年齢層、もうひとつは30代以上の大人の層だという。
Bトレインについて熱く語る近藤氏おもちゃからNゲージの「橋渡し」的なポジションを狙った商品だけに、小学校高学年についてはもくろみに近い年齢層といえるが、30代以上の層はすでにNゲージを楽しんでいる鉄道好きの大人。最初のターゲットよりさらに「目の肥えた」層にも受け入れられていることになる。近藤さんは「デフォルメではなくリアリティに重点を置いたところじゃないかと思います」と、その理由を推測する。
Bトレは車体の長さを縮めたモデルだが、幅や高さはリアルなNゲージと変わらない。それだけでなく、長さを縮める際のデザインにもこだわりがある。「現実に作れないような車両にはしない」ことだ。
近藤さんは「基本的にはドアのサイズを縮めることはないですね。窓もクロスシートの車両なら、当然、人が座れる座席のサイズに合った大きさにするとか、もしこの(Bトレの)車両が実際にあったら、というのを想定してデザインしています」と話す。
幅広い年齢層に受け入れられた理由として、近藤さんはもうひとつ「手頃な価格」を挙げる。車種や販売形態にもよるが、価格は2両セットで1000円台が基本だ。子どもにも比較的買いやすいのはもちろんだが、もうひとつのポイントとして「鉄道会社のグッズとして手頃な価格だった」ことがある。
Bトレは、バンダイが発売元となっている製品のほかに、同社が製造し、鉄道会社が自社のグッズとして発売する形態の商品がある。実は2002年、レギュラー商品の「第1弾」よりひと足早く実質的な最初の商品「第0弾」として販売されたのも、江ノ島電鉄(江ノ電)が発売元となった同社の車両のモデルだった。以来、これまでに全国の鉄道事業者がバンダイと連携し、Bトレを自社のグッズとして発売してきた。
おもちゃから「模型寄り」へ、続いた進化
Bトレの発売当初は「鉄道会社との連携商品を積極的に進めようとは、あまり考えていなかった」というが、最初の江ノ電以降、鉄道事業者とのコラボは順調に増加。今では「10月の『鉄道の日』に合わせたイベントで売れる商品を企画してほしい」といった発注や、「この車両を商品化したい」との話が鉄道会社側から来ることもあるという。「駅の定期券売り場などで売るグッズとして、価格面でお手軽さがある」ところが、鉄道会社のグッズとしても定着したポイントと近藤さんはみる。
鉄道ホビーの1ジャンルとして、また鉄道会社のグッズとしても定着したBトレ。だが、ここに至るまでにはさまざまな転換点もあった。ひと言で言えば「おもちゃ」から、より鉄道模型寄りの商品への進化といえる。
そのひとつは販売方法の変化だ。当初、Bトレは鉄道会社が発売元となった商品を除けば、箱を開けるまでどの車種が入っているかわからない「クローズドボックス」の商品として登場した。当時は食玩ブームだったこともあり、コレクションアイテムとして売っていく方向性だったためだ。だが、実際にはコレクションよりも模型の一種として受け入れられたこともあり、ユーザーの声などを反映して2005年からは車種を明記した「2両セット」や「4両セット」などの発売を開始。現在はこちらが主流となっている。

ジオラマが楽しめる「レイアウトベース」
もうひとつは対象年齢だ。当初Bトレは「対象年齢8歳以上」の商品として発売していたが、途中から「15歳以上」に変更した。玩具には安全のための基準があるが、とがった部品などがあるとこの基準に合わなくなってしまう。そこで、よりリアルさを追求するため、対象年齢を玩具の基準から外れる15歳以上にすることで、細かい部分の作り込みを可能にしたのだ。当初は板状のパーツに簡単に表現されただけだった台車も、現在ではNゲージと変わらないレベルのリアルな部品になった。
さらに大きな転換点といえるのは、Nゲージとして走らせるための動力装置や走行用パーツを自社からも発売するようになったことだ。Bトレは発売当初から、鉄道模型メーカーのKATO(関水金属)がNゲージ化用の専用パーツを発売していたが、10年にはバンダイが自社開発した走行用パーツが登場した。自社でもNゲージ化用の部品までそろえることで「Nゲージ化もできるコレクションアイテム」という当初の位置づけから「かなり鉄道模型寄りになってきた」(近藤さん)ことがうかがえる。
「インフラ整備」も始まった
この3月、Bトレの商品ラインナップに新たな展開があった。B4サイズのボードにNゲージ規格の線路と、車両のコントロール機能一式を内蔵した「レイアウトベース[N-B4]」の発売だ。車両だけでなく、車両を走らせる「インフラ」の部分にも乗り出したことになる。
過去にも列車を走らせるセットは存在しており、線路とコントローラー、車両をセットにした「E231系山手線運転セット」や、Nゲージとは異なり電池を車両に搭載して走らせる「N700系新幹線「のぞみ」運転セット」などが発売されたが、残念ながらその後に続くシリーズとはならなかった。だが、今回の商品は単に走らせるセットではなく、小さなサイズの上で列車が走るジオラマ作りを楽しめるのが売りだ。
近藤さんはレイアウトベースについて「いままで鉄道模型に興味はあったが、場所を取るんじゃないか、お金がかかるんじゃないかということで躊躇していた方や、すでにBトレは持っているが走らせたことはなかった、といった方に楽しんでもらおうという商品」と語る。
Nゲージを楽しんでいる層に受けているBトレだが、意外にも買った車両がNゲージ化される率は低く「1割くらいじゃないかと言われています」(近藤さん)。
コレクションの一部のみをNゲージ化する人が多いほか、走行用の部品をその都度走らせたい車両に付け替えるユーザーもいるためという。レイアウトベースの発売によって走らせるユーザーが増えれば、相乗効果でNゲージ化用の部品が売れることも期待できる。
また、車両だけでなく建物などのジオラマ関係についても、もしレイアウトベースの販売が好調であれば検討はしていきたいと言う。
ショーティーでNゲージと互換性があるのはバンダイだけ

みなとみらい線の車両。長さは半分だがリアルだ
Bトレが登場した2002年当時と比べ、鉄道趣味は「乗り鉄」「撮り鉄」といった言葉が一般化するほどに定着してきた。一方で、Bトレ以外にも「鉄道コレクション」(トミーテック)や「プラレールアドバンス」(タカラトミー)など、鉄道模型の新ジャンルや、よりリアリティを追及した鉄道玩具が登場している。
だが、「ショーティー」であり、Nゲージとも互換性があるというBトレの特徴を持った類似製品は今のところ存在しておらず、ほかの鉄道ホビー系商品とはすみ分けができているようだ。
近藤さんは最近の鉄道系商品の広がりについて「鉄道関連全体が盛り上がっていけば売れ行きも上がるので、ある意味では競合かもしれませんが、ありがたいことでもありますね」と話す。
独自性とこだわりのある商品開発によって「鉄道モノ」の1ジャンルとして確固たる地位を築いてきたBトレ。レイアウトベースという新たな商品の登場を含め、今後の展開も注目される。
http://toyokeizai.net/articles/-/68385
ウリはぷらレールとNゲージは知っていたけど、Bトレは知りませんでした^^