引き続き、自動車板のhakusanです。
下の682番で、KTXとN700の列車内騒音の測定結果を報告しましたが、騒音計の表示とGPSの位置情報だけでは、データの信頼性が薄いとの指摘をいただきました。
私自身も、そのように感じておりまして、GPSのデータを読み出すことができれば、より納得ができる情報をお届けできると思い、いろいろ調べたところ、思いのほか簡単にデータを読み出すことができましたので、結果を報告します。
改めて、測定器と今回のルートを紹介します。
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騒音計は、ネットで調べた中で最も安い物を購入しました。英国のamazonでは£26、およそ¥3,900で売っているようです。さすがに、日本では、その価格では手に入りませんが、安物であることには、違いありません。
GPSは見てのとおり、SONYのGPS-CS3です。単3電池1本で12時間は持ちますし、小型で良いのですが、消費電力を少なくするためなのか、表示のバックライトがすぐに消えてしまうことが、このような撮影には使いにくいところです。
標準的な機能としては、撮影したデジタル写真に位置情報を書き込んだり、移動した経路を下の図のように、Google Mapに表示できたりしますが、15秒毎に(下のスレでは5秒毎と書きましたが、15秒毎の間違いでした。)緯度、経度と、時間の他に、標高や対地速度、移動の方位などが記録されていて、今回のような解析にはとても役に立ちます。
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今回の行程は、まず、成田から釜山に飛び、KTXでソウルまで、ソウルから羽田に戻り、羽田から国内線の飛行機で福岡へ飛び、福岡(博多)から新幹線で東京に戻る行程です。
まずは、KTXの出発点、釜山の駅です。
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釜山からソウルまでのKTXの速度の測定結果をお知らせします。
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横軸は、走行時間です。左端が釜山で、釜山を出発してからの時間と、その場所での速度を縦軸に示しています。
GPSの特性上、電波を受けることができないトンネルの中や、建物の中はデータが欠落します。上のグラフの2時間20分付近の不自然な直線は、その部分のデータが無いことを示しています。同じように、1時間の位置では東大邱に停車しているはずですが、停車が屋内であったためなのか、速度データがないため、停車前後の速度を結んだグラフになって、停車していないことになっています。
このグラフは、KTXに乗車して受けた印象とよく一致します。釜山を出発して約1時間10分間は、120km/hから130km/hの、高速道路を走る自動車並のゆっくりとした速度で走ります。2度目の停車は大田で、その前後で速度が300km/hに達しますが、その時間はわずかで、250km/h以上の速度を維持するのは、全体の21%弱にすぎません。
この原因は、次のグラフで明らかになります。
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黄色い線は、15秒の間の、進行方向の変化量を示しています。
この値が90°の場合は、たとえば真南に向かって走っていた列車が、15秒後には走行方向が90°変化して、真西に向かって走っていることを示します。
ですので、この値の絶対値が大きいほど急激な方向転換をしている、つまり、列車の場合は、線路が急激に曲がっている事を示します。また、方向変化量の+側は、進行方向に対して右に曲がっている場合、-側は、同じく左に曲がっている場合を示します。
見ての通り、高速走行区間では、この方向変化は±10°の範囲にあり、ほとんど真っ直ぐに走行していることがわかります。
一方、釜山を出発して1時間の範囲は、線路が在来線であるため、右に左に大きく蛇行しており、これが速度を出しにくい原因であろう事が想像できます。また、2つの高速区間の間、大田付近の蛇行も大きく、この区間も速度が遅いことから、このデータからは、この区間もKTXは在来線を走っているのではないかと推測されます。
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こちらは、新幹線のぞみN700系の速度です。左端は博多、右端は新横浜です。
最初の停車駅は小倉、次が広島、岡山と続き、約2時間10分の位置で新神戸に停車しますが、ここもデータが欠落しています。2時間20分付近で新大阪に到着し、ここからは東海道新幹線区間になります。
グラフを見てわかるように、全体の速度は速いのですが、山陽新幹線区間でも、速度が300km/hを超えることはまれで、250km/hから300km/hまでの間を、行ったりきたりしています。
一方、東海道新幹線区間は、最高速度は270km/hと低いのですが、速度は安定していることがわかります。4時間15分付近の位置で大きく速度が低下しているのは、下の方位変化率のグラフにあるように、ここに急な左方向のカーブがあるためで、緯度経度のデータによると、ここは、新丹那トンネルを出た直後の熱海駅の左カーブにあたります。
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方位変化率のグラフからは、前述の熱海の左カーブ、各駅での停車時を除くと、走行中の方位変化はおおむね±10°の中にあり、専用線の利点が生かされていることがわかります。
このため、平均して、速度は高速域にあり、速度が250km/hを超える割合は、全体の時間の67%になります。
しかし、赤組にとって残念な事に、今回の測定結果では、最高速度ではN700はKTXよりも劣っています。速度が300km/hを超えるのは長くても数10秒で、1分間を維持することはありません。
速度が300km/hを超える時間の総和はKTXでは約9分間で、最高速度は303.5km/hですが、N700では約2分間に過ぎず、最高速度も301.6km/hです。
こと、最高速度に関しては、N700は、KTXに完敗です。
Thalysの測定結果をお知らせします。


ベルギーのアントワープから、フランスのパリに向かうThalysの速度と方位変化率を示します。左端がアントワープ、右端がパリです。
発車後1時間から1時間20分までの速度0は、ベルギーのブリュッセルでドイツからの車両が遅れたための接続待ちによる停車が原因です。停車中の方位変化率は、停止中のGPSの位置測定誤差がそのまま方向の誤差として現れているためで、実際にその方向に動いているわけではありません。
Thalysもフランス国内は専用線を走るので高速ですが、始発駅のアムステルダムからアントワープを通ってブリュッセルまでは、グラフのような速度でのんびりと走ります。
さて、お待たせしました、KTXとN700の騒音の解析結果をお知らせします。


速度のグラフの上に、騒音の測定値を点で示しました。グラフの右側が騒音の数値です。これらのグラフを見る限り、騒音の量と、速度には良い相関関係があります。
この騒音のデータは、GPSに記録された位置データまたは時間データと一致するものだけを記載していますので、必然的にGPSのデータが欠落するトンネルの中で測定した騒音データは含まれていません。
一方で、車内の喧噪、ドアの開け閉め、橋の通過音、防音壁の反射音などは、データを採取する時に極力排除するように努めましたが、完全に排除できている確証はありません。

kore_a_4さんのご要望に応じて、上の騒音データを速度データと合わせてグラフにした結果を示します。横軸が速度、縦軸が騒音量です。同じ速度であれば、上にあるほど騒音が大きいことになります。Thalysの測定データも、グラフ中にプロットしました。
このグラフだけですと、「速度300km/h付近での騒音は、N700よりもKTXの方が、明らかに大きい」、と言うことができます。
しかし、KTXのこの速度領域での騒音をよく見ると、76~77dBA付近と78dBA付近の2つのグループに分かれていることがわかります。
この2つのグループは、2つ上のKTXの騒音グラフを見ると、77dBAの測定点が東大邱-大田間に、78dBAの点は大田-ソウル間の2時間6分前後の場所に明確に分布していることがわかります。
この2つのグループの間には、速度に大きな差はありませんから、この騒音の差は、車両の速度以外の外的な要因によると考えるのが妥当です。その要因が、線路の問題なのか、橋梁や防音壁なのか、はたまた、後ろの席の家族連れが騒いだためなのかは、この情報からだけでは判断できません。
ただし、この部分を除いても、速度300km/h付近でのN700の騒音は、KTXと同等か、それ以下と判断して良いと思います。
一方で、速度が230km/h~250km/h付近では、サンプル数が少ないため確実なことはいえませんが、KTXの方がN700よりも静かである事を示しています。
原理的に、低速になるほど、動力集中方式の方が動力分散方式よりも有利であろう事は推測できますので、この結果はこの推論と矛盾しませんが、データの数が不足しているため、確信は持てません。
いずれにしても、より広範囲の速度域で騒音測定を行わなかった事が、悔やまれます。
う~ん、もう一度、測りに行くか・・・・。
最後に、今回、乗ったKTXと新幹線のチケットを紹介します。
新幹線のEX-ICは、携帯電話やPCで予約して、自動改札機で切符を受け取ることができるので、とても便利です。
KTXの切符は、まるで、スーパーマーケットのレジで受け取るぺらぺらのレシートのようで、窓口で受け取って、2,3歩あるいて、切符が無いと思い込み、窓口に振り返って、切符は何処?と聞いたら、右手に握ったこの紙を指差されて、ようやく、これが切符だと理解しました。

次回は、オーストラリアのゴールドコーストから街角の様子をお知らせします。久しぶりの南半球です。
列車が走っていれば、また、投稿します。
請う、ご期待。